11月26日の日経新聞グローバルオピニオン、ダミアン・オブライエン氏(スイスの人材コンサルティング会長)の発言「企業リーダー早期に選べ」から。
・・欧米には「CEO(最高経営責任者)はユニークアニマル」という表現がある。企業に限らないが、組織のトップに立つ人間には、他のポストとは違う独特の資質や姿勢が必要だ。あえて言えば、CEOに向いている人と向いていない人がいる。
例えば、CEOは底抜けに楽観的な性格の持ち主であったほうが良い。どんな難局に臨んでも、「何とかなる」という前向きな気持ちを失わず、組織を引っ張らないといけないからだ。異質な人材や異質な意見を受け入れる度量の広さも必要だ。多様な人材をうまく生かすことは、企業がグローバル競争するうえで欠かせない。
自分を犠牲にしてでも、組織に尽くすメンタリティも求められる。リーダーに私心があってはならない。さらには孤独に耐えて決断を下す心の強さも必要だ・・
日本企業は改革を進めるとは言うが、人事システムのような内部慣行はあまり変化していない・・だが、現状がうまくいっていないのなら、従来のやり方は変えないといけない。米欧の企業経営は、過去20年で大きく進化した。次は日本が変わる番である・・
詳しくは、原文をお読みください。
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生き様-仕事の仕方
国会答弁案作り、その3
「国会答弁案作り」の記事に、何人かの人から、批判が来ました。
Aさん(自治体職員)
「私の職場では、押し付け合いに勝利した管理職が、『できる管理職』と称されるようです・・」
Bさん(国家公務員)
「国会答弁を引き受けても、何もメリットはありません。特に各省協議が必要な場合は、面倒だし、明け方までかかるので、いやです。がんばって答弁を書いても、上司は評価してくれません・・」など。
「いやな仕事を断る上司が、良い上司」「面倒なだけで評価されない仕事なら、しない方が『賢い』公務員」。
職員から見ると、そう見えるのでしょうね。この状態を打破するには、面倒な仕事を引き受ける職員を、正当に評価することが必要だということですね。
プロ野球で、送りバントを成功させた選手を、年俸査定の際に評価するのと、同様な仕組みが必要でしょうか。
国会答弁案作り、その2
さて、職員が答弁案作成を嫌がるのは、次のような質問でしょう。
まず1つめは、これまでにない質問、取り組んでいない課題についての質問などです。
「これまでにも出た質問」は、前例通りに、そしてその後の進展を加味して、簡単につくることができます。これまでにない質問の場合に、困るのです。
普段にどれだけ「想像力を活かして、考えているか」が問われます。質問が出てから(それはしばしば夜になります)考えていては、間に合いません。
すると、答弁原案は、これまでのいきさつが長々とかかれ、「今後適切に対処して参りたい」という、内容のないものになります。これでは、答弁する大臣も総理も困るでしょうし、質問した議員も、腹が立つでしょう。
もう1つは、1つの課に収まらない質問が出た場合です。「それは、私の課の担当ではない」と、押し付け合いが始まります。ようやく分担が決まって、各課で作った文章を持ち寄り、足し合わせます。すると、できあがった答弁案は、各課が行っている事実が羅列された、ポイントのないものになります。これまた、大臣が満足するものにはなりません。
このような「これまでにない質問」「いくつかの課にまたがる質問」のときに、上司の力量が問われます。
各課で押し付け合いが始まる場合には、主たる責任者を決めるか、あるいは自分で執筆の方針を示します。各課に任せておいて、出てきた答弁案を見てから怒っていては、時間の無駄です。かつて岡本課長補佐が押し付け合いをしていて、局長に一喝されたことは、『明るい係長講座』に書きました。
総理の立場や大臣の立場に立って、「良い答弁案」を作ることができるのは、それら各課を統括している地位にある人です。もちろん、総括課の課長や補佐は、それを代行することができます。
しかし、これまでにないことを聞かれた場合は、責任者と方針を決めてからでないと、書けません。それは、局長や統括官の仕事です。中には、私だけでは決めることができない場合もあります。その場合は、2つの案を作って、翌朝に大臣に相談することもあります。
多くの府省おいて、答弁案作成は、課長(参事官)が責任者です。課長補佐や係長が原案を書いて、課長が手を入れ、局長(統括官)に上がってきます。しかし、いくつかの課にまたがる質問、これまでにない質問にあっては、上司が早々と「出て行く」必要があるのです。
もちろん、部下の教育を優先して、できの悪い答弁案が出てくるのを待ってから、指導する方法もあります。しかし、それは、労力と時間の無駄だと、私は考えています。
みんなが気持ちよく仕事ができて、早く帰ることができて、かつ大臣も満足する案を作る。そのためには、どうしたらよいか。
そこで、国会開会中は、私は毎日夕方に国会班のところに行って、「私が書く質問はないか?」と御用聞きに行くのです。早く寝るために。
国会答弁案作り
今日、国会が解散されました。国会答弁案作りも、しばらく休業です。国会班の皆さん、ご苦労様でした。さて、いつかこのホームページに載せようと、下書きしてあった文章を載せましょう。
国会での質問が出たとき、答弁案の作成をいやがる職員がいます。私には、理解しにくいことです。
私は、国会答弁案の作成が、大好きです。審議が予定されている前日の午後には、国会班のところに顔を出して、「質問はまだ出ないの?」と催促します。
まず、質問が出ることが、うれしいです。私たちが取り組んでいる仕事に、国会が興味を持っているのです。
私たちの仕事は、「人知れず、ひっそりと」「世間を離れて、秘密裏に」という仕事ではありません。日本社会を相手にしているのですから、国民や世間の人にわかってもらって「なんぼ」です。取り上げてもらうということは、私たちの仕事が、それだけ認知されているということです。
かつて課長補佐の時に、「国会質問の数に応じて、各課に職員と予算を配分すべきだ」と、極端な主張をしていました(苦笑)。
もちろん、国会質問は、ほめていただくことは少なく、お叱りを受けることの方が多いです。そこはつらいですが、私たちがやっていることが誤解されているなら、訂正できる良い機会です。
もし、議員の指摘が正しければ、是正する良い機会です。変更や改革をいやがる関係者に対して、「いや~、国会でも指摘されまして。是正しておかないと、次の国会でもたないのですわ・・」と、説得できます。
また、夜遅くに質問が出てきたり、どの省庁が書くのか割り振りでもめて深夜になることを考えれば、早く質問が分かって、早く書いて寝る方がうれしいです。
この項続く。
職員の反論
今朝、出勤すると、週末の金曜夜から日曜日までの間に、20通ほどのメールが届いていました。その中に、仕事の報告のメールに続いて、同一職員から「お詫びのメール」が来ていました。その趣旨は、「先ほど、仕事のメールを送りました。休日出てきたことについて、大目に見てください。今後、作業がますます忙しくなるので、今のうちにできることは片付けておきたいのです」とのことでした。
私が日頃、職員に「できる限り休日出勤するな」と言っていること、また夜遅いメールや休日のメールには「そんな時間に働いているのか」と返信するので、彼が先手を打ったということです(苦笑)。
彼らの仕事への取り組み姿勢に、頭が下がります。申し訳ありません。