カテゴリー別アーカイブ: 明るい課長講座

生き様-明るい課長講座

社員は社長から未来の話を聞きたい

9月9日の日経新聞「私のリーダー論」は、石坂産業・石坂典子社長の「カリスマ性より理念で勝負」でした。風評被害で存続の危機にあった産業廃棄物処理会社を父から引き継ぎ、社会で理解される会社に生まれ変わらせました。産業廃棄物処理は、ゴミ処理場などと同じく、社会にとって不可欠の仕事です。しかし住民は、「自分の近くでは操業しないでほしい」と拒否反応を示します。

この記事は、リーダー論です。
「「世界で一番、人から愛される会社に変わろう」。後を継いだ石坂典子社長は高い理念を掲げて社員の意識を変え、やる気を引き出す。反発する社員の大量退社も乗り越え、環境共生のモデル企業と呼ばれるまでになった」

――良いリーダーの条件とは何でしょう。
「ちゃんと先を見すえている人じゃないとダメでしょうね。あとは、ぶれずに芯があり、誠実であることでしょうか。私の父がそうでした」
「毎期の売上高も大事です。でも社員はリーダーの口から、未来の話こそ聞きたいのではないかと思うのです。想像できないような遠い先に、世界はどうなっているか。自分たちはどんな役割を果たせるか。単に会社の将来の話だけでは、若い人たちは自発的に動いてくれません」
「この人は何をしたいのだろうと、リーダーは日々、社員から人間性をみられています。責任感はもちろん必要ですが、それだけではリーダーはできない気がします。事業への前向きな使命感をもっているかどうかが大事ではないでしょうか。それと情熱です。どれが欠けてもリーダーは難しいと感じます」

「オールド・ボーイズ・クラブ」2

オールド・ボーイズ・クラブ」の続きです。第5回9月3日は「多様性が「当たり前」に挑む」でした。第4回までは男性社会を取り上げていましたが、女性社会もありました。
・・・男性が多数派の世界で形成されるオールド・ボーイズ・クラブ(OBC)。男性が悪いというよりも、一つの性が多くを占め、多様性に欠けることが問題なのではないか。そこで、女性が多い看護師の世界を取材した。
自民党の石田昌宏参院議員(54)は1990年に看護師となった。「当時はまだ男性看護師が1%くらい。看護協会本部の建物でも、女性用トイレに壁を作って男性用にしていた時代です」
いま男性看護師は8%ほど。まだまだ少数派だ。現場の看護師はどう感じているのだろう・・・

・・・たばこ部屋や飲み会ならぬランチ会で、知らぬ間に決まっていることもよくあった。「病棟の方針や仕事の手順など重要なことが、さっき決めたから、ランチ会でそうなったから、と言われて」
男性多数の企業社会で起きていることと似ていないか。

男性が増えたら変わりますか? 佐藤さんに聞いた。「ただ増えるだけではなく、役職がつき、責任ある立場につくことが必要です」。米国の女性と政治の専門家が「ただ女性が増えるだけでなく、役職につかなければ」と強調していたことと同じ答えだった。
多数派は新しいことに踏み出すのをためらう――。関西在住の男性看護師(33)も似た経験をした。「患者の床ずれを防ぐために2時間ごとに体位を変えていたんですが、患者によっては4時間でも大丈夫だというガイドラインが示されたんです。そこで、一人一人データを取りつつ、3時間に変えようとしたんです」。しかし、ものすごい抵抗にあったという。
「2時間おきに変えるより記録をとる方が空いた時間を患者の状態を分析する時間に振り向けられる。患者にも良いと思ったんですが……」。マニュアルや手順書を作り、データを示し、勉強会を重ねてようやく受け入れられた。「私たち少数派は視点が違う。多様な人がいる方がフットワーク軽く挑戦でき、変革できます」・・・

朝日新聞夕刊連載「オールド・ボーイズ・クラブ」

8月30日の朝日新聞夕刊から「オールド・ボーイズ・クラブ」の連載が始まっています。オールド・ボーイズ・クラブ(OBC)とは、オールド・ボーイズ・ネットワーク(OBN)とも言う、多数派の男性が築いた暗黙のルールや約束に満ちた、仲間うちの閉じた世界のことだそうです。

8月31日の「行動10か条 働き方も変えた」から。
・・・男性同士の閉じた世界を指すオールド・ボーイズ・クラブ(OBC)。変革や挑戦の障害とされるが、女性はどう感じているのか。
「部下よりも常に上司の方を向いて仕事をしている」「接待やゴルフに付き合うことが上司に気に入られる条件だと思っている」「昼食に一緒に行っても、食べるのが早すぎる。せっかくの機会なのだから、ゆっくりいろいろ話したい」「同行で一緒に歩いていると速すぎてついて行けない。こちらが小走りなのに気づかない」
女性活躍やダイバーシティー(多様性)の推進に取り組むNPO法人「ジャパン・ウィメンズ・イノベイティブ・ネットワーク」(J―Win)に参加する男性メンバーが、OBCについて女性にアンケートをとった時の回答だ。J―WinはOBCをオールド・ボーイズ・ネットワーク(OBN)と呼ぶ。

「被害届のようだな」「効率的な業務推進には必要なことだ」「良かれと思ってやったのに」。東レ経営研究所ダイバーシティ&推進部長の宮原淳二さん(56)らメンバーは当初、回答にショックを受け、正面から受け止められなかった。
その後議論を重ねてOBNに向き合い、男性が「変えられる行動10か条」を作成した・・・

その後の変化については、原文をお読みください。オールド・ボーイズ・クラブの一員(?)として、反省しながら読んでいます。

暮らしやすいコミュニティとは

Web日本評論、竹田伸也・鳥取大学教授の「みんなのストレス波乗り術」第12回・最終回「できる範囲で力を届ける」から。

・・・世の中から余裕がなくなり、なおかつ自己責任という論理が幅を利かすと、コミュニティにある変化が起こります。それは、「率先して責任を背負おうとする人が少なくなる」ということです。
あなたに思い返していただきたい日常風景があります。
あなたが今いるコミュニティ。職場でも地域でも家庭でも学校でもなんでもかまいません。そのコミュニティには、率先して責任を背負おうとする人が、ご自分を含めてどの程度いますか? コミュニティにそういう人がどの程度いるかを、次の3つの視点で評価してみてください。

1点目は、「役割の決まっていない仕事を自発的に担う人が一定数いるかどうか」です。コミュニティの務めには「これは誰々さんの役割」と決まっていないようなものがたくさんありますね。たとえば、切れかかった電球を交換するとか、床に落ちているゴミを拾うとか。そうした、誰の役割か決まっていない務めは、そのコミュニティにいる人々の自発的な取り組みで処理されることがほとんどです。なので、率先して責任を背負おうとする人が少なくなると、そのコミュニティは見た目から荒れ始めます。

2点目は、「配慮の必要な人に対して手を差し伸べる人が一定数いるかどうか」です。なんらかの障がいを抱えているせいで、障がいを持たない人と比べて特定の務めに十全に力を発揮できない人がいます。そうした人がいた場合、その人の力を補って動こうとする人がどの程度いるかが、これにあたります。あるいは、特定の人――この場合の特定の人とは、責任感の強い人です――に仕事がどんどんたまっているのに、周りの人はその人から仕事をもらったり、一緒に抱えたりしようとしない。これなんかも、配慮が必要な人に対して手を差し伸べない状態といえます。

3点目は、「会議などみんなで意思決定する場面で建設的な発言をする人が一定数いるかどうか」です。コミュニティをどのような場として成長させるかは、そのコミュニティに属する構成員みんなの責任です。にもかかわらず、会議ではほとんど発言しない。あるいは、発言しても大きな声で誰かやなにかの批判ばかりして、建設的な意見を出さない。一方で、陰ではあれこれと悪口が飛び交っている。こうした状態も、率先して責任を背負おうとしない人が多いコミュニティといえます・・・

ドイツ企業の女性管理職育成

8月23日の日経新聞女性欄「ドイツBASFの女性管理職登用 対話重ねて長期育成」から。
・・・日本同様、性別による役割分担意識が根強いドイツ。先進国では経済分野の女性活躍で後れをとっていた。だが2016年にクオータ制を導入するなどここ数年、管理職への登用で前進が目立つ。一例が化学大手のBASFだ。上司らとの対話を中心とする育成策で、着実に女性管理職比率を高めている。その取り組みは日本企業の参考になる・・・

・・・「この先、どんな仕事をしていきたい?」
「リーダーとして人を束ねることに挑戦したいです」
全世界に拠点を抱える独BASF。各地で定期的に女性社員と上司・先輩との間でこうした会話が交わされる。
「サクセッション・プランニング」と呼ばれる女性管理職育成の取り組みの一環だ。優秀な女性を早期に発掘し「○年以内にこの役職に引き上げるためには、こういった経験を積ませなければいけない」というシナリオを会社が作成する。その上で長期的な育成プランをたてるものだ。
BASFではこの取り組みを積極的に進めている。カギとなるのが対話だ。身近な先輩、直属の上司、エリア代表と3階層にわたる人材が女性社員と定期的に面談し、それぞれの立場に合わせたアドバイスをしたり、相談を受けたりする。「女性社員が今のポジションの『次のステップ』を描きやすくすることが狙い」と、アジア太平洋地域プレジデント、カローラ・リヒターさんは説明する。
さらに自分の得意・不得意分野などを棚卸しするためのツールとして、13ページに及ぶワークシートを社員らに配布。進みたいキャリアを自ら洗い出せるようにしている・・・

女性だけでなく、日本では男性の幹部育成にも参考になります。