カテゴリー別アーカイブ: 仕事の仕方

生き様-仕事の仕方

目標実現のための戦略を持つ。教養が必要

5月9日の日経新聞夕刊、私のリーダー論、米パーソンズ美大・大森美希さんの「辞める日視野に就職を」に、次のような指摘があります。

――目標を実現するために必要なことは。
「自分のやりたいことが見つかったら、その時点からすぐにビジョンを実現するための戦略を持つことをお勧めします。私は学生時代、ファストフードやスーパーのレジ打ちのバイトをしている時でも、得られるスキルを将来、ファッションデザイナーになったときにどう役立てるか考えていました。戦略を持っておけば、いろいろな回り道をした経験も後で有効にいかせるようになります」

――日本の多くのファッションブランドは海外の流行の後追いをしているとの指摘もあります。世界の最先端の業界の現場では、新たな流行はどのように形作られるのでしょうか。
「トレンドを創るデザイナーたちは、社会の雰囲気、空気感や同じような時代だった過去のファッションを参考にします。将来への人々の願いも反映されます。例えばコロナ禍の後だから開放的な明るい色や花柄が良いとか、インフレで生活が苦しいからもっと地味なものを好むとか、様々な要素が影響します」
「優れたデザイナーは1929年の大恐慌の後のファッションとか、過去のトレンドのほとんどを把握しています。そのうえで次の潮流を考えていくわけですが、そこで大事なのは教養です。たくさんの一流のアーティストと付き合いましたが、ファッションで一流でありたいと思うのなら専門外の本や芸術に親しむなど幅広い教養を持つことが重要だといつも感じます」

中途採用の増加、3大銀行で5割に

5月2日の日経新聞に「3メガバンク中途採用5割に迫る 24年度、三菱UFJは6割」が載っていました。

・・・3メガバンクの2024年度の採用計画が出そろった。三菱UFJ銀行は中途で23年度比7割増の600人を採用し、新卒を初めて上回る見通しだ。3メガ銀全体で中途比率は45%と5割に迫る。デジタル化や富裕層向けビジネスの重みが増すなか、新卒一括採用で様々な部署を経験させて人材を育成してきた従来の手法が転機を迎えている。
三菱UFJ銀行は24年度に中途600人、新卒400人を採用する計画で、中途の数がはじめて新卒を上回る見通しだ。23年度は中途347人、新卒354人だった。システムやデジタル関連などに重点を置き採用する。
三井住友銀行の中途採用は過去最高だった23年度と同水準の200人となる見通し。持ち株会社や銀行などのグループ各社で従業員を一括採用するみずほフィナンシャルグループ(FG)は、23年度実績比では減少するが22年度比では2割以上多い400人を採用する。
24年度の3メガ銀の中途採用は1200人に達する見通し。中途、新卒を合算した3メガ銀の採用数は2650人となり、中途比率は45%と5割に迫る勢いだ。

これまでは3メガ銀の中途採用の割合は18年度で5%にとどまるなど、新卒一括採用を優先する色が濃かった。日本経済新聞社の採用計画調査では同じ時期に主要企業は20〜30%程度で推移しており、24年度は4割に達した。3メガ銀の中途採用の割合は新型コロナウイルス禍を経て主要企業とほぼ同水準に追いついたことになる。17年度以前も各行中途は数十人規模といい、全体の割合からみてわずかだった。24年度の中途比率45%は過去最高とみられる・・・
中途採用者の増加が与える衝撃

用之則為虎、不用則為鼠

難しい古典漢文の説明を続けている肝冷斎。時には、私にも分かる話があります。5月9日の「各自有時(山谷題跋)」。

「用之則為虎、不用則為鼠」「これを用うれば虎と為り、用いざれば鼠と為る」が出てきます。
漢の賢者・東方朔の言葉だそうです。「それを活躍させてやればトラにもなるだろう。活躍させないのならネズミになってしまうだろう」

個人を静かにさせれば安定し、活動させれば不安になる。尊敬されるように配慮するなら将軍にもなろうが、これを抑圧すれば捕虜になってしまう。持ち上げれば青雲のかなたにまで昇っていくだろう、だが、抑圧すれば深い淵の底に沈む。
こういうよい時代であれば、たとえ賢者がいたとしても、功績を立てるところはもう無いのだ。故に曰く―時代が違えば事態も違う。

しかし、活躍すべき場を与えられたのに虎にならず、猫になってしまう人もいますよね。

朝は頭が働く2

朝は頭が働く」の続きです。
私の現役時代の知人に、「朝は1時間ほど早く職場近くに着いて、喫茶店でゆっくりと過ごし、それから出勤する」という人が何人かいました。朝と昼の弁当を二つ持って出勤する友人もいました。若いときの私はギリギリまで寝ていたので、「よく早く起きることができるねえ」とあきれていました。満員電車の混雑を避け、喫茶店で考え事をするか、ゆったりとした時間を楽しんでいたのでしょう。

通勤電車の中で、私の近くに座って、熱心にスマートフォンでゲームをしている学生や若者もたくさんいます。その熱中ぶりを見ると、かなり頭を使っていると想像します。通勤・通学時間を何に使うかは本人の考え次第ですが、学校や会社にたどり着く前に疲れているのではないかと、人ごとながら心配になります。

会社への忠誠心いらない

4月21日の日経新聞、出木場久征・リクルートHD社長の「海外で買収、英語より熱量」から。

日本企業は「失われた30年」のトンネルを抜けつつあるが、成長力では海外企業に見劣りするのが実情だ。どうすればカギを握るグローバル化とデジタル化を加速できるのか。米社のM&A(合併・買収)により2つの課題に挑んだリクルートホールディングス(HD)の出木場久征社長が自らの体験を踏まえて語った。

――今でこそインディードの買収は海外M&Aの成功例と言われるが、勝算があったのか。
「当時のインディードの売上高は年60億〜70億円だった。どこかの新聞が『これがまた日本企業による高値づかみにならないことを祈る』と書いた記憶がある。個人的にも失敗したら責任をとって辞めるしかないと思い、マンションや車、家具を売って渡米した」

――リスクが高いと分かりながら買収を決めたのはなぜか。
「本当にビジネスを変えなければいけなかったからだ。あらゆる事業領域で米グーグルにやられるリスクがあり、日本の人口が減る中で、当社の事業は人口が増えないとどうしようもないといった課題も抱えていた。八方ふさがりで、これしか食べるものがないという状態だった」
「社内では『おまえ、失敗したらどうするの』と聞かれ、『またやるでしょう』と答えた。人材は当社が一番強いビジネスなので、50年先のことを考えたら失敗しても再挑戦するしかない。このように追い込まれた方が成功する確率が上がるという気がしている」

――では、なぜ成功したのか。
「僕は会社、リクルートのために生まれてきたわけではなく、『こんなことが世の中でできたら楽しいな』という気持ちで仕事をしている。こうしたモチベーションでやる方がうまくいく確率は上がるはずだ。インディードの創業者と気が合い、やりたいことが近いという幸運もあった」

――リクルートHDの社長として、6万人近い社員に会社への忠誠心は不要と言えるか。
「そういうことはめちゃくちゃ言っている。社員から『他社からこのような条件で誘われている』と聞いたときは、『すごくいいね。僕が君の立場だったらすぐに行っちゃうけどね』などと話している。引き留めないのか尋ねられることもあるが、だめなら戻ってくればいいし、一人ひとりが楽しくやるほうがうまくいく」

(奥平和行・編集委員の解説)
「なぜそれが条件になるんですか」。リクルートHDの社長に就く際、帰国を求められなかったかと尋ねると、出木場氏は驚いた表情をみせた。
20年近く前、英国出身のハワード・ストリンガー氏がソニーのトップに就いたときは、日本に住まないことへの非難が社内外で相次いだ。経営者の居場所が問題にならなくなったことは、日本のグローバル化の進展を浮かび上がらせる。
一方、社長の若返りは進んでいない。出木場氏は45歳で現職に就き、前任者よりも3歳若い新トップとなった。だが、日本全体に目を向けると30年以上にわたって新社長の平均年齢は上昇を続けている。
年齢がすべてではないが、出木場氏は「自分の成功パターンで判断するようになり、老害になっているのではないか」と打ち明ける。非連続な変化が必要な多くの組織が耳を傾ける必要がある指摘だ。