カテゴリーアーカイブ:人生の達人

管理職、中間管理職、職員の区分

2020年2月6日   岡本全勝

フランスの経済エリート2」の続きです。
日本の職場の生産性の低さは、職員、中間管理職、管理職の3分類(職場での階級)が明確でないことによると、私は考えています。それは、次のような意味です。

日本の職場でも、この3区分はあります。しかし、その区分による職務の違いが、明確でないのです。
日本では、職員は会社に採用され、平職員から、中間管理職、管理職と昇進していきます。もっとも、これは大企業や役所に当てはまり、例外も多いのですが。
この昇進の仕組みは、現場を知って、管理職になるという長所を持っています。問題は、管理職の訓練を受けていないことが多いことです。「この昇進の過程で、身につけよ」が、これまでの職場の流儀だったのでしょう。
私もそうでしたが、多くの人も同じだったでしょう。

管理職には、職員とは違う職務が求められています。それは、職員たちと一緒に仲良く仕事をこなすことではありません。その組織は何を求められているのか、そのためには職員に何をさせるのか。それを考えるのが、管理職の仕事です。
拙著『明るい公務員講座 管理職のオキテ』では、野球やサッカーの監督と選手の違いを例に説明しました。また、良くできる課長補佐が良い課長になるとは限らないこと、鬼軍曹が良い課長にならないことを説明しました。
このようなことが、課長になる際に、しっかりと教えられていないのです。
この項続く

フランスの経済エリート2

2020年2月1日   岡本全勝

フランスの経済エリート」の続きです。
カードルの、採用と昇進、給与と労働時間が、勉強になりました。
給与と労働時間について、カードルの中でですが、次のように3分類されます。
1 勤務時間に関係なく報酬が決められる、指導的な者。この人たちは、任務を負っています。長時間働いて当たり前。
2 勤務時間を事前に決めることができる者。
3 その中間で、労働時間を事前には確定できない者。事業所間や国際移動が激しく、仕事の裁量が大きい者。

この3分類は、カードルを超えて、従業員全体に当てはまると思います。管理職・中間管理職・職員という三層構造に当てはめるのです。
職員は、決められたこと、指示されたことを実行します。彼らは、時間やノルマで労働を「売り」ます。時給や日給制が当てはまります。
中間管理職は、管理職の指示に従い、業務を達成するために、職員に指示し職員の仕事ぶりを管理します。月給制や年俸が当てはまります。
管理職は、その組織が何をすべきかを考え、それを中間管理職に指示します。彼らは、年俸制や請負制がふさわしのです。

日本の職場の生産性の低さは、この3分類(職場での階級)が明確でないことによると、私は考えています。この項続く

午後5時半からの会議

2020年1月31日   岡本全勝

先日のことです。午後6時から、マスコミの方と意見交換会を予定していました。2人のうち、予定時刻には一人(記者A)だけ現れ、もう一人(記者B)は少し遅れるとのこと。

私:何か急な事件が起きたの?
A:ある役所の説明会が、5時半から入ったので。部下であるBを出席させて、私はこちらに来ました。
私:そんな緊急な案件なの?
A:いえ、3日後の公式会議の事前説明です。
私:あんた、それに対して、文句言わなかったの。5時過ぎからの会議なんて、働き方改革違反やで。
A:そうですね。私たちは、遅くまで仕事をするのに慣れてますから。
私:それは、だめだわ。記者Bさんが、子育て中だったらどうするの。誰か代わりに、保育園に迎えに行く必要があるで。緊急な案件なら仕方ないけど、その案件なら、明日の朝にしてもらったらよかったのに。

働き方改革、意識改革の道遠し。

鎌田浩毅著『理学博士の本棚』

2020年1月26日   岡本全勝

鎌田浩毅著『理学博士の本棚』(2020年、角川新書)を紹介します。
帯とあとがきに、「科学者が愛した中古典の名著」とあります。こちらの表現の方が、わかりやすいです。古典(大古典)と呼ばれるような本ではなく、鎌田先生が若い時に読んだ本、先生の科学者人生を作ってきた本です。

挙げられている書名を見ると、皆さんも「ああ、こういう本もあったな」「私も読んだ」と、思い当たる本が並んでいます。
鎌田先生、良いところに目をつけられましたね。古典の数々は、これまでも多くの方が紹介しておられます。それに対し、ここに挙げられた本は、古典でも大古典でないもの、また、まだ古典になっていないものです。
「B級グルメ」といったら、失礼になりますが。大古典は少々敬遠する人にとっても、これらの本は、取っつきやすいでしょう。

本のあらすじ、著者の紹介だけでなく、鎌田先生がその本をどのように読んだかが載っています。これは、読書の参考になるでしょう。
そして、さらに読みたい人のために、関連する書物が並んでいます。巻末には、出てきた本と著者名の索引もついています。親切です。

いつもながら、鎌田先生はとんでもない量の本を、読んでおられますね。しかも、それを覚えておられる。脱帽です。

「世界一孤独な日本のオジサン」

2020年1月20日   岡本全勝

岡本純子著『世界一孤独な日本のオジサン』(2018年、角川新書)を読みました。面白かったです。データと実態とで、日本のオジサンの孤独をあぶり出します。それを、軽妙な語り口で伝えます。頷くことが多いです。笑いながらです。

オバサンは友達が多いのに、オジサンは少ないこと。新しい友人を作ることができないこと。会社人間が退職すると、行くところやすることがないこと。名刺がないと、生きていけないことなどなど。ふだん言われていることが、列挙されています。

「男は黙って・・」とか、以心伝心、察してくれよなどが、コミュニケーションベタをつくっているようです。おしゃべりができないこと、そして、褒めることが少ないことも。
オジサンは、他人を褒めないのに、自分のことは褒めて欲しいのです。でも、他人を褒めずに、誰があんたを褒めるんや。

関西人の方がまだましだ、との指摘もあります。私も思い当たります。外で「うちのキョーコさんは美人です」と言うと、多くの人があっけにとられ、笑います。
皆さん、自分の妻や夫を褒めないようです。外の人に向かっても、本人に向かっても。本心からであっても、ヨイショであっても、相手が喜ぶことなら良いことですよね。しかも、プレゼントよりずっと安いのですから。
口は、仕事では、お願いとお詫びをするためにあり、部下と連れ合いには、褒めるためにあります。

笑いが少ないことや、笑い方を知らないことも、指摘されています。写真を撮られても、すまし顔や口を締めて、きりっとした姿で写ります。
この本で指摘されているように、外国の経営者はニコニコして写真に写っていますよね。日本でニコニコしているのは、落語家と政治家のポスターでしょうか。

イギリスなどでも、オジサンの孤独は課題と認識され、民間での取り組みが進んでいることや、担当大臣が置かれたことなども紹介されています。
社会の問題としてだけでなく、あなたの問題として読んでください。処方箋もついていますから、実践してください。