カテゴリー別アーカイブ: 仕事の仕方

生き様-仕事の仕方

リーダーの力量・想像力の差

久しぶりに、「明るい係長講座」です。
管理職やリーダーの仕事は、次の二つに分けることができます。一つは、「決められた定型業務」です。もう一つは、「これまでにない新しい仕事」です。後者には、上司から命令された課題、未来に向けての企画、さらに事件事故など危機が生じた場合があります。
決められた定型業務なら、組織はきちんと処理してくれます。上司は、進行管理をしておればよいのです。これに対し、これまでにない仕事に取り組む際に、リーダーの能力に差が出ます。一方に、あわてふためく人、いろいろ悩むが結論の出せない人など、できの悪い上司がいます。それに対し、的確に仕事を進める頼もしい上司もいます。
その差は何か。私は、一言で言うと、それはその上司の持つ「想像力」の違いだと思います。どれだけ広い視野で、物事を考えることができるかです。危機が生じた時、想像していなかったことが起こると、パニックになります。想定内のことなら、上手に処理できます。新しいことを企画する時、想像力が貧困では、良いアイデアは出ません。アイデアが豊富なら、優れた案も出てきます。
その想像力の差は、何で生まれるか。何で身につけるか。
一つは、経験です。一度経験したことは、次には上手にこなせます。もう一つは、勉強です。歴史や他人の経験を知ることで、我が身に置き換えてうまく処理できます。古人曰く、「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」。
しかし、これまでにないことが起こる場合は、これらが役立ちません。その際に効果を発揮するのは、自ら想像してみることです。イマジネーションを膨らまして、「こんなことが起こったら、こうしよう」とか「あんなことが生じたら、ああしよう」とかです。議会の想定問答、記者会見での受け答えなどが、これです。
企画の場合は、いろんな人(専門家)を知っていることも、ここに分類しましょう。自分一人で考えるには限界があるので、想像力のアウトソーシングをするのです。しかし最後は、その人が決めなければなりません。
軍隊の参謀や、知恵モノといわれる職員など。彼らに共通することは、「想像力が豊富」ということでしょう。少し範囲を広げると、新しいことを発明する技術者、新しい理論を見いだす科学者は、日夜新しいことを想像しています。さらに、球技などのスポーツ選手や将棋などのゲームにも、当てはまります。「相手は、次にどのように攻めてくるか」、これを読むことが、勝つ秘訣です。
もちろん、想像力が豊かなだけでは、ことは成就しません。次に、それを実現する過程が必要です。(続く)

ロールモデル・お手本になる先輩

昨日の続き(「科学の伝道師」11月1日)です。鎌田先生は、新著『知的生産な生き方』(2009年、東洋経済新報社)で、「ロールモデルを求めて」を副題にしておられます。先生の言葉を借りれば、「自分の人生で目標とする具体的な像」です。
社会人なら誰でも、多かれ少なかれ、人生の「お師匠さん」がいるのではないでしょうか。お手本にしたい上司とか先輩とか。本で読んだ偉人でという場合もあります。そのようなお師匠さんに巡り会えると、幸せですよね。
「人生は、白地のキャンバスに絵を描くようなものだ」という表現もあります。しかし、会社員にせよ科学者にせよ、全く白地からのスタートでは、あまりに負荷が多すぎます。それに、普通は、自分の属する会社や学会と全く離れて、独自の創作をすることはあり得ません。
お師匠さんをお手本にして、少しでも近づきたいと思う。そして、できれば、お師匠さんを越えていく。人生って、そのようなものではないでしょうか。そのお師匠さんは、親であったり、上司であったり、先生であったり・・。
しかし、しばしば、お師匠さんには近づけず、できの悪い弟子で終わります。また、お師匠さんを越えなければ、それはエピゴーネンで終わるのでしょう。
もっとも、「あの先輩のようには、なりたくない」という、反面教師のロールモデルも、よくある話です。自ら反省。

リーダー育成と研修

15日から日経新聞「やさしい経済学-経営学のフロンティア」は、金井寿宏教授の「リーダー育成の連鎖」を連載しています。
17日は、「721の法則」です。リーダシップが発揮できるようになる上で有益だったのは、7割が仕事上の経験、2割が上手な人を通じての薫陶、1割が研修ということです。研修やセミナーが役に立つ割合は、とても低いです。

私が貝になる時・面談時のメモ取りの反響

先日書いた「私が貝になる時・面談時のメモ取り」に、いくつか反響がありました。
「全く同感です。しかも、ぞろぞろと、たくさんの人が付いてきて。なんとかなりませんかね」
「大臣室や知事室に入る時は、お付きの人を制限しています。写真撮影が目的の面談は別ですが」
「面前でメモを取るのは、失礼です。覚えておいて、後で要点をメモにするべきです」
「私の上司は、詳細なメモを求めるので、どうしてもメモを取る必要があるのです」
「たくさんお付きの人が入る面談は、重要じゃないのです。まじめに相談に乗る方が、間違いです。重要な要件なら、お付きは最小限にしているはずです」(8月30日)

私が貝になる時・面談時のメモ取り

最近、気になることがあります。職務柄、知事さんをはじめ自治体の幹部と、お話しする機会が多いです。時に、随行の方が、同じテーブルや応接セットに着かれます。それは問題ではないのですが、ノートを広げて、メモを取られる方がおられます。
まあ、季節のご挨拶なら良いのですが、問題を相談に来られる方もおられます。私は、本音をしゃべる癖があります。相手が知事さんであろうが、単刀直入に「本音」をお話しします。その方が、儀礼的な挨拶や、腹の探り合いをしているより、効率的ですから。
でも、堂々とメモを取られると、「これは危ない」と思って、何もしゃべらないようになります。相づちを打つか、「そうですね」としか答えられないのです。だって、私の本音がメモとなって、世間を独り歩きすると、どのように悪用されるか、わかったものではありません。
時々「イヤー、メモを取られると、本音でしゃべれませんね」と、注意を喚起する場合もありますが、多くの場合、下を向いたまま、熱心にメモを取っておられます。その瞬間、「こりゃ、この上司もあかんわ」と思い、ますます貝になります。