カテゴリーアーカイブ:人生の達人

職場の悩みは人間関係

2024年2月22日   岡本全勝

日本を代表する企業であるダイハツ工業と豊田自動織機が、トヨタ自動車向けの車種やエンジンで不正を行っていました。豊田自動織機の調査報告書では、次のようなことが指摘されています。豊田自動織機「調査報告書(公表版)」2024年1月29日

・・・当委員会がヒアリングしたエンジン事業部の従業員の中には、「開発スケジュールが厳しいことを上司に伝えても、上司が L&F に対しスケジュールの見直しを申し出ることはなく、むしろ、決められたスケジュールに間に合わせるよう指導を受けるのみであったため、スケジュールが厳しくても、上司に相談することはしないようになった。」などと述べる者もいた・・・(164ページ)

ここから読むことができるのは、不正が起きた、そしてそれが是正されなかった原因は、人間関係だということです。
部下は悩んでいる、しかし上司に言っても無駄だとあきらめている。上司は部下の悩みを聞くどころか、その原因になっているのです。
拙著『明るい公務員講座』で、職員の悩みは人間関係だと説明しました。仕事に悩んでいるのではなく、人間関係に悩んでいるのです。
管理職が管理職の仕事をしない」に続く。

自分で市場価値を高める社員

2024年2月22日   岡本全勝

2月5日から、日経新聞2面に「ワクワク働いていますか」という連載が載っていました。6日の第2回は「働くZ世代「頼れるのは自分」 市場価値向上に貪欲」でした。

・・・都内のシステム開発会社に勤めるエンジニアの日高僚太(24)は午後7時半に仕事を終えた後、再びパソコンに向き合う。ここからは副業の時間。クラウドを使って働きたいエンジニアのメンターとして、IT(情報技術)スキルを教えている・・・本業ではプロジェクト責任者として働く。
「社内外で多くのことを吸収し、成長するのが喜び」と日高。目まぐるしく必要な技能や知識が変わるITの世界で「頼れるのは自分」とも強調する・・・

・・・若者は仕事で何に成長を感じるのか。取材班が働くZ世代(1990年代半ば〜2010年代初頭生まれ)50人に聞くと、「知識や経験値が増えること」と「結果を残すこと」との回答がそれぞれ約3割にのぼった。
Z世代は多感な時期にリーマン・ショックや東日本大震災を経験した。最近は新型コロナウイルス禍が起き、経済や社会の不安定さを目の当たりにした。芽生えたのは組織に身をすべて委ねることへの不安。目に見える実績や数字を追い求め、自分の市場価値の向上に貪欲だ・・・

・・・機能性衣料品を手がけるスタートアップ、TENTIAL(テンシャル、東京・中央)で働く石川朝貴(28)は中国の消費者に熱心に問いかける。石川は同社の海外展開の責任者。現地の消費者のニーズを聞き取る市場調査に奔走する。「自分にしか出せない結果を残したい」と目を輝かせる。
販売職で入った前職の大手メディアは残業がないなど職場は「ホワイト」だった。うんざりしたのは何をするにしても色々な上司の承認が必要な「はんこリレー」。仕事のスピード感が遅く3カ月で退職した・・・

・・・今の若者は成長に「タイムパフォーマンス」(時間効率)も求める。
転職サービス「doda(デューダ)」では、入社直後の2023年4月に転職サイトへ登録した新社会人が11年から23年にかけて約30倍に増えた。スキル向上や責任ある仕事の機会を与えなければ、熱意ある若者は企業から去っていく・・・

仕事の進め方、市町村アカデミー

2024年2月19日   岡本全勝

市町村アカデミーでの仕事についてです。
昨年から、運営に関して新しく大きな仕事を始めました。専門家を交えて、1年間の検討の結果です。仕事を増やしたのは私なのですが。これについては、紹介する機会もあるでしょう。

この仕事は方針を決めてあるので、担当者たちに任せておけばよいのです。とはいえ、気になるので、時々状況を聞きに行っていました。すると、職員が定期的に報告してくれるようになりました。さらに、それを様式にして、日を決めて電子メールで送ってくれるようになりました。ありがたいですね、効率化を考えてくれるのは。

もう一つは、先日書いた動画配信です。「まずは試行してみよう」と言ったのは私ですが。誰を対象に、どのような内容にするか、見ることができる範囲はどうするか、その仕組みはどうするかなど、いろいろ課題はあるのですが、それを解決してくれました。
で、私に「出演しろ」と要求してきました。断るわけにはいきませんね。

市町村アカデミーの任務は、市町村職員への高度な研修の実施です。それは変わりません。「百年一日の研修をしているのだろう」と思われる方もおられるかもしれませんが、そうではありません。市町村現場での課題は、急速に変化しています。
研修主題、内容、講師などは、毎回、受講生の意見と教授陣の検討を元に、見直す仕組みができています。さらに今回書いたような、業務運営や研修方法なども、社会の変化に応じて変えていかなければなりません。資料を、紙から電子情報に変える試みも始めています。
職員が積極的に取り組んでくれるのは、うれしいです。

人生の意味は誰が決めるのか3

2024年2月18日   岡本全勝

人生の意味は誰が決めるのか2」の続きです。自分の人生の意味を考えることについてです。人生が自己発見の過程であるとすると、最初から目標があり、物差しがあるわけではありません。

私が心がけてきたことは、その場その場で精一杯生きることことです。
官僚という職業を選んだので、仕事が社会の役に立つことは疑う必要はありませんでした。仕事の中で判断に迷うこともありましたが、「後世の人に説明できるか」「閻魔様の前で胸を張れるか」を判断基準にしてきました。もっとも、いつもいつも正々堂々と立派に行動してきたとは言えません(恥ずかしいです)。

どのような職業を選ぶか、そしてどのような生活を送るかは、人それぞれです。しかし、棺桶に入ったときに「私は精一杯生きた。悔いはない」と言える人生が「善い人生」なのではないでしょうか。
希望して努力してもうまくいかない場合も、偶然や不条理なことで夢が実現しないこともしばしばあります。いえ、そのようなことの方が多いでしょう。
結果がうまくいくことはうれしいことです。しかし、うまくいかなくても「私は努力した」ということに価値があると思います。「心情倫理と責任倫理」、私の言葉では「努力倫理と結果倫理」です。

前回の話に戻れば、人生の意味は、本人が考える場合は「夢に向かってどれだけ努力したか」によって測られ、社会からは「どれだけ家族や社会に貢献したか」で測られるものではないでしょうか。
とはいえ、この問題は、人によって考え方が異なるでしょう。また、このような短い文章で語ることには向いていませんね。

目的地にゆっくり行く

2024年2月17日   岡本全勝

2月14日の読売新聞「余白のチカラ」に「近道でなく 寄り道ナビ 絶景・名所巡り 運転楽しく」が載っていました。

・・・「この先で道を一本外れましょう」。スマートフォンからルート案内が流れると、千葉県君津市の山岳道路「房総スカイライン」を走っていた岩下宗伯さん(48)はハンドルを左に切り、林道に入った。
昨冬、妻をドライブに誘い、千葉・房総半島に向かった。川崎市の自宅を出て、木更津市内の道の駅に着くと、道案内アプリ「SUBAROAD(スバロード)」を起動。半島最南端の野島崎を目指した。
このアプリは、カーナビのように目的地までの最短ルートを案内するわけではない。時には脇道にそれ、知る人ぞ知る絶景や名所へとドライバーをいざなう・・・
・・・カーナビなら約70キロ、1時間10分の道のりが、約100キロ、3時間のドライブとなった。「ナビでは案内されない場所に行けて、走りがいがあった」と岩下さんは満足そうに話す・・・

いいですねえ。日本社会も個人も、がむしゃらに走ってきました。仕事は相変わらず「早く」とせき立てられますが、余暇や老後はゆっくりと行きたいものです。
私の休日の孫との散歩も同じです。途中でいろんなところに寄り道して、ゆっくりと時間を過ごしています。
かつて交通安全標語に、「狭い日本、そんなに急いでどこに行く」という名文句がありました。