カテゴリー別アーカイブ: 仕事の仕方

生き様-仕事の仕方

部下の指導・歳を取ったら

私は若いとき、先輩たちを見て、「歳をとったら、人間は円くなるものだなあ」と思っていました。私が55歳になって、「全勝も、昔の全勝ではなくなった。部下をしかることもなくなったなあ・・。これが歳をとることか」と、感慨にふけっておりました。もっとも、周りの人からは、「それでも怖い」と、思われているのでしょうが。
ところが、同僚や後輩と話をすると、そうでもないらしいのです。自ら「私は、怒りやすくなりました。更年期障害でしょうか」とおっしゃいます。最近でも、3人いました。3人とも、とても優秀な公務員(中央省庁と地方自治体)で、出世しています。
歳をとって、こらえ性がなくなる人は、まじめな人だと思います。若さ(良い意味で)を、失わない人だと思います。丸くなる人は、あきらめが早くなり、体力気力が衰える「老人」なのでしょう(反省)。

ほめてやったら、喜んで終わり?

先日、消防庁の広報誌「消防の動き」に、職員教育について小さな文章を書きました。そこで、山本五十六元帥の名言「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」を引用しました。すると、それを読んだ知人から、次のような便りが来ました。
・・この言葉を、私も意識して職場で活用していますが、最近悩んでいるのは、「ほめてやったら喜んで終わり」、の若者への対処方法です。フィードバックして、次に生かす意識を育てることが出来ません。何かよい方法はないものでしょうか?・・
うーん、難しいですね。動物の親は、子どもにえさの取り方を教える場合に、簡単な事例から少しずつ難しい事例に、難度を上げていくことがあると、聞いたことがあります。手間暇をかけるしか、ないのですかね。

他流試合の勧め

私は、若い人たちに、「他流試合」の勧めを、説いています。
同じ職場や同じ業界、気心の知れた人と話すのは、それはそれで勉強になります。しかし、違う仕事や違う立場の人と話すことは、もっと勉強になります。私たちの知らないことを、学ぶことができるからです。また、当方の話をして、理解してもらえない場合も、なぜ通じないかが、勉強になるのです。
話が通じないのは、多くの場合、私たちの話が独りよがりであったり、業界用語であるからです。ノーベル賞ものの研究でも、周りの人に理解してもらえないと、評価はされません。まして、私たちの仕事は、住民や国民が相手です。「誰もわかってくれない」では、困るのです。
マスコミの人たちとも、同様です。「記者さんは、わかってくれない」というのは、記者の側に原因があっても、良い結果を生みません。勉強に来ている記者さんにすら説明できないようでは、住民にはわかってもらえないですよね。
もちろん、身内の人と話すのは楽で、特に話を聞いてくれる人はありがたいです。飲んでいると、楽しいです。自分が大将になった気分でも、あるいはお互いに傷をなめ合っている場合でも。しかし、進歩は少ないです。それに引き替え、他流試合の場合は、緊張し、苦労します。それが、役に立つのです。
若者諸君、身内と飲んでいるくらいなら、他流試合に出かけましょう。

学生を引きつける授業

消防大学校の授業に、校歌練習があります。私も最初は、その必要性と効果を疑問に思っていました。ところが、学生たちの評価は高いのです。「発声の基本がわかった」とか「ぐいぐいと学生を引きつける教授法がすごいです」といった評価が、書かれます。今日、私も授業に参加し、なるほどと納得しました。「校歌練習」は導入部であって、発声の基本、挨拶の基本を、厳しく指導してくださいます。
社会人である以上、人前で話す、それも相手にわかりやすく話すことは必須です。さらに消防の場合は、現場での指示・指揮・報告・確認と、はっきりと手短に伝えることは基本です。もちろん、大学校に入校するのは各消防本部の幹部と幹部予定者ですから、声は大きくはっきりしています。しかし、音楽の先生の前に出ると、まだまだなのです。
全員で、あるいはグループで、さらには個別にみんなの前で、歌を歌ったり、名前を名乗ったり、挨拶をさせられます。そして、どのような点が悪いか、良いかを指摘してくださいます。学生は、声を出すことで参加し、指名されることで緊張し、しかられることで緊張感が高まり、褒められることでほっとします。人を動かす際の基本ですね。先生はもっといろいろな工夫をしておられますが、「企業秘密」でしょうから、これ以上は書きません。

わたしの仕事術:当面の仕事の書き出し

今日は、仕事の進め方について、お話しします。と言っても、その取りかかり方です。
拙著「明るい係長講座」では、年間業務予定表の必要性と効果を、書きました。 あれは、組織の業務管理です。今日は、それを前提に、各人の仕事の管理をお話しします。
もちろん、私の職場にも行事や業務の予定表があり、私自身も手帳に仕事の予定を書き込んで、スケジュールを管理しています。しかし、それは会議や懇談会などの「行事の予定」=「時間の予定」であって、自分で考え片付けなければならない「作業の予定」=「頭の予定」ではないですよね。
例えば、「13日13:00~14:00 校長講話」と、手帳に書いてあっても、それは行事・業務の予定であって、私がまずしなければならないことは、その準備(レジュメの作成、話す内容の骨子づくり)です。重要なのは、本番の前の準備です。しかし、それをいつするかは、手帳には書いてないのが普通でしょう。
また、私たちの職場では、一つの仕事に没頭しておればよい、ということは少ないです。同時にいくつも仕事を抱えていて、どれもが、なかなか片付かないことって、多いですよね。
仕事が縦一列に並んで、来てくれればよいのですが。それも、簡単な仕事から順に。アリくらいの仕事の後ろにネズミくらいの仕事が。ネズミの後ろにネコが。ネコの後ろにイヌが・・というように(笑い)。
世の中、そうはいきません。縦一列でなく、横一列や集団で、こちらに向かってきます。昔、夜店やゲームセンターの射的で、そんなのがありましたね。右に出てきたトラに照準を合わせると、左の方でゾウが出てきて。そっちに気をとられていると、また奥の方でライオンが出てきて・・。迷っているうちに、的が隠れてしまい、どれも倒すことができないのです。
私たちの抱える仕事も同じで、大物や小物が混在していて、いらいらします。夜寝る前とか、朝机に向かった時に、仕事がいろいろ浮かんで、憂鬱になったことって、ありませんか。
私は、仕事を、次のように整理しています。
まず、抱えている仕事を、紙(A4の罫紙)に書き出します。大物も小物も。その際に、「当面の仕事」と「中長期的課題」とに分けます。「当面の仕事」には、締め切り日を書きます。
そして、それぞれの中は、「本業」「副業」「その他」に分類しておきます。副業といっても、考え事の整理や原稿です。その他とは、雑事です。もちろん、「本業」が一番大切なのですが、「その他」に入っている仕事にも、気がかりなことは、たくさんあります。
「なーんだ、それだけのことか」と、がっかりなさる人も、多いでしょう。
しかし、「明るい係長講座」にも書きましたが、目に見える形にしないと、人は忘れます。さらに、書き出すことで、まずは全体がつかめて、一安心します。
頭の中にあるだけでは、ぐるぐる巡りをして、不安を増長します。「あれもしなければ」「これも片付けなければ」と思っていると、いらいらするだけで、ちっとも進みません。
次に、急ぎのものとそうでないものを分類することで、急ぎの優先順位が見えます。そして、大物と小物が見えて、どれに力と時間がかかるか、配分がわかります。このように優先順位をはっきりさせることで、本人は安心し、仕事も進みます。
「見える化」は、仕事を整理するために、とても重要なことです。
処理できた項目には、赤鉛筆で「済み」と書き込ます。この瞬間が、うれしいのですよね。途中まで進んだ項目には、「あと、××が必要」と書き込みます。
順に片付いて、赤鉛筆で消していくのですが、残念なことに新しい仕事が入ってきて、加筆され、項目が減ることはないのです。数日経って、メモが汚くなると、全体を書き換えます。
私は、こんなことを、1週間や10日ごとに、繰り返しています。
貼ってはがせるメモ用紙(ポストイット)に、処理しなければならない仕事を書き込んで、机に貼っている人もいます。あれは見た目がきれいでないことと、全体像がつかめない、優先順位が見えないので、私は採用していません。
ノートに書き込む人もおられますが、私は、1枚の用紙の方が見やすいのと、すんだら捨てる主義なので、ノートは使っていません。
皆さんも、それぞれ工夫してやっておられることでしょうが、私のやり方を「明るい係長講座」続編として書きました。