カテゴリーアーカイブ:明るい課長講座

上司は年下

2026年2月18日   岡本全勝

2月3日の日経新聞夕刊に「上司は年下 悩む50代」が載っていました。

・・・年下の上司のもとで年上の部下が働く職場が増えている。背景にあるのは成果主義や役職定年、定年延長、ミドル・シニア転職の広がりだ。50代社員の半数近くが年下の直属上司のもとで勤務しているという調査もある。年功序列が長く続いてきた大企業を中心に、上司と部下双方がコミュニケーションの見直しを迫られている。

「基本的な人間関係ができていないのに、指示ばかりされると不満を感じることもある」。人材サービス企業で働く50代男性は6年ほど前に幹部職から現場の社員となった。今は10歳以上年下の上司のもとで人材育成の講師として働く。
当初は「何で自分が幹部を外れるのか」との思いもあり、親の介護も抱えるなかで1カ月ほど酒を飲みながら葛藤した。転職も含めた選択肢を並べてこれからどう生きていきたいのかを考え、事業内容に共感できる今の会社に残ることを選んだ。自分が選んだ道だと意識すると次第に気持ちが楽になったというが、それでも年下上司のもとで働くことにストレスを感じることもある。

企業向けの教育支援を手がけるジェイックの調査では、50代正社員の46%が直属の上司は年下と回答した。上司が30〜40代と回答した人も18%いた。「上司が年下」と回答した人に、自分とギャップを感じる上司の仕事の仕方や考え方を聞くと、コミュニケーションの取り方や部下の指導・育成の仕方をあげる人が約3割となった。
システム会社に勤務する50代男性は「年下上司は遠慮しがちで、年上の自分にどんな作業を割り振ればいいか迷っているように感じる」と語る。上司より経験が長いため指導しにくいようで「1on1」面談も「一度もまともに実施してもらっていない」という・・・

・・・一方、年下上司も年上部下との付き合い方で頭を悩ませていることも珍しくない。自動車メーカーの課長級の40代男性は「年上の部下はこれまでのやり方にプライドがある分、新しい手法を受け入れてもらうのに苦労する場合がある」と語る。例えば研修のオンライン化を提案したところ、対面重視で職人気質の年上メンバーたちから「オンラインでうまくいくはずがない」と抵抗されたという・・・
・・・管理職向けに外部メンターを紹介するMentor For(東京・品川)の池原真佐子代表は「年功序列的な風土が残る企業を中心に、年上部下に仕事を頼めずに自分で抱え込む人や面談などのフィードバックに悩む人は多い」と話す。日頃から年上部下の経験に敬意を示すことや居場所をつくることを意識したうえで、年齢により遠慮することなく業務の依頼や指摘はすべきだと助言する・・・

副業で第二の人生を探す

2026年2月17日   岡本全勝

1月30日の朝日新聞に「第二の人生、「副業」で探る可能性 仲間づくり支援、新たな価値生む」が載っていました。

・・・本業のかたわらにする小遣い稼ぎ――。そんな「副業」のイメージが変わりつつある。とりわけ人生100年時代を迎え、ミドル世代にとって副業は、自分の可能性とセカンドキャリアを見据える大きな手立てだ。副業をめぐる経済圏も広がりをみせ、そこでは人と人とのつながりが新たな価値を生み出している。

仕事帰りの人でごった返す東京・新橋のビルの一角。昨年9月の夜6時半ごろ、2階のイベントスペースに、50~60代の5人が集まった。飲み物を片手に、登壇した男性を囲むようにしてそれぞれ腰掛ける。話が始まった。
「ストレスをチェックするサービスの事業拡大には何が必要か」
次々と手が上がり、チラシの訴求ポイントの改善のほか、ストレス改善のサービスとともに導入メリットを打ち出すことなどの意見が出された。
この場を設けたのは、副業などを通じて、ミドルシニアの学び直しや仲間づくりをする「ライフシフトプラットフォーム」(LSP)を運営するニューホライズンコレクティブ(NH)。
議論に参加した岡田壮祐さん(63)は2024年、この輪に加わった。セカンドキャリアへの不安が背中を後押しした・・・

・・・一つの会社で出世を目指し、定年まで働く。そんな風潮が当たり前とされた時代、本業以外の副業には暗いイメージがついてまわった。だが、そんなイメージは薄れている。
NHはもともと広告大手の電通が20年に一部の中高年社員の雇用を個人事業主に切り替える際に、支援の受け皿として設立した子会社だ。23年以降はLSPに他社も受け入れ、大手を中心に約10社、40人ほどが参加する。注力するのは、仲間づくりの支援だ。
NHの山口裕二共同代表は「社内で自分の出番を見失って悩むミドルシニアは多い。社外の仲間との交流が、さまざまな出番につながる」と語る。
実際、副業をきっかけにキャリアを見直す人は多い。リクルートが正社員620人に行った調査(21年)で、副業や兼業をしてみたいと思ったきっかけを聞いたところ、「自分のキャリアを見つめ直した」が約3割(複数回答)と最も高かった。

副業を認める会社も増加傾向で、副業をとりまくビジネスも熱を帯びる。仕事仲介大手「クラウドワークス」などによると、正社員の副業の市場規模は、23年ごろは約0・8兆円だが、その後の10年で約2・4兆円になると推計される。
ライフシフトラボ(東京)は、40代以降の働く人を対象に、人生後半のキャリアの自律をかなえるオンラインビジネススクールを22年に開講。大手商社や携帯通信会社などでも副業のセミナーをしており、法人からの問い合わせも増えている。
都築辰弥社長は「かつての副業にあった『小遣い稼ぎ』や『会社に内緒でする内職』といったイメージから変わり、会社をやめずにリスクを抑えながら、起業や転職など次のステップに向かう『助走』の手段として認識されている」と話す・・・

上司と部下の一対一対話

2026年2月14日   岡本全勝

1月20日の日経新聞夕刊「「1on1」惰性にしないコツ」から。1on1って、一対一対話のことですよね(日本語もここまで来たか)。

・・・職場での新しいコミュニケーションの形である「1on1(ワンオンワン)」に工夫を凝らす企業が増えている。一方通行ではなく双方向のやりとりとして注目されているが、形式的な導入で効果を疑う見方も根強い。鍵となるのは1on1にどのような役割を持たせるかという明確な目的意識の違いだ。

「取引先との商談中にフォローしてもらえなくて悲しかった」「小さな成果だったけど褒められてとてもうれしかった」――。人材サービスのエンの営業部門で2人の部下を持つ小林菜津子さんは毎月末、1カ月の業務を振り返る1on1の中に部下から「うれしかったこと」「悲しかったこと」を聞く「キモチ伝達タイム」を組み込んでいる。
5〜10分程度だが、伝えることをためらいがちな人でも専用の時間をつくれば言いやすくなる。部下は気持ちを率直に言葉にするだけで、上司はあくまで聞き役に徹する。

エンでは社員に求める業務遂行能力の一つに「キモチ伝達力」を定めている。感情を言葉にすることで、チームメンバーの考え方の違いをお互いが理解して、わだかまりをできにくくする狙いだ。
小林さんの部下で新卒1年目の白石彩絵さんは「業務が逼迫してつらいとき、『つらい』ということを言っていいのか分からなかった」と入社当初を振り返る。素直に感じたことを伝えたことで、業務の優先順位を整理するなど具体的な解決につながった。
小林さんは「部下の関心や適性を把握して、今後のキャリアプランを考えることにもつながる」と副次的な効果も実感している。

パーソル総合研究所の調査によれば1on1はおよそ8割の人が経験済みだが、部下の3割は「効果を感じられない」と答えた。月1回などの高い頻度で開かれ、人事評価には直結しないといった点が考課面談とは異なるが、それだけに目的が曖昧なままでは意義を実感しにくい。

面談相手の「指名制」を採る企業も増えている。
教育システム開発のロゴスウェア(茨城県つくば市)は1on1を「ひとりで解決できないことを相談して、解決の方向性をつくる場」(高濱洋子・最高人事責任者)と位置づける。上司や部下に限らず、部門や立場の上下を超えて誰に対しても面談を申し込める点が特徴だ。この仕組みは新しい事業を立ち上げる際のチームづくりに効果を発揮している・・・

時間の管理と仕事の管理

2026年1月28日   岡本全勝

時間の管理と仕事の管理は別物だと、『明るい公務員講座』(53ページ)でお教えしました。手帳に書かれているのは時間の予定であって、仕事を進める予定ではないということです。
手帳に、「○月×日15:00~17:00、講演」と書いてあっても、仕事としては、事前に主催者に当日使う資料を送る必要があり、その前に話す内容を考えて資料をつくる必要があります。私は、時間の管理は手帳で、仕事の管理はそれとは別にパソコンに書いて紙に打ち出しています。それぞれ紙でないと、落ち着かないのです。また、書いて眺めることで、頭に入れています。

常勤職を退いてから、ますますその意識が強まりました。
かつて、企業経営者から「公務員も社員も、時間で労働を売っているようなものだ」と言われたことがあります。決められた時間を勤務し、与えられた仕事をこなせば、給与がもらえます。勤務時間を職場で過ごし、さしたる成果も出さずに、給与をもらっている人もいます。「サラリーマンは、気楽な稼業ときたもんだ」とは、植木等さんのヒット曲でした。1962年のことなので、大昔の話です。

しかし、経営者は勤務時間にかかわらず、成果を出さないと、失格です。しかも、競争の激しい市場で生き抜くためには、止まっていることは許されません。雇用主と被傭者との違いです。個人営業の人も、同じです。決められた勤務時間はなく、どのような成果を出すかが問われます。

勤め人だったときは、出勤しているだけで、仕事をしているような気になったものです。何もせずにブラブラしているわけではありませんが、それなりに仕事に追われ、仕事をした気になりました。
ところが自由業になると、出勤して仕事をしている気分になることがありません。他方で、講演会の準備や締め切りの来る原稿があり、これは費やした時間とは関係なく、成果が問われます。
「午前中何時間、午後何時間、それに費やす」と手帳に書いても、執筆が進まないと何の成果も出ません。時間の管理が、仕事の管理にならないのです。

「働かぬ万年課長」を見限る中堅

2026年1月25日   岡本全勝

2025年11月28日の日経新聞「惑う30代 成長の盲点(下)」「「働かぬ万年課長」を見限る中堅、JTCに別れ 昭和型雇用が阻む成長」から。

・・・「やっぱこの会社、ダメだわ」。2024年12月、大手電機メーカーの主任だったエンジニアの男性(34)は11年働いた会社を辞めた。
誰もが知る大企業。だが年功序列の企業風土が染みつき、出世も昇給も入社順だった。懸命に残業をこなし、成果を上げる自分より「働かない万年課長」のほうが給料が高い。成長機会を求めて会社を去る優秀な同僚を何人も見送ってきた。
決定打は上司の一言だった。会社が抜てき人事を可能にする制度を導入した矢先、「俺はそういう人事はやらない」と飲み会の席で言い放った。「失敗さえしなければいい上司と、残業しない後輩。そのはざまで頑張ってきたのに、もう限界」
転職活動は2週間で終わった。経験が評価され、転職先のIT企業が提示した年収は前職より300万円多い1100万円超だった。「中堅社員は追い詰められて転職していくのに、会社は気づこうとしない」と訴える。

IT転職支援のレバテックによると、30代の転職希望者は25年までの5年間で1.75倍に増えた。要因の一つが硬直的な人事制度だ。同社の調査で30代の転職理由の上位は「収入アップが見込めない」「スキルアップが見込めない」「残業時間が多い」だった。
年功序列や終身雇用に代表される日本型雇用を続ける企業をJTC(ジャパニーズ・トラディショナル・カンパニー)と呼ぶ。多様な働き方や貢献に即した報酬が求められる時代の変化に多くの企業が対応できていない・・・
番外編