「明るい課長講座」カテゴリーアーカイブ

生き様-明るい課長講座

企業の配属ガチャ防止策

4月1日の日経新聞に「配属ガチャ「外れ」は1割? 企業も配慮「希望出せた」6割」が載っていました。
・・・今春も多くの若者が新社会人としてスタートを切る。どの部署でどんな仕事を担当するか。不安と期待が入り交じる頃だろう。蓋を開けてみなくては分からない「配属ガチャ」は早期離職も誘発する。人手不足の昨今、新入社員の希望に耳を傾ける動きも広がる。
一昔前ならば初期配属の主導権は会社が握っていた。希望を聞くにしろ、事業戦略や各部署の欠員状況など会社側の思惑を優先し、新入社員を割り振った。だが最近は学生優位の売り手市場を反映し、会社の姿勢は変わった。24年春入社の社員を対象にした調査によれば、6割超が配属に関する希望を出せている。
実際の配属は59.9%が勤務地・配属先ともに希望通りで、どちらの希望も通らなかったのは5.6%にとどまる・・・
・・・ただコース別採用は企業には「諸刃の剣」だ。内定辞退や早期離職は防げるが、在学段階での専門性・適性の見極めは難しい。希望職種が偏ると優秀な人材を取りこぼすリスクもある。入社前に配属先を決めて本人に伝える企業は45.1%と半数以下だ・・・

4月2日には「新人定着へ成長後押し」が載っていました。
・・・主要企業が1日、入社式を開いた。学生優位の売り手市場を経て入社した新人の中には将来的なキャリアアップを見据えて転職意向を持つ人が一定数いる。各社は指導役となる上司や先輩社員に対し、新人の教育方法を伝授する講座などを開くほか、新人向けに成長意欲に応えるプログラムを用意して貴重な戦力の定着につなげる・・・
ヤクルト本社は新入社員が配属された部署で指導役を務める社員や課長などを対象にした研修を実施しました。

また、リクルートマネジメントソリューションズの調査では、新入社員が仕事で重視すること(複数回答)で最多は「成長」(32.2%)で、やりがい(14.0%)や金銭(11.1%)を上回っています。
この点は、私も共感します。駆け出し時代は、自分の能力も適性もわかりません。先輩たちを見て、我が身の未熟さを知る毎日でした。

変わる終身雇用への備え

4月5日の朝日新聞夕刊、広川進・法政大教授の「変わる終身雇用、必要な備えは」から。

・・・定年まで同じ会社で働き、老後は余生を楽しむ――。こんな人生を思い描いた人もいるのでは? でも、いまや終身雇用は崩れ、長寿社会のなかで老後の年金に不安が募るなど「定年まで」の時代は終わりつつある。会社をやめて次のステージに進んだり、定年後も働き続けたりするため、どんな備えが必要か。自らも40代で会社を辞め、臨床心理士になった法政大キャリアデザイン学部教授の広川進さん(65)に心構えを聞いた。

そもそも、大学を出て新卒入社した会社に「定年まで勤める」という働き方は本当にできなくなったのだろうか。
「いままでは、55歳になってキャリアの終盤で不本意な仕事になっても、あと数年我慢すれば定年まで勤めることができた。でも、これからは畑ちがいの仕事でかなりの期間、働くことも十分あり得ます」

企業は激しい競争にさらされ、すべての社員を安定して雇い続けることは難しい。
「言葉を濁さず、『このままだとあなたは社内では生き残れないかもしれません』と誠意をもって伝えるべきです。働く側も『会社が私を雇用し続けるメリットは』という視点を持たないといけない」

とくに1990年前後のバブル経済期に入社した人らが持つ「会社への根拠のない愛」に気をつけなければいけないという。
「超売り手市場で入社した世代。世の中が変わったのに『まだ会社は心変わりしていない』と現実を直視できない」
企業の研修などでは、そういう社員に「(会社もあなたを)愛しているけど、あなたの残り10年を保障するほどの体力がない」などと伝える・・・

4月1日、新年度

今日は4月1日。新しい年度が始まりました。新しく社会人になって、今日から出勤の人もいるでしょう。職場を異動した人も多いでしょう。希望と不安を抱えての出発だと思います。誰でも、そうですから。
どのようにすれば、不安は少なくなり、充実した職場人生を送ることができるか。まずは、新しい仕事を覚え、新しい職場に慣れることです。

わからないことが、たくさんあるでしょう。一人で悩んではだめですよ。初心者は、悩んでいても、解決策は出てきません。車の運転やパソコンの使い方と同じです。ただし、車やパソコンなら、インターネットで調べれば一定の答えは教えてくれます。しかし、職場でのあなたの悩みは、インターネットでは調べることはできません。

上司や先輩、同僚に、質問してください。何を聞いたら良いかも、わからない場合もあるでしょう。それを相談できる人を、見つけてください。先輩の助言者(メンター)がついているなら、その人にです。いない場合は、近くの人にです。
教えてもらったら、きちんと御礼を言いましょう。すると、次も親切に教えてくれるでしょう。職場のみんなも、早くあなたを戦力にしたいのです。

悩みは、一人で抱えないでください。『明るい公務員講座』(なんと8刷り)が役に立ちますよ。
この本は、公務員向けですが、一般の社員にも。そして、新採職員だけでなく、既に職場に慣れた人も、この本を読んで、改めて自分の仕事のやり方を見つめ直してください。

部長なのに「大課長」 

3月3日の朝日新聞に「部長なのに「大課長」 今月の数字ばかり気にする・各論に口を出す」が載っていました。拙著『明るい公務員講座 管理職のオキテ』に書いたことです。

会社組織のなかで部長、本部長、局長などに昇進しても、マインドと振る舞いは課長のまま――。そんな会社のエライ人を「大課長」と呼び、引き起こす問題を「大課長問題」と呼ぶそうです。経営コンサルティング会社・リデザインワーク(東京)CEOの林宏昌さん(43)に話を聞きました。

―「大課長」とは?
「10年ほど前から、人事コンサル業界で使われ始めました。課長と同じような仕事をしている部長や本部長らを指します」
「課長は短期的な目標に責任を負い、部長以上は年間計画などの中長期の目標を考え、責任を担う立場。それが部長以上になっても短期成果に目線が寄り、ひたすら口をはさみます」
「『今月の数字ばかり気にする』『各論に口を出してくる』『人材育成に手がまわっていない』。そうささやかれる部長以上がいたら、それが大課長です」

―大課長がいることで起こる問題とは。
「まず、報告業務が増えます。課長が短期的成果を部長に報告するようになり、部長が課長に指示を出す。本来ならしなくていい業務です。部長以上が短期的な仕事に時間を取られるようになるため、未来に向けた戦略の練り込みや議論が減ります。課をまたいだ業務改善、1年後の組織のあり方、人材育成……。将来的に大事な仕事に手が回らず、向かう先が分からないまま仕事をすることになります」

―なぜ、そうなってしまうのでしょう。
「課長は、部長は、本部長は、局長は『何をする人』なのか。その違いがぼんやりしているからです。『部長になった。で、何をしたら?』となってしまい、これまでやってきたことの延長をしようとして『大課長』になるのです」
「評価マニュアルなどには役割が書かれているんです。でもほぼ無視されています。日本企業の多くは、実態に即した役割整理をきちんとする必要があると感じます」

―管理職を選ぶ過程には問題はないのでしょうか。
「日本の企業は、平社員の中のトッププレーヤーが評価されて管理職になっていきます。ただ、管理職に求められるのはマネジメント。名プレーヤーが名監督ではないのと同じく、営業力がピカイチな人がマネジメント能力もピカイチかというとそうとは限りません」
「さらに、『あいつ頑張っているから』で選ぶ。『管理職のお年頃だから』『(管理職にしないと)かわいそう』でも選ぶ。結果、就けるためのポストを作ることもあります。多くは組織が小割りになってうまくいきません」

約8割が管理職になりたくない時代

約8割が管理職になりたくない時代だそうです。日本能率協会マネジメントセンター「77%が「管理職になりたくない」

しかし、この議論の立て方が、間違っているのではないでしょうか。
採用された社員や職員が全員、管理職になれるわけではありません。かつては、管理職になる社員・職員と、そうでない社員・職員は、採用もその後の配属と出世も異なっていました。上級職と中級職や初級職です。学歴と採用試験で、明確に分かれていました。典型は、軍隊です。将校と兵とは、はっきり区別されています。全員が管理職を目指すと、人事課も困るでしょう。
また、社員や職員が全員、職場に全てを捧げているわけでもありません。別に生きがいを持っている人、趣味を優先する人、家族の事情などで職場だけを優先できない人もいます。

大学卒が増えて、学歴による区分が機能しなくなり、他方で「平等主義」によって「差をつけない」ふりをしてきました。多くの人は出世したいでしょう。しかし、管理職は誰もができるような仕事ではなく、本来はそんなお気楽な仕事ではありません。
管理職を目指す競争は、本人の技能を磨く上でも有用であり、組織としても活性化するという利点があります。しかし、いずれ全員が管理職になれないことがわかります。その際の本人と会社側の対応が難しいのです。
冷たいことを言うようですが、それが現実です。

なおこのほかに、管理職とは名ばかりで、業務も変わらず負担が増えるだけ、給料も上がらないといった問題もあるようです。魅力がなければ、目指しませんわね。