日経新聞1日の特集「選択2008」の「正念場の自治体改革」で、中西晴史編集委員が、「国の出先機関に切り込め」を書いておられました。・・政府の地方分権改革推進委員会は今年、地方出先機関の大幅な縮小を求め勧告する。20万人が働き、事業経費は11兆円を超える。霞ヶ関の飛び地とあってチェックは甘く、国会も目が届かない。県との二重行政のムダも多い・・国・地方合わせての行政刷新でムダが排除できれば、分権への国民の支持、共感も高まる。その象徴の一つが、国の出先機関への大なただ・・
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地方行財政
市長が手を出せない職業紹介
31日の朝日新聞が、国の行政改革の影響で、地方のハローワーク(職業安定所)が廃止されることを解説していました。その中で、地方団体が「国がやらないなら地方にやらせてほしい」と主張していることが、紹介されています。また、経済財政諮問会議は、職業紹介業務を民間に開放することを求めています。しかし、厚生労働省は、「雇用の確保は最低限のセーフティネット」であり、国が担うべきだとして拒否しています。
私は、地方団体に移管し、民間開放もすべきという考えです。セーフティネットであっても、国が直接執行していない分野は、たくさんあります。義務教育・生活保護・保育園・介護保険・警察などなど。命に関わる医療も、民間の医師や病院がやっています。「セーフティネットだから」という理屈は、通りません。国として一定の基準を定め、実行は地方団体なり民間に委ねればいいのです。
住民の雇用の場確保や紹介は、地方団体にとって、重要な責務です。それについて、知事や市長が手を出せず、責任も持てないのです。企業誘致をしても、従業員確保はできません。地域の問題なのに、国の行革で減らされては、市長もたまったものではありません。実は、地方行政にとって、労働行政は最も「縁遠い」分野なのです。ほとんどの業務が、国の直接執行となっていて、地方団体ができることはありません。職業訓練校くらいでしょうか。厚生労働省が、本当に職業紹介業務を充実しようとするなら、基準を決めて地方団体に委ねるべきでしょう。
2007年の分権の動き
26日の読売新聞「潮流2007」で、青山彰久編集委員が、「地方格差、分権改革は・・」を、大きく解説しておられました。
・・「分権よりも格差是正を」というのが2007年だった。たしかに、政府は4月、地方分権改革推進委員会を12年ぶりに設置した。委員会は「基本的考え方」をまとめ、中間報告を出した。だが、ねじれ国会の下で福田政権の意欲は見えず、地方も改革熱が冷え込んでいる・・
これまでの過程を見ると、地方分権をめぐる勢力には、①地方への権限と財源を求める伝統的な「自治・分権派」、②肥大化した政府を民営化と分権化によって変えようとする「小さな政府派」、③どの自治体も分権に耐えられるとは限らないと見る「行政統制派」、④緩やかな中央集権の継続を求める「集権養護派」の4つがある・・詳しくは、原文をお読みください。
国の出先機関移管・知事会試案
全国知事会が、19日に「国の地方支分部局の見直し案」を議論しました。そこに試算が出されています。それによると、検討対象の地方支分部局の国家公務員95,901人のうち、地方に移譲すべき業務に係る職員数は、最大で約75,000人です。また、廃止すべき業務に係る職員数は、約1,000人としています。国に残るのは、約20,000人です。地方に移譲すべき業務に係る職員数は、二重行政の解消や組織等の見直しなど大幅な合理化を行うと、必要な職員数は約55,000人と見込まれます。すなわち、約20,000人もの削減ができるのです。
新聞記事によると、各省が抵抗するので進まないだろうとの、予測もあります。削減対象になった者に意見を聞けば、反対するに決まっています。まな板の上の鯉に包丁を持たせても、自分では切ることはできません。それを決定するのは、料理人である政治の仕事です。
自治体財政健全化の反応
12日の朝日新聞は、「赤字減らし加速へ」として、全国首長アンケートを報告していました。今回のテーマは、財政健全化です。
夕張市の財政破綻が財政運営見直しのきっかけになったという首長が、4割です。新しい地方自治体財政健全化法を評価する首長は約半数です。病院会計、国民健康保険などについての解説もあります。時宜を得たアンケートと解説です。