カテゴリー別アーカイブ: 明るい課長講座

生き様-明るい課長講座

企業の不正リスク調査、半数で発生

デロイトトーマツ社が「企業の不正リスク調査白書」を公開しました。ご関心ある方は、本文(全文)をお読みください。

過去3年間に何らかの不正・不祥事が発生した上場企業は、前回調査「2022年」と同じく50%です。半数の企業で、起きているのです。報道を賑わしたものでは、オリンピックでの贈賄、大手中古車ディーラーによる保険金の過大請求、大手自動車会社の認証試験不正などがありました。

不正の内容は、横領、会計不正、情報漏洩、サーバー攻撃、データ偽装、贈収賄などです。
その真因は、コンプライアンス意識の欠如、業務プロセスの未整備、過度に業績を優先する組織風土、第三者チェック機能の不足です。「割り組織、セクショナリズムによる部門・職制間のコミュニケーション不全」や、「上司の指示が絶対的であり疑問の声をあげることのできない職場環境」もあります。

不正の早期発見・予防対策としては、研修教育(経営層向け、従業員向け)、現場での内部統制の強化、リスクアセスメント(リスクを特定し、分析、評価する仕組み)の強化、不正の早期発見を目的とした内部監査の強化などが上げられています。
品質不正・データ偽装に対する取り組みとしては、定期的なコンプライアンス教育、不正を防止する企業方針、トップメッセージの発信、定期的な品質・コンプライアンス監査の実施などが上がっています。

学があることと頭がよいこととは別2

学があることと頭がよいこととは別」の続きです。
もう一つ、頭がよいことについて、世間で教えてもらったことがあります。
「気が利く」です。これも、相手がある話です。相手の行動の先を読んで、その準備をすることです。

その例の一つが、木下藤吉郎が織田信長の草履取りをしたとき、懐に入れて温めていたという話です。また、かつて多くの人がタバコを吸っていた時代、相手がタバコを取り出すと、マッチかライター、そして灰皿を出すとか。
そのような「ゴマすり」ではなく、対話や議論の際に、相手の言いたいことを先読みすることは重要です。受け答えを準備でき、想像していない質問にあたふたすることなくすみます。

状況は異なりますが、相手のあるスポーツやゲーム(将棋、碁など)は相手の行動を読む・先を読む競技です。もっとも、相手にあわせるのではなく、その裏をかくのですが。

「ゆるブラック職場」

9月20日の日経新聞に、「「ゆるブラック」去った20代の本音、好待遇でもなぜ転職?」が載っていました。ここで読み取れることは、彼らの意見は画一でなく多様だということ、自分の職業人生を会社任せにせず自分で考えていることです。日本型雇用慣行が、崩れつつあります。

・・・働き方を改革したのに「なぜか若手が辞める」と悩む企業は多い。残業は少ないが、スキルやキャリアを高めづらく、士気の低い職場を若手は「ゆるブラック」と呼ぶ。日本経済新聞がオープンワークの協力を得て、社員口コミサイトの6680社への投稿を分析すると、半数近くにこの傾向があった。新卒で入社した人気企業を去った20代に転職の本音を聞いた。

――前職でモヤモヤしたことは。
Aさん「待遇や社内の風通しは良かったが、人事評価が不満だった。はた目にはあまり仕事をしていない同僚が評価されていて、基準がわからなかった」
Bさん「私も最大の不満は人事評価。表向きはホワイトだが、実はパワハラ上司もいて『上司がちゃ』の当たり外れが大きい。希望部署に異動できず、社内政治で人事が決まり、実力で評価されづらいと感じた」
Dさん「待遇面は良かったが、希望する法人営業への異動には『最長10年間、振り出しの店舗スタッフで経験を積む必要がある』と言われた。20代をまるまる店舗スタッフに費やしたとき、30代の自分に何が残るのか不安になった。キャリアを考えると、成長できる経験を積むべきだ」

――なぜ転職の決意に至ったのですか。
Aさん「職場で中長期の戦略を提案したものの、上司の『足元のことをやれば十分。戦略は考えなくていい』の一言にとてもショックを受けた。5年以上ここにいて転職を逃すと、労働市場での価値がなくなると危機感が募った」
「転職先は脱炭素で変化が激しいエネルギー業界で、やりがいがあると感じた。社員レベルで中長期の目標をしっかり定める社風に引かれた」

――「危機感」を詳しく教えてください。
Bさん「新卒や若手の給料を上げている企業は多く、我々世代は恵まれている。ただ、中間層の30〜40代になった時の上がり幅が小さく不安。『日本型雇用』は終わった。自分の市場価値を高めれば、転職時に年収はもっと上がる」
Cさん「キャリア構築への不安が大きい。活躍している同世代のSNS投稿を見て焦りが生まれた。体力がある20代で様々な経験をすれば、30代以降のキャリアで選択肢を増やせる」

――前職がどういう環境であれば、転職しませんでしたか。
Dさん「入社後のギャップが大きいと離職につながりやすい。就活時に『定期的な配置転換で希望部署にいきやすいよ』と言われたが、実際は異動までに5年以上かかると知った。あとトップダウンの指示が強すぎると現場の士気が下がる。現場から問題提起をし、話し合える場があればやりがいにつながった」
Aさん「若者は残業したがらないと言われるが、私は違う。意義がわからない仕事は苦痛だが、成長を感じる仕事は楽しく、いくらでもできる。若手の仕事の意義をもっと説明すべきだ。上層部の企業戦略に若手も巻き込む環境があれば転職を思いとどまった」
Cさん「同僚や上司との対面の仕事がもっとあれば考え直したかもしれない。新卒からコロナ禍を経験した世代で、オンライン会議は味気ない。転職先はあえて全日出社の企業に決めた」

外国での職場のハラスメント

9月2日の朝日新聞、労働政策研究・研修機構の濱口桂一郎労働政策研究所長への取材、「職場のハラスメント、世界では?」から。

―世界でも職場のハラスメントは問題になっていますか。
この20年ほどで、問題として捉えられるようになり、2019年に職場の暴力とハラスメントを禁じる条約が国際労働機関(ILO)で採択され、21年に発効しました。「ハラスメント」という言葉は浸透していますが、国によって問題意識の背景が異なります。
「パワーハラスメント」は日本でしか通じません。日本のパワハラにあたる行為は、フランスでは「モラルハラスメント」、英国では「bullying」、ドイツでは「mobbing」と呼ばれています。英語、ドイツ語はいずれも「いじめ」という意味の言葉です。

―(日本の人事担当者から聞かれる、独自の質問について)どのような質問ですか。
「どこまでやったらハラスメントになりますか」という質問です。上司による部下への指導の中で、それ以上厳しくするとパワハラになる一線があると考え、どこにその線を引けばいいのかと悩んでいるのです。
職場ハラスメントは、海外では同僚間で起きる「いじめ」を指すことが多い。指導の厳しさで線引きできる「程度」の問題ではなく、本来職場にあってはいけないものなのです。
欧米の企業は職務を明確に決めて、そのスキルをもった人を採用する「ジョブ型雇用」なのに対し、日本の企業は新卒などをまず採用し、その後に企業がスキルを身につけさせます。このため、上司の指導をめぐって独特のパワハラという問題が生じているのだと思います。

―海外ではどうですか。
主要国で職場ハラスメントについて立法化しているのはフランスぐらいでしょう。1998年に作家マリーフランス・イルゴイエンヌの「モラルハラスメント」が出版され、職場のいじめに「モラハラ」という名前がつきました。2002年にはハラスメントに言及した労使関係現代化法ができました。
英国は、一般的なハラスメントに関する法律で対応しています。もともとはストーカー問題で導入された法律です。米国では差別を禁止する公民権法に位置づけられています。

――罰則規定がある国もあると聞きます。
フランスでは拘禁や罰金がありますが、世界的には罰則は一般的ではありません。国によって問題の捉え方やハラスメントの性質も違います。日本のパワハラ問題に他国の対策がなじむとは思えません。

転職経験者の3割「辞めた会社に戻りたい」

9月2日の朝日新聞に「転職経験者の3割「辞めた会社に戻りたい」」が載っていました。

・・・過去に退職した会社に戻りたいと思ったことがあるか――。就職情報会社マイナビが7月、転職経験がある約1千人にそんな質問をしたところ、3割の人が「戻りたいと思ったことがある」と回答した。専門家は企業は一度離れた働き手との接点作りは人材獲得に「プラスの影響があるかもしれない」と指摘する。
調査は7月1~6日に、従業員3人以上の企業で働く20~50代を対象にインターネットで実施した。転職経験がある人の回答は1005件で、過去退職した会社に戻りたいと思ったことが「ある」と回答したのは32.9%だった。

理由は「育児中は残業の少ない職場にいたかったが、子どもが大きくなったため前職くらい給料が多く、残業できるようになりたい」などライフステージの変化に関する声のほか、「退職前に気がつかなかった良い面に気づいた」「以前働いていた会社や仕事内容が自分に合っていたと痛感した」という声があった。
また、転職経験者のうち退職した会社と連絡を取っていると回答したのは57.5%に上った。

人手不足から、企業は中途採用の活用が進む。
企業の中途採用実施率は2024年6月で41.8%だった。今年7月の調査では、企業が中途採用の比率を高くするなど人材が企業間を移りやすくする「人材の流動性促進」について、企業の採用担当者約850人のうち6割超が「プラスの印象」をもっていた・・・