カテゴリーアーカイブ:明るい課長講座

職場飲み会の是非

2026年3月14日   岡本全勝

2月20日の読売新聞に「職場飲み会って必要?」が載っていました。

・・・忘年会に新年会、花見の後は暑気払い……。職場の上司や同僚と良好な関係を築くために行われてきた飲み会が減っています。コロナ禍に加え、働き方や価値観の多様化が背景にありますが、一体感や団結力の向上に役立つとの意見も。「飲みニケーション」は必要と思いますか。

インターネット広告会社「ユニアド」(東京都渋谷区)は創業5年目の2019年、有志での集まりを除いて会社の飲み会行事を全面禁止しました。「仕事に必要ではなく、社員の負担軽減にもなる」。同社の中釜啓太社長(39)は狙いをそう説明します。
中釜さんは20歳代の頃、当時働いていた会社で、上司からの飲み会の誘いを断れなかったり、酒席でのマナーに欠けていないか気をもんだりした経験があります。若い社員に同じ思いをさせたくなくて、禁止を決めたそうです。
ユニアド社では普段から業務での連絡を密に取っており、社員同士のコミュニケーションは良好といいます。中釜さんは「飲み会が苦手な学生も入社を希望してもらえるし、誰もが働きやすい職場づくりができている」と話します。
不動産大手「オープンハウスグループ」(千代田区)も社内ルールで原則「飲み会禁止」を掲げます。広報担当者によると、戸建て住宅やマンションを売るのに日夜多忙な社員にとって「同僚との酒席は愚痴や不満を言い合う場になりがちで、業務の役に立たない」との考えからで、社員からは「時間やお金を自己成長のために使えるので良い」といった声が出ています・・・
・・・東京大の川口大司教授(経済学)のチームは日本、韓国、台湾で働く計3500人の男性会社員らを対象に、酒が飲めるかどうかと、実際の収入や労働時間の関係を調べました。その結果、酒が飲めるからと言って収入が増えるわけではないとの結論に至りました・・・

・・・「管理職は積極的に部下との飲み会を設けるべきだ」。中小企業向けコンサルティング会社「武蔵野」(東京都小金井市)の小山昇社長(77)はそう持論を語ります。
同社では、年間約3000万円を社内懇親会、つまり飲み会の経費に割いています。日程は余裕を持って約1か月前に設定し、参加者には業務として「残業代」を支給。社員同士の絆が強くなり、おかげで中途退職者が減ったといいます。小山さんは「懇親会で上司と部下の心理的な距離が近づけば、職場の問題点も見えてくる」と強調します。
「深い人間関係を築くのが簡単で、得られるものは大きい」。飲み会への積極的な参加を勧めるのは、営業コンサルタントの菊原智明さん(53)です。ハウスメーカーの営業マンだった20~30歳代の頃、飲み会によく出たという菊原さんは、上司にメンタル面の悩みを聞いてもらったほか、普段は接点のない社員とも交流し、仕事のサポートを受けることができたそうです・・・

・・・会社の飲み会と言えば、居酒屋で夜遅くまで上司に付き合うイメージがあるでしょう。今では、こんな「従来型」を敬遠する人も増えているようです。九州大学都市研究センターが20歳以上の会社員7500人を対象に「好ましい飲み会とは何か」を調べたところ、「参加・不参加の自由度が高い」が最も多く、男性は12%、女性は17%がそう回答。また、「開催時間が適切(早い・短いなど)」も3位に入り、男性は10%、女性は12%が挙げました・・・
・・・明治大の堀田秀吾教授(コミュニケーション論)は、飲み会について〈1〉素の自分を見せ、他人との関係が強固になる〈2〉コミュニケーション力が鍛えられる〈3〉職場の雰囲気や作業効率の向上につながる――と利点を挙げます。堀田さんは「飲み会は日本の企業文化では必要な要素で、各企業は存続に知恵を絞ってほしい」と話しています・・・

図表がついています。2019年に忘年会と新年会を実施したのが78%、しないのが22%でした。コロナの時期は実施せず、2025年では実施するが57%、しないが43%です。

人は信頼で動く

2026年3月8日   岡本全勝

2月19日の日経新聞夕刊、「私のリーダー論」、木村皓一・ミキハウス社の「人は恐怖より信頼で動く」から。

・・・「ミキハウス」ブランドで子供服を製造・販売する三起商行。創業者の木村皓一社長(80)は一代で国内外に200店舗を構える高級ブランドを育て上げた。6月には1971年(昭和46年)の創業以来初となる社長交代を控えるなど、世代交代を進める・・・

―社長を竹田欣克取締役に譲り、自身は会長に就任します。竹田氏に何か伝えたいことはありますか。
「経営者の役割ですね。野球の監督と一緒で、選手(社員)の技量をどれだけ引き出すかということです。大谷翔平さんみたいにホームランを打って投げるといった選手の立場から、皆が力を出すように気を配るコーチの方に徐々に仕事が変わってくるということでしょうか」

―「上に立つ者はコミュニケーション能力がないといけない」と普段から話されています。
「やっぱりコミュニケーションを取って、信頼し合わんと何にも進みません。上から命令するだけでは、そんなんだめですよ。部下は信頼されていると感じたときに初めて、気持ちを込めて仕事に取り組むのです」
「今でも月1〜2回、大阪府八尾市の本社のホールに社員を集めて『木村ラウンジ』という交流会を開いてます。上の者からコミュニケーションを取っていかないとあきません。隣り合って語り、本音を出し合うことで、信頼関係を築くきっかけができます」

―上司が部下に「あれやれ。これやれ」と一方的に命令する会社もたくさんある気がしますが。
「それだとやらへんと思います。僕が部下だったらそんなん言われたら働きませんもん。北風よりも太陽という見方もありますが、まさにその通りです。うちは昔からそうでして、風でビュンビュン吹き飛ばすより、あったかい太陽で包む感じですな」
「怒られないから環境に甘えて『このままでいいや』と思う人もいるかもしれません。でもそんなんおって当たり前です。それは仕方がないし、普通です」
「だいたいみんな向き、不向きがあって、自分が得意な部署にパッとはまったらとてもよく働くと思いますよ。だけど運悪く不得手な部署に入ってしまうと、一生懸命頑張ってても結果が出えへんから、見た目は下がっているように見えてしまいます。これはもうしょうがないです。社員全員それぞれにぴったり合ったポストを用意するなんてことはできないのですから」

―恐怖では人は動かせないと。
「恐怖心を与えるとか良くないですよね。それよりも信頼したり、尊敬したりしている人からの言葉だと『あの人のためにやりたい』となります。その方が仕事の成功率は高くなると思います。リーダーは絶対に信頼されることが必要です。『あの人といたら安心』とか、そういうのがすごい大事なんです。裏切られたりしたことはありますかって? いやいや、なんぼでもありますよ。別にそれはそれでいいと思います」

―若いころから自然にそう思っていましたか。何かきっかけは。
「僕はかつて小児まひで足が思うように動かんかったんですよ。この経験が大きいと思います。小学校の行き帰りはずっと車椅子だったんです。途中には坂もありました。同級生も含めてみんなが車椅子を押してくれないと学校なんか通えません。コミュニケーションとか信頼関係とか大事にせんとやっぱり1人では生きていけんのです。小さいときから自然に教えられたというか、学んだというか」

―「人間関係は相手が8で自分は2でいい」というのが信条だそうですね。
「僕は小さいときに8以上の恩恵を受けてきましたが、何も返せていません。9対1か10対0くらいでみんなやってくれました。借りた側は、なんかお返しせんとあかんと思っているわけです。そういう心の部分って大事やな、と。5対5なら、その後の人間関係の発展もないかもしれません。コンビニに行って買い物するのと同じです」
「だけど、取り分で自分が2で相手が8だったら『ちょっと木村に世話になったな。あいつええやっちゃな』となります。まずトラブルにはなりません。相手に付け込まれるかもしれませんが、それでいいんです。欲張る必要はないんです」

ジョブ型にメンバーシップ型を加える人事制度

2026年2月22日   岡本全勝

2月4日の日経新聞に「三井住友海上、スキル軸の人事制度 ジョブ型の修正で組織硬直化防ぐ」が載っていました。

・・・三井住友海上火災保険が社員のスキルを評価基準とする新たな人事制度を導入した。昇進・昇給とリスキリング(学び直し)を連動させ、専門性を高める。一方でキャリアの硬直化を防ぐため、定期的な異動や職種転換も促す。近年は職務内容を限定する「ジョブ型」制度を導入する企業が増えているが、これに修正を加え、人材の流動性も確保しようとの試みだ。

2025年9月、三井住友海上で労務のスキルを高めたい社員の勉強サークルが始動した。労災保険業務の担当者や関連部署への異動を希望する人など約20人が月1回、オンラインで集まる。
「カスタマーハラスメント」や「外国人雇用」など関心のあるテーマの研究発表をしたり、最新制度の状況や資格試験の情報を交換したりする。
業支援部門に所属する三ツ橋沙織さんは、法人向けの労務管理助言サービスなどに携わりたいと考え、参加した。「キャリアの方向性も明確になり、資格試験への意欲も高まった」と語る。
労務の他にもこの1年間に「M&A(合併・買収)」など約10分野で、その道のプロを目指す社員が学ぶ「スキルコミュニティ」が発足した。
社内の学習熱を高める契機となったのが25年4月に導入されたスキル型人事制度だ。グループの多彩な業務を28のジョブに分類した。その担い手となる74種類の「プロ人財」と、必要とされる約800のスキルを定義し、異動や昇進、昇給など全人事をスキルの習得・発揮にひも付けた。
制度の基礎となるスキルデータベースは、社会保険労務士や中小企業診断士などの資格に加え、「適切な調査に基づく損害認定」など具体的な業務遂行力も含め、仕事のレベルに応じて細かく設定。毎年の昇給水準もスキルと連動する・・・

・・・保険業界は業務を限定しない総合職や年功序列型の賃金など、「メンバーシップ型」と呼ばれる日本型雇用が色濃かった。近年はデジタル化など事業構造の変化が加速するなか、ゼネラリスト主体の組織では対応できなくなってきていた。
三井住友海上は22年から人事制度改革に着手。まず検討したのは日本でも広がり始めたジョブ型だった。必要に応じて経験者を採用する欧米の標準で、働き手に求める仕事内容を職務記述書(ジョブディスクリプション)で細かく定義する。長く同じ仕事を担当させることで、専門性を高めやすくする仕組みだ。
だが、欧米の同業他社の運用を調査すると、意外なことが分かった。ジョブ型をベースとする企業でも、事業環境の変化や専門人材の不足に対応するため、固定的なジョブ型の運用を修正し、リスキリングを通じた社内の人材移動を促進する取り組みが広がっていた。
人事部の丸山剛弘氏は「人材の専門性は高めたいが、特定分野しか知らないのも好ましくない。求めるのは総合力のあるスペシャリスト。ジョブ型をベースに、メンバーシップ型の利点も残せる仕組みを模索した」と説明する。

標準的なジョブ型との大きな違いは進化したジョブローテーションの活用だ。
社員には少なくとも4年に1回(ライン長は3年に1回)、社内公募への応募を義務付け、他部署への異動を求める。組織の事情などで例外的に同じ部署にとどまる場合も、経験のない業務への挑戦が必須だ。
従来は会社にあった異動の主導権を社員に移す一方、職種転換も奨励して組織の流動性を確保する狙いだ。25年度は約3千人が公募に応じ、うち3割が希望ポストに異動する見通しという。
課題は適正な評価だ。新制度ではスキル習得に加えて、業務への活用の度合いも考課対象となる。スキル評価を行う組織長をサポートする管理職ポストも新設し、個々の社員のキャリア志向に合わせたリスキリングも助言する。個人の成長を組織の成長につなげられるかが問われている・・・

低い年次有給休暇の取得

2026年2月19日   岡本全勝

2月2日の日経新聞に「企業の休暇制度ちぐはぐ 広がる特別休暇、年次有給休暇は未消化」が載っていました。

・・・病気治療やリスキリング(学び直し)のための特別休暇を導入する企業が増えている。人材の定着や生産性向上につなげる狙いがあり、国も推奨する。もっとも日本は本来リフレッシュに充てられるはずの年次有給休暇(年休)の取得率が海外と比べて低く、休み下手は解消しないままだ。休みやすさと生産性の両立に向けた議論は深まっていない・・・

・・・厚労省も啓発に力を入れる。背景の一つが、年休取得率の低さだ。雇用環境政策室は「体調不良などに備えて取得を控える人が多い。不安を解消し、働く人の多様な活動をサポートするために特別休暇を活用してほしい」とする。
厚労省の25年就労条件総合調査によると、21年まで40〜50%台だった年休取得率は近年上昇し、24年は66.9%となったが、国際的には低い。米旅行予約サイト大手エクスペディアが11カ国・地域を対象に23年の取得率を比較した調査では63%で最下位だった。
厚労省の意識調査(24年度)では、取得しない理由は「急な用事のために残しておく必要がある」(45.6%)、「病気やけがに備えて残しておきたい」(43.3%)が多かった。
早稲田大学の水町勇一郎教授は「日本は労働者に時季指定権があり、好きなとき休めるはずが、周囲の目を気にするジレンマがある」と、日本の労働文化も背景にあると指摘する。

欧州連合(EU)の労働時間指令は少なくとも4週間(20労働日)の年休を保障し、加盟国は法律で日数を定める。フランス、ドイツは30日程度付与されることが多い。フランスはあらかじめ休む日を決める年休(取得)カレンダーの指定義務を使用者に課している。年休とは別に病気休暇制度も充実している。フランスは一定期間の賃金を社会保険と企業の負担で保障。ドイツは6週間は有給とすることを法律で定めている。
水町氏は「欧州は年休カレンダーなど企業の責任で年休を確実に取らせることで、未消化の問題を生じさせない仕組みを構築できている」と解説する・・・

・・・日本は年次有給休暇(年休)の取得率が低い一方、祝日の数の多さは先進国でトップレベルだ。海外とは異なる特徴を持つなか、心身をしっかり休息させられる環境づくりには課題が多い。
働き方改革の一環で2019年に年5日取得させることが企業の義務となったことなどで、年休取得率は上昇してきた。28年までに取得率70%という政府目標に近づいたが、欧州は9割を超える。
一方、日本の祝日数は26年は振り替え休日なども含め18日。主要7カ国(G7)の他の国は9〜13日で、突出して多い。祝日の一部を月曜日に移動させるハッピーマンデー制度で、連休も増やしてきた。早稲田大学の水町勇一郎教授は「すべての労働者が祝日に休めるわけではない。年休を細切れで取得すると『休み感』も実感しづらい」と指摘する。
長期休暇を取る人はゴールデンウイークやお盆、年末年始などに集中し、観光地の混雑や旅費の高騰につながっている・・・

話を聞くのは疲れる

2026年2月18日   岡本全勝

1月30日の日経新聞夕刊、西原珉さんが「幽体離脱の日々」として、次のようなことを書いておられました。
心理療法士として、相手の話を聞くことについてです。悲しいことなどをたくさん聞くことは疲れるのですが、疲れの原因はそうではないと言っておられます。

・・・心理学のメラビアンの法則によれば、人は相手の隠された感情や本音を、言葉そのものよりも表情や声のトーンといった非言語情報から読み取ることが多いという。セッションでは、クライエントさんの話す内容に加えて、目の動き、口調やためらいといった言葉以外のサインを見逃さないように注意を注いでいる。
好きだけど嫌い、期待するのは怖いけど期待したいなど、人間の感情は矛盾に満ちていて、容易(たやす)く割り切れるものでもない。それらのクライエントさんとの対話をどの方向に向けていけば良いかを、幽体離脱して部屋の片隅から冷静に見ている、別の自分もいる。
そんな風に、50分に毎回全力で集中しているので、1日のセッションが終わると心地より疲労感とともに、頭の芯が痺れたようになる・・・

理解できます。私も、大勢の前で講演するのはそれなりに疲れるのですが、さほどでもありません。1対1の会話は、それと比較にならないくらい疲れます。前者は肉体的疲労であり、後者は精神的疲労です。
相手の本音を探り、話を聞くだけではなく、こちらの意見に賛成してもらうように誘導しなければなりません。それは、全身を使って、全人格で取り組まなければならない「困難な仕事」です。

相手も、こちらの本音を空かしてみています。気を抜くわけにはいきません。
「これで良いですか」と聞かれたときに、「はい」という返事が1秒遅れたら、相手は「こいつは本心は反対なんだな」と思うでしょう。「いいえダメです」ということを、どのようにして発言するか、相手のわかってもらうか。難しいです。決裂して席を立つなら楽ですが。