「明るい課長講座」カテゴリーアーカイブ

生き様-明るい課長講座

オンライン会議の有効性

コロナ禍で在宅勤務が広がり、オンラインでの会議も増えました。
私は、役所の仕事の多くは在宅勤務では能率が上がらず、職員の不安や悩みに答えることができないと考えています。なにより、新採職員や異動してきたばかりの職員の教育はできないと思います。
もちろん、出社しなくてもできる業務はあります。統計表の作成などは、どこにいてもできるでしょう。ただし、業務の進め方が分かっている職員や、困ったときに相談できる職員でないと、うまくいかないでしょう。

もう一つ、オンライン会議の有効性を再確認しました。財団の理事会など、遠くの人との会議です。
集まっての会議では、参加者の日程調整や会議室の確保など手間がかかりました。オンライン会議はお互いに便利ですね。そこまで出かけていく必要がないのですから。地方から東京に来るのは、1日仕事です。オンライン会議なら、その時間帯だけ空けておけばよいのです。そして、このような会議は、事前に資料を送ってもらい、疑問点を確認しておけば、しゃんしゃんと終わります。
かつては、参加者にそのような経験がなく、通信環境や機材も整っていませんでした。いまはそれも普及して、簡単につなぐことができるようになりました。

電子メールが普及し、電話しなくても情報のやりとりができるようになったときの便利さを思い出します。

知識を得ることと知識を得る技を身に付けることと

学校では知識を学びます。国語、算数、理科、社会・・・。社会を生きていくために必要な知識です。もう一つ重要なのは、それを通じて、知識を得る技を身につけることとです。分からないことが出てきたときに、何を調べたらよいか、誰に聞いたらよいかという知識です。前者が事実を身につけることであり、後者は技術を身につけることです。前者は蓄積という量であるのに対し、後者は方法であり姿勢です。
「要領がよい」というのが、その技術を身に付けたことを表します。これは、必ずしも教科の知識が多いこととは比例しません。もっとも、要領を身に付けると、教科の知識も効率的に身につきます。

学校と同様に、職場でもこれは当てはまります。
与えられた職務を執行するに必要な知識を得るとともに、これまでにない事態が生じたり、新しい仕事を考える、さらには昇進するための技です。前者は職務手順書(マニュアル)に書かれています。それさえ理解できれば、仕事は片付きます。後者は、手順書には書かれておらず、自分で身につけていかなければなりません。
仕事をしていると、手順書に書かれていない新しい事態が起きます。それに対処する際に、経験の差、要領のよい人とそうでない人の違い、仕事ができる人とできない人の差が出ます。

学校の教科書は前者であり、拙著「明るい公務員講座」3部作は後者を目指しました。

二つの「正解」

自然科学における正解と、私たちの仕事における正解とは異なることを、拙著『明るい公務員講座』第1章で説明しました。
自然科学における問題の答は、一つに決まります。1+1=2であって、3は間違いです。それは、誰が見ても判断できる、客観的なものです。

他方で、私たちの仕事の多くは、正解が一つではありません。例えばある課題に対して対策組織をつくる場合、どれくらいの人数を集め、誰を責任者として、どのような人を配置するのか。一つの正解があるわけではありません。いくつかの案を作って、利害得失を考えてその中からよいだろうと思われる案を選びます。優秀な職員を配置すればよいのですが、引き抜かれた組織が困ります。「絶対正しい」という案はないのです。どこかで、折り合いをつけなければなりません。
職員が、市長の挨拶文案を作成する場合、これは正解で他は間違いということはありません。盛り込まなければならない要素が入っているかどうかは客観的に判定できますが、季節の挨拶を入れるのか、文体はどうするのか、長さはどの程度かは唯一の正解はありません。そして、職員と課長が「これがよい」と思っても、市長が「だめ」といえば、採用されません。

東日本大震災で判断に迷った際に、どのように決断したか。何が正解だったかを聞かれることがあります。前例のない事案で判断に迷うことはありましたが、二者択一やこれが正解で他は間違いというような問題はほとんどありませんでした。
「支援物資が輸送拠点であふれてしまった」とか「棺桶が足らない」という問題は、正解が一つではなく、また二者択一でもありません。正解は「どのようにして切り抜けるか」です。
まずは解決方法を探さなければなりません。考えられる案が一つで大きな副作用がないなら、迷うことなくそれを採用するでしょう。
解決方法がない場合が困るのです。その場合の正解は、「知恵を出してくれそうな人を探し、意見を聞くこと」です。私一人がいくら悩んでも、答は見つかりません。
できる限り広く意見を聞く。そしていくつかの案が出たら、それらの利害得失を判断する。その際も、関係者の意見を聞く。そして判断します。そこに私の力量が試されます。全員が納得すればよいですが、そうでない場合に決断があります。その判断基準は、「後世の人の批判に耐えうるか。説明できるか」「閻魔様の前で説明できるかどうか」です。
続き「迷ったときの判断基準、2つ

情報を上げたいと思わせるリーダー

11月10日の日経新聞夕刊「私のリーダー論」、村木厚子・元厚生労働事務次官(下)から。

――情報を上げたいと思われる上司になることが大切だと常々話されています。
「重要な情報が耳に入らずに『自分は聞いていない』という上司がいます。私もそう言いたいときはありますが、自分が部下の立場だったら、本当に大事な人には相談しています。もっとはっきりいうと、役に立つ上司のところには情報を持っていきます。大事なことを聞かされないのはリーダーとして格好悪いことなのかもしれません」

ごきげんだから、うまくいく

10月28日の朝日新聞夕刊、坪田一男・坪田ラボ社長の「なぜ医者から経営者に」から。

・・・先端の研究を進める一方で、同社が掲げるメッセージは「未来をごきげんにする」とわかりやすく、風変わりだ。
ごきげんは自分の理念。「うまくいくから、ごきげん」ではなく、「ごきげんだから、うまくいく」が持論。抗加齢医学の研究で、元気な100歳以上の人に聞きとりを重ねた際、その思いを強めた。多くの人が朝の目ざめや食事などの日常に感謝し、ほがらかにくらしている。「ごきげんだから、長生きする」と考えた。
ごきげんでいる工夫を尋ねると、答えが次々と返ってきた。
夢中になれる好きなことをやる。ごきげんな人とつきあう。メディテーション(瞑想〈めいそう〉)をする。その日あったよいことを三つ書く。夜6時にはブルーライトをさえぎるメガネに変える。夜8時以降、スマホやパソコンを使わない。1日8時間寝る・・・