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地方行財政

三位一体改革34

各紙が連日、推測による(一部は誘導による)記事を載せていますが、紹介は省略します。24日の日本経済新聞「経済教室」は、梶原拓知事会長の「税源移譲で財政再建へ」を載せていました。なかなかの学術的論文です。同じく「ニュースがわかる」は、「都市財政悪化止まらず」を解説していました。
関西大学の林宏昭先生が、関西社会経済研究所で発行しているヌーベルエポックという小冊子に、「住民が支える地方行政へ-官対官の三位一体改革」を書かれました。(11月24日)
関係閣僚の協議が、続けられています。24日は深夜0時半(25日ですね)までだったそうです。新聞記者さんたちが「どう決まりましたか」と尋ねてきますが、小生にはわかりません。関係大臣も全体像が決まるまで、一部分をしゃべるわけにいかないでしょう。
25日の日経新聞は「大詰めの三位一体・地方から問う」で山出保全国市長会長のインタビューを載せていました。産経新聞は、政治ジャーナリストの細川珠生さんの意見を載せていました。東京新聞は、24日の国と地方の協議の場で、地方団体側は「裏切られた場合は地方案を撤回する」と通告したと伝えています。(11月25日)
26日の日本経済新聞「大詰めの三位一体」は、松下正幸関西経済同友会代表幹事のインタビューを、読売新聞は地方分権に関する世論調査を載せていました。(11月27日)
【政府・与党案決定】
お待たせしました。26日に政府・与党案が決定しました。「2兆4千億円税源移譲決定。一部の詰めは先送り」といったところでしょうか。なかなか微妙な決定です。各紙が、内容・評価・論説を大きく伝えています。
私の評価を、簡単に書いておきます。大きく「財政・分権論」と「政治過程・政局論」に分けて見ましょう。
「財政・分権論」
これをさらに、この3か月という短期的視点と、この数年という中期的視点から見てみます。
(短期)
地方団体案が、後退したことは事実です。与党との調整(妥協)を経て、与謝野政調会長は「100点満点とはいかないけれど、党半分、政府半分」とおっしゃってます。
①しかし、2.4兆円の税源移譲は確定し、3兆円も目処が立ちました。「3兆円に達せず」と書いている新聞もありましたが。昨年、1兆円補助金を廃止した際、税源移譲が4千億円しかなかったことに比べれば、格段の進歩です。
今回の決定文の別紙1が「税源移譲」で、別紙2が「補助金改革」でした。これが象徴的です。議論の順は、別紙2が先で別紙1が次でしょう。こうなったのは、別紙1が政治決定され、別紙2が事務的に作られた、という経緯と思われます。税源移譲額が争点になり、もはや交付金化では、ごまかせないのです。
②生活保護費補助率削減など、地方が反対すること回避したこと。
③17・18年度の交付税総額を確保したこと。
この3点で、合格点をもらえると思います。また、今回の決定は、地方案を基礎にし、それを骨格にしていることは間違いありません。
梶原知事会長は、60点と言っておられました。私は75点くらいかなと思ってます。いくつも詰めが残っていること、特に国民健康保険県負担導入、国債を財源とするものの税源移譲未定などが、減点要素でしょうか。
(中期)
第1次分権改革が進んだ2000年の時点、諸井分権委員会が最終報告を出した2001年の時点で、今日のこの日を予想した人がいたでしょうか。累計4兆円の補助金見直しが行われ、3兆円の税源移譲に目処がつきました。所得税から住民税へ移譲することも決まっています。財政の分権は、大きく進みます。
そして、日本政治の大きな争点として位置付けられました。この秋は、三位一体一色でした。今後、後退することや、放置されることはないでしょう。もちろん、関係者の努力が必要ですが。

三位一体改革33

【基本的枠組み決定】
18日に、政府与党で「基本的枠組み」を決定しました。内容は各紙が伝えているとおりです。「補助金3兆円削減は明記、具体的内容は先送り」というのが、大方の見方です。昨日、私が示した評価基準で見てみましょう。
①3兆円の補助金削減と税源移譲は、明記されました。この点は合格。
②補助金廃止の各論は先送り。この点は来週の決定まで、判定はできません。ただし、補助金廃止各論の枠組みは、地方団体案を基礎としています。この点は評価。
焦点の義務教育費は、「含まれる」と官房長官が記者会見していますが、どうなるかわかりません。国民健康保険に新たに県負担を導入するとのことですが、これも詳細が不明で判定できず。公共事業費も一部含まれるとのことですが、税源移譲問題は先送りで、これも判定できず。
③交付税は、17、18年度は「財源措置を行う」として、大幅な削減は無いとのことで、これは評価できます。
もう一つの「決定過程論」ですが、あれほど隔たりがあった「総理・麻生大臣・地方案」vs「各省・自民党」が、一定の方向を合意したことは大きく評価できます。今後の具体化の過程でも、よい影響を与えるでしょう。しかも、ゼロ回答に近かった各省・自民党案に対し、基本は地方団体案になっています。
問題は、これから1週間の詰めです。それがいい結論だと、今回の決定はそれに至る過程として、良いことだったと評価されるでしょう。私がよく使う「ホップ・ステップ・ジャンプ論」です。そうでない結論だと・・。
さて、総理は「最後は私が決断する」とおっしゃっていました。今のところ、方向を示しつつも、総理の決断の場面は出てきていません。、朝日新聞は「融和 根回し 新小泉流」と書いていました。
各紙とも、社説で取り上げていました。朝日新聞は「教育を変える好機に」、毎日新聞は「最終決定に首相は指導力を」、日本経済新聞は「補助率引き下げは構造改革に値しない」、産経新聞は「原点に戻ってつくり直せ」、東京新聞は「地方案の骨は抜くな」です。いずれも、改革を後押しする論調です。読売新聞は、青山彰久記者による「見えぬゴール」を解説していました。(11月19日)
【関係者の誘導と新聞のミスリード】
各紙がそれぞれ勝手に予測記事を書いていること、そして一部の関係者の誘導に乗せられていることは、何度かここで批判しました。前日まで「義務教育費は補助金廃止対象外」と書いた社もありました。そのような記事は誤報であるばかりでなく、抵抗勢力に加担し世論を誤った方向に誘導しています。
この時期に合わせて、財務省が「地方財政には過大なムダがある」と新聞を使ってキャンペーンしたこと、各省が「補助金がなくなると、こんなに地域間で差がつきますよ。事業が無くなりますよ」と書かせたことは、賢明なる読者は既におわかりだと思います。極めつけをご紹介します。15日の経済財政諮問会議の議事録p3の麻生大臣の発言部分です。
「それでは、お手元に配付してある『三位一体の改革の推進のための地方税財政制度』について説明する。この資料について、最初にぜひ確認をしておいていただきたい。私が出した交付税改革の資料が11月13日の土曜日に一部の新聞に掲載されている。金曜日にマスコミにリークされ、財務省の反論を含め、土曜日に掲載されたのだろう。こういった重要なタイミングでこの種のことがおこるのはルール違反である。このようなことが度々あると、情報は出せないということになる。そういった意味では以後慎重にしてもらいたい。ぜひお願いを最初に申し上げておく」。(11月20日)
20日の日本経済新聞は「財政攻防」で動きを、21日の「視点」で義務教育費国庫負担金一般財源化を解説していました。21日の朝日新聞は「文科相に包囲網」で解説するほか、「時々刻々」で市町村合併を解説していました。(11月21日)
21日の産経新聞「解答乱麻」は、小川義男高校長の「義務教育費国庫負担は聖域か」を載せていました。「これほどの経費が学習塾に支出されているとすれば、何のための義務教育費無償化だったのかと、考え込まざるをえない。文部科学省はどのように受け止めているのであろうか」「学習指導要領が守られている限り、教育水準の維持や全国的均質性が害されるものではない」。
21日の毎日新聞「発言席」は増田寛也知事の「地方が自立できる最終案に」を、22日の「グローバル・アイ」は「三位一体の時代的意味:分権、米欧の流れと通底」を載せていました。22日の日本経済新聞「インタビュー領空侵犯」は、渡辺正太郎経済同友会副代表幹事の「分権で新小日本主義:日本人である前に地方人」を載せていました。
23日の日本経済新聞は、「大詰め三位一体、地方から問う」で増田知事のインタビューを載せていました。「地方案を軽視、約束違反」です。また、11月9日のシンポジウム「地方分権と地域の創造」の概要を全面広告で載せていました。(11月23日)

三位一体改革32

【麻生大臣の「三顧の礼」】
政府内では、調整が続けられています。麻生大臣は官房長官と一緒に、森前総理に義務教育負担金廃止について理解を得るべく訪問されました。
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(両大臣の間に写っているのは、篠原総務大臣秘書官。左端は、麦田警護官)
「三位一体の改革をめぐって、細田官房長官や麻生総務大臣、谷垣財務大臣ら関係閣僚は、小泉総理大臣の指示を受けて、18日に補助金削減などの大枠をとりまとめることにしており、17日午前、総理大臣官邸で、その具体的な方向性について協議しました。
その結果、焦点となっている義務教育の補助金の取り扱いについては、地方団体の意向を尊重したいという小泉総理大臣の意向は固いとして、来年度から削減の対象とする方向で、与党側との調整に入ることで一致しました。
これを受けて、細田官房長官と麻生総務大臣は、自民党内で文教議員に強い影響力を持つ森前総理大臣と会談し、来年度から義務教育の補助金を削減したいという考えを伝え、理解を求めました」(画像及び文章は11月17日NHKニュース(HP)から転載)
これは、かつて無い行為だと思います。政府の2大高官が尋ねていくのですから。お互いの意見の違いはあるでしょう、というより、あるからこそ行かれたのですが、膝を屈して行かれた重みは違うと思います。地方団体の方には、よく見ておいていただきたいと思います。
【新聞記事のミスリード】
各紙は、いろんな記事を書いています。それらがいかにいい加減か、このHPをご覧の方はよくわかると思います。
記者はこう言うでしょう、「確かな人から聞いた」。しかし、その人たちは、ある意図を持って発言してます。部分部分は正しかっても、全体の流れから見ると間違っているのです。その記事を載せるかどうかの取捨選択が、各社のデスクの力量だと思います。
政治家や官僚の意図的発言に喜んで食らいつき、勝ったかのように記事にして喜んでいるようでは、レベルは低いですね。これに対しては、「お先棒担ぎ」という適切な名前があります。
17日には、地方6団体の決起集会が開かれました。
日本経済新聞「経済教室」は、小西砂千夫教授が「地方歳出、税と同時決定を」を書いておられました。読売新聞は「基礎からわかる三位一体改革」を解説していました。(11月17日)
新聞もいろんな記事を書きますが、見通しは簡単です。総理が守らなければならない条件は、2つです。
①6月の閣議決定(基本方針2004)で決めた、3兆円補助金削減と税源移譲の達成
②地方団体が納得できる案であること(補助率削減と交付金化は不可)これです。
各紙は、「政府・与党の大枠」の決定に向けて調整が続いていると伝えています。社によって、違った内容(予想)が書かれています。
今回決定されるのは「大枠」とのことで、どの程度具体的かは不明です。その点を除いて、評価のポイントは6月閣議決定と地方提案がどの程度守られたか、すなわち次のような点でしょう。
①3兆円の補助金削減と税源移譲が、書き込まれるか。
②補助金削減項目(各論)が、どの程度書かれるか。特に、義務教育費、公共事業費の扱い。また生活保護費など(削減と書き込まれたら困るもの)の扱い。公共事業費にあっては税源移譲の扱い。
③交付税の扱い(大幅な削減でないこと)。
見守りましょう。
もう一つの視点は、決定過程です。今回は、政府と与党がすりあわせを続けています。これまで三位一体改革は、総理のリーダーシップで進むことが多かったのです。今回のプロセスの意味と影響は、どうかという見方です。
朝日新聞「私の視点」は、大森弥先生の「自治体信頼して推進を」を、同社説は「地方交付税減量に智恵を絞れ」を、毎日新聞は「混迷・三位一体の改革」(下)を、東京新聞は「保育所への補助金削減・反対の声」を載せていました。(11月18日)

三位一体改革31

12日に、政府主催の知事会議が、官邸で開かれました。総理・閣僚が出席し、12時から17時までです。例年この時期に開かれます。かつては国への陳情が主でしたが、近年はまったく様相を異にしています。特に今年は、政府からの依頼を受けて回答した「補助金廃止案」が、政府内での抵抗により進んでいないことへの「突き上げ」でした。また、むちゃな交付税大幅削減を提唱した財務大臣へ批判でした。
総理は「最終的には私が判断しなければならない」と述べておられます(12日夕刊、13日朝刊各紙)。この問題は、最後は総理が裁断しなければならないことは、飯尾潤先生も述べておられました(12日の読売新聞)。(11月13日)
12日の読売新聞は、「三位一体改革談論」で、片山善博知事・飯尾潤教授らの意見を載せていました。もう一人の方の意見は、財務省の主張のまんま=交付税縮小で、表題とずれていました。朝日新聞は「三位一体改革誰のために・工夫凝らし独自教育」を載せていました。
日本経済新聞は、全国知事会総会を載せ、「補助負担率引き下げが強行された場合、法定受託事務の返上や国直轄事業の地元負担拒否などの対抗手段を検討することを決めた」と伝えています。義務教育負担金廃止に反対の石原都知事も「一致団結して12日の知事会議に臨むべきだ」と主張したそうです。(11月12日)
15日の日本経済新聞は「知事会、補助率ルール化要求」を解説していました。東京新聞は「地方はダメ息子ではない」逢坂ニセコ町長の反論を載せていました。(11月15日)
14日の朝日新聞社説は、「三位一体改革。小泉さん、正念場だ」を書いていました。「小泉首相は『地方からの改革案を真摯に受け止め、関係大臣は責任をもって・・』と繰り返している。だれが聞いても、地方6団体がまとめた補助金削減案を尊重する考えは明らかだ」「私たちは、首相に地方案を丸飲みする覚悟で指導力を発揮するように求めてきた」。総理の指導力が問われています。このHPで何度も書きましたが、三位一体改革は日本の政治のありようが試されているのです。
同じく朝日新聞は、「言葉の交差点」で三位一体の語源を解説してありました。(11月14日)
新聞記者との会話
記:民主党も、三位一体賛成だそうです。
全:それはいいことやね。
記:そうでもありません。野党とすれば、自民党が今回の改革に失敗してくれる方が、ありがたいのです。地方団体は反発するし、世論も反発。内閣と自民党の支持率はがた減りです。そして、「改革できない与党」とPRできるからです。
全:じゃあ、改革に失敗する方が、野党は良いんだ。
記:そりゃそうですよ。もう一つ、抵抗はしていますが、失敗すると困るのが自民党です。改革を潰したという責任をかぶせられるんですから。しかも、地方団体の首長や議員を敵に回してです。次回の選挙は大変です。
全:総理は、そのあたりはわかっておられるんじゃない。
記:ええ、抵抗勢力を敵に回すのは、お得意です。それに、ここで妥協すると、支持率だけでなく、郵政民営化までおかしくなっちゃいますから。「イラクでの国際貢献」「三位一体改革」「郵政民営化」、この3つを譲らないのが、小泉総理の「三位一体」です。野党が警戒しているのは、これで改革を成し遂げると、自民党の寿命が伸びることでしょう。
16日の朝日新聞は「三位一体改革誰のために:DV・児童虐待」を、毎日新聞は「瀬戸際の分権:郵政控え、妥協へ圧力」を解説していました。15日の経済財政諮問会議も伝えられていました。
日本経済新聞は、「特別会計改革切り込み鈍く」を書いていました。経済部記者としては(匿名ですが)、よく書けていました。80年代から90年代にかけて、大蔵省が一般会計のシーリングを達成するために、財政投融資や特別会計を利用したのは有名な話です。自分たちが作った「玉手箱」を、そう簡単にはきれいにできないのでしょう。
財政審議会が、十分な切り込みができないのは当然です。審議会は、省庁の隠れ蓑ですから。原案は官僚が書くのです。「歳出削減、漂う停滞感」という見出しも、勇気あるものです。「地方財政は大幅削減せよ、自分たちは削減しない」という、財務省ですから。
最後に、さらりと刺激的なことが書いてありました。「『それじゃあ道路特定財源の一部を地方譲与税にしてはどうか』。官邸は、10月初旬、地方の補助金削減案に難色を示す国交省に、特定財源の譲与税化を打診した」。いつか、この言葉の持つ意味を解説しましょう。(11月16日)

三位一体改革30

毎日新聞8日の社説は「義務教育費、地方に任せ分権のチャンスに」、産経新聞6日の正論は「権益に凝り固まった官僚の横暴を許すな・三位一体改革の行く末を憂う」、産経新聞8日は「地方分権置き去り、政府・与党間の調整混迷」、毎日新聞7日時代の風は「ヤマ場の三位一体改革」を載せていました。(11月8日)
義務教育費負担金の扱いが、クローズアップされています。9日の毎日新聞は「妥協案探る動きも」としつつ、「負担割合を下げ市町村負担を導入する案は、地方団体の猛反発は必至。政府側の受け止めも冷ややかだ」「交付金案は、補助金の一種である以上は、税源移譲の対象とはならない」と、産経新聞は「教育水準の低下は地方交付税法の規定で回避可能」を書いていました。
朝日新聞は「三位一体改革誰のために」を、読売新聞は「混迷の三位一体改革」(上)を解説していました。「中川国会対策委員長がこう言う。『明治以来の中央集権を地方分権に変える改革だ。これに抵抗する省庁と族議員には、国益という大義がないことを民意は見抜いている。小泉総理は民意を基盤に不退転の覚悟だ』」。
新聞は、国会議員の抵抗が強いこと、そしてそれを基に、妥協案の記事や地方案は成案にならないかのような記事を書いています。しかし、6月に閣議決定した「基本方針2004」を破棄するならいざ知らず、これを守ろうとすると選択肢はそう多くありません。
また、族議員のポーズを議員さんたちの本音と取り違えてはいけません。国会議員は自民党の大きな構成要員ですが、自民党の足腰は地方議員であり地方首長です。この人たちを敵に回した場合の結果は・・。この構図を、政治家はよく知っておられます。そして、閣議決定を破った場合の、世論の反発も。さらに、総理のおかれた政治的立場を考えると、この中川委員長の発言が正鵠を射ていると思います。(11月9日)
9日に、地方団体代表と4大臣との協議会が持たれました。10日の各紙は、その模様を伝えています。地方団体側は、省庁案に強く反発しました。当然のことです。国民もそう見ているでしょう(官僚はこうして信頼を落としているんです)。
地方は、「補助率引き下げは、省の権限を温存しようとするもの。交付金化では、省庁が配分する構図は変わらない。『国が責任を持たなければならない』と主張するなら、補助率を4分の3以上に引き上げよ」と主張しました。さらに「補助率引き下げなどを行うなら、受託事務を返上し、国地方係争処理委員会に提訴する」とも主張しました。
もっともなことです。「国が責任を持つために補助金を廃止できない」というのなら、国が10分の10負担するとか、国が直接執行すればいいのです。
東京新聞は、知事会長のインタビューを載せていました。日本経済新聞と産経新聞は、義務教育や社会保障の補助率カット案が、解決案にならないことを解説していました。朝日新聞は「三位一体改革誰のために・ごみ行政」を、日本経済新聞社説は「地方への税源移譲で義務教育の再生を」を主張していました。良い主張です。
「中教審の議論を急ぎ、その結論を待って国庫負担金の一般財源化をする」という案を、書いている新聞もありました。この案は少し考えたら、まっとうでないことがわかります。中教審は会長以下、負担金廃止に反対です。ならば彼らは、負担金存続という結論を出すか、あるいは結論を先延ばしにするでしょう。そんな審議会に「負担金廃止の議論を急げ」と言っても・・・。(11月10日)
何人もの記者が、尋ねてきてくれます。みんな、同じ質問。「三位一体は、この先どうなるのでしょうか?」
全「それは、こっちが聞きたいよ。僕の見通しは、HPに書いているとおり。6月の閣議決定と小泉さんの置かれた立場、自民党の立場を考えれば、こうしかないじゃあない」
記「それはわかっているんですが、毎日記事を書くと、抵抗勢力の記事ばかりなんですよ。ホンネは、族議員の方も、抵抗のポーズに疲れているんですがね・・」
全「民主主義は、手間と暇がかかるね」
記「時間をかけすぎですよ。みんな、改革はしなければならないと思っています。抵抗しながら、改革が潰れたら困るなあと。自民党も、改革つぶしの責任を負わされるし。早く、総理の裁断で改革を押し切ってほしいんですよ」
全「じゃあ、そのような記事を書いてよ」
記「うーん。私たちは政策記者でなく、政局記者ですからね。そっちの方が、デスクも通るし、売れるんですよ」
11日の読売新聞は「混迷の三位一体改革」(下)を、朝日新聞は「三位一体改革誰のために・生活保護も削減優先」を書いていました。
安心なのは、各紙とも抵抗勢力の記事を書きつつ、それについて批判的なことです。また、小泉総理と麻生大臣が、終止ぶれておられないことです。(11月11日)