時間の管理と仕事の管理は別物だと、『明るい公務員講座』(53ページ)でお教えしました。手帳に書かれているのは時間の予定であって、仕事を進める予定ではないということです。
手帳に、「○月×日15:00~17:00、講演」と書いてあっても、仕事としては、事前に主催者に当日使う資料を送る必要があり、その前に話す内容を考えて資料をつくる必要があります。私は、時間の管理は手帳で、仕事の管理はそれとは別にパソコンに書いて紙に打ち出しています。それぞれ紙でないと、落ち着かないのです。また、書いて眺めることで、頭に入れています。
常勤職を退いてから、ますますその意識が強まりました。
かつて、企業経営者から「公務員も社員も、時間で労働を売っているようなものだ」と言われたことがあります。決められた時間を勤務し、与えられた仕事をこなせば、給与がもらえます。勤務時間を職場で過ごし、さしたる成果も出さずに、給与をもらっている人もいます。「サラリーマンは、気楽な稼業ときたもんだ」とは、植木等さんのヒット曲でした。1962年のことなので、大昔の話です。
しかし、経営者は勤務時間にかかわらず、成果を出さないと、失格です。しかも、競争の激しい市場で生き抜くためには、止まっていることは許されません。雇用主と被傭者との違いです。個人営業の人も、同じです。決められた勤務時間はなく、どのような成果を出すかが問われます。
勤め人だったときは、出勤しているだけで、仕事をしているような気になったものです。何もせずにブラブラしているわけではありませんが、それなりに仕事に追われ、仕事をした気になりました。
ところが自由業になると、出勤して仕事をしている気分になることがありません。他方で、講演会の準備や締め切りの来る原稿があり、これは費やした時間とは関係なく、成果が問われます。
「午前中何時間、午後何時間、それに費やす」と手帳に書いても、執筆が進まないと何の成果も出ません。時間の管理が、仕事の管理にならないのです。