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2006年欧州視察随行記

2006年欧州視察随行記

7月9日(日曜日)
12時に成田発、11時間半の飛行でパリ着。時差が7時間あるので、パリでは16時30分。いつもの新潟上空から日本海を北上するルートでなく、北海道から北上するルートを通っている。乗務員に聞くと、北朝鮮のミサイルを避けるためだそうで、この方が短縮できるとのこと。後で新聞を読んだら、こっちのルートの方が時間がかかると書いてあったが。
(邪魔の入らない良い書斎)
例によって、離陸後しばらくして食事が出る。ワインも控えめに。食事を終えたあとは、訪問先の資料に目を通し、読書と原稿書きにいそしむ。
他にすることもないし、景色を楽しむこともできない。しかも電話や来客もないので、集中できるありがたい時間。職場ではこうはいかない。新書を1冊読んだほか、原稿も進んだ。携帯パソコンも、座席にコンセントがあるので電池を心配せずに使える。機内では無線ランが使え、ファーストクラスにはラン端末があるとのこと。
もっとも、長時間じっとしているのは疲れます。ペットボトルの水を、何本飲んだかな。
(静かなパリ)
パリは最高気温30度で、とても暑い。ホテルでチェックイン後、早速、駐仏大使公邸へ。大使から説明を聞きながら食事。この公邸は、前回の随行時もおじゃましている。20時からワールドカップの決勝戦フランス対イタリアが始まるので、早々と切り上げてホテルに帰る。
日没は22時頃とのこと。外は明るいが、人通りが少ない。いつものパリとは、感じが違う。みんな、家でテレビを見ているのだろう。コンコルド広場では、警察官(機動隊?)が大勢準備をしている。試合が終わると、群衆で埋まるそうだ。
7月10日(月曜日)
(フランスの国営放送)
今日は朝から、フランステレビジョン訪問。フランスのテレビは、かつてチャンネルごとの公営企業体だったが、自立できるところ(現在の1チャンネル)を民営化し、残り(2、3、5チャンネル)を国営にした。国営にする際に、それぞれのチャンネルを会社にし、持株会社にぶら下げた。それが、フランステレビジョン。日本では、NHKにあたる。民営化できる部分は民営化し、残りは国で持つ。これも一つの考え方だ。
国営放送だが、コマーシャルも流していて、収入の3割を占めている。受信料は、近年、住民税と一緒に集めるようにした。いろいろと工夫している。その他、国際戦略なども聞く。
熱心な質疑応答で、2時間以上かかった。NHKが取材に来てくれて、この様子は、日本で11日早朝のニュースで放送されるとのこと。
昨夜、ワールドカップを放映していたのは、第1チャンネルで、これは民放。第2チャンネルはNHKでいうと総合放送、第5チャンネルが教育放送に当たる。第3チャンネルが、興味深い。地方局12局が作る、ローカルな番組を中心にしているとのこと。フランスの行政はかつては日本以上に中央集権だったし、パリの一極集中も甚だしい。そのことと、このチャンネルとの関係を勉強したかったが、時間がなかった。
フランステレビの前で
(随行の仕事)
今回も、大使館、特に総務省から来ている植村君と渋谷君にお世話になった。こちらも随行は2度目だし、気心の知れている人がいると話が早い。若い職員は、日本でも国会議員とはそんなに接触していないので、議員との距離感がわからないだろう。私の重要な仕事は、その間の「通訳」みたいなもの。
もっとも、議員さん達は「全勝ほど、厚かましい官僚はいない」と笑っておっしゃるので、私の立ち居振る舞いを真似してはいけない(笑い)。でも、議員さん達が何を考え、何をして欲しいかを早く察知するのが、総務課長の仕事。それによって、次の行動が円滑に行く。総務課長の仕事を、「潤滑油」と例えた人もいる。もちろん、「先生、それはできませんよ」、私の場合は「先生、それはあきませんで」と言うのも、重要な任務。
今回は、自民党3人、民主党1人、共産党1人、社民党1人の6人。衆議院総務委員会の委員長と理事の中から選ばれている。随行は衆議院事務局1人、総務省2人。ふだんしょっちゅう接している人たちだが、朝から夜まで一緒にいるのは、勝手が違う。今回のメンバーも理解の早い議員さん達で、ありがたい。「国会は動物園だ。政治家は変わり者の集まりだから」とおっしゃる議員もおられる。そこまでは言わないとしても、それぞれ個性がある人たちだし、自己主張も強い。その人達の意見集約も、重要な仕事。
(フランスチーム帰国)
午後は、フランス上院へ。ところが、夕べと違って、街の中心部が大渋滞。フランスサッカーチームが帰ってきて、シラク大統領と会い、ホテルクリヨンでファンの歓迎を受けるとのこと。その交通規制にぶつかってしまったらしい。
コンコルド広場に面したクリヨンの正面には、フランスチームの大きなユニフォームが飾ってある。橋を渡った反対側の上院の正面も、フランス国旗の三色のリボンが飾ってあって、さらに「フランス頑張れ」と書いてあった(11日朝に通ったら、「フランス頑張れ」は外されていた)。昨夜は、試合に負けたからか、負けてもなのか、街は意外と静かだったらしい。
(上院)
上院は、貴族の館を改修して使っている。議会事務局の人が、詳しく案内してくれる。本会議場は577人入るが、とても狭かった。石造りの建物は、こうして改造して使える。これが木の文化と石の文化の違いか。日本なら、すぐ新しい建物を建てるだろう。
フランス革命からの歴史が、そこここに展示してある。共和制の母国であることを、誇示するようだ。
7月11日(火曜日)
(フランス新幹線)
今日は早起きをして、ホテル発。パリ北駅から、新幹線でイギリスへ。ヨーロッパの駅は通常は改札がないが、新幹線にはある。国際列車なので、切符を見せたあと、税関とパスポートコントロールを通る。
こちらの新幹線のレールの幅は日本と同じ標準軌だと思うが、車内は横幅は意外と狭い。ビジネスクラスに乗ったが、横に座席が3列。朝食がでる。座席にコンセントがあるので、パソコンを使ってこの日記を書いている。
(フランスの農村)
フランスの農村風景の中を、静かに列車は進む。なだらかな起伏の農場が広がり、所々に集落がある。落ち着いたきれいな風景。集落もまとまっているし、家々が同じような色と作りなので、美しい。屋外広告が目立たないこと、電信柱が見えないことも大きい。かつてはこの風景に感激したが、このごろは慣れてしまった。
飛行機の上から見る農村風景も、美しい。平坦な農場が、植えてある作物の違いで、パッチワークのように見える。春まき小麦、冬まき小麦、牧草だろうか。もちろん、飛行機から見た日本の農村風景も美しい。整然とした田んぼ、里山や山々。きれいなものだ。西欧が黄色と土色と赤が基調なのに対し、日本は緑が基調になる。