カテゴリーアーカイブ:明るい課長講座

低い年次有給休暇の取得

2026年2月19日   岡本全勝

2月2日の日経新聞に「企業の休暇制度ちぐはぐ 広がる特別休暇、年次有給休暇は未消化」が載っていました。

・・・病気治療やリスキリング(学び直し)のための特別休暇を導入する企業が増えている。人材の定着や生産性向上につなげる狙いがあり、国も推奨する。もっとも日本は本来リフレッシュに充てられるはずの年次有給休暇(年休)の取得率が海外と比べて低く、休み下手は解消しないままだ。休みやすさと生産性の両立に向けた議論は深まっていない・・・

・・・厚労省も啓発に力を入れる。背景の一つが、年休取得率の低さだ。雇用環境政策室は「体調不良などに備えて取得を控える人が多い。不安を解消し、働く人の多様な活動をサポートするために特別休暇を活用してほしい」とする。
厚労省の25年就労条件総合調査によると、21年まで40〜50%台だった年休取得率は近年上昇し、24年は66.9%となったが、国際的には低い。米旅行予約サイト大手エクスペディアが11カ国・地域を対象に23年の取得率を比較した調査では63%で最下位だった。
厚労省の意識調査(24年度)では、取得しない理由は「急な用事のために残しておく必要がある」(45.6%)、「病気やけがに備えて残しておきたい」(43.3%)が多かった。
早稲田大学の水町勇一郎教授は「日本は労働者に時季指定権があり、好きなとき休めるはずが、周囲の目を気にするジレンマがある」と、日本の労働文化も背景にあると指摘する。

欧州連合(EU)の労働時間指令は少なくとも4週間(20労働日)の年休を保障し、加盟国は法律で日数を定める。フランス、ドイツは30日程度付与されることが多い。フランスはあらかじめ休む日を決める年休(取得)カレンダーの指定義務を使用者に課している。年休とは別に病気休暇制度も充実している。フランスは一定期間の賃金を社会保険と企業の負担で保障。ドイツは6週間は有給とすることを法律で定めている。
水町氏は「欧州は年休カレンダーなど企業の責任で年休を確実に取らせることで、未消化の問題を生じさせない仕組みを構築できている」と解説する・・・

・・・日本は年次有給休暇(年休)の取得率が低い一方、祝日の数の多さは先進国でトップレベルだ。海外とは異なる特徴を持つなか、心身をしっかり休息させられる環境づくりには課題が多い。
働き方改革の一環で2019年に年5日取得させることが企業の義務となったことなどで、年休取得率は上昇してきた。28年までに取得率70%という政府目標に近づいたが、欧州は9割を超える。
一方、日本の祝日数は26年は振り替え休日なども含め18日。主要7カ国(G7)の他の国は9〜13日で、突出して多い。祝日の一部を月曜日に移動させるハッピーマンデー制度で、連休も増やしてきた。早稲田大学の水町勇一郎教授は「すべての労働者が祝日に休めるわけではない。年休を細切れで取得すると『休み感』も実感しづらい」と指摘する。
長期休暇を取る人はゴールデンウイークやお盆、年末年始などに集中し、観光地の混雑や旅費の高騰につながっている・・・

話を聞くのは疲れる

2026年2月18日   岡本全勝

1月30日の日経新聞夕刊、西原珉さんが「幽体離脱の日々」として、次のようなことを書いておられました。
心理療法士として、相手の話を聞くことについてです。悲しいことなどをたくさん聞くことは疲れるのですが、疲れの原因はそうではないと言っておられます。

・・・心理学のメラビアンの法則によれば、人は相手の隠された感情や本音を、言葉そのものよりも表情や声のトーンといった非言語情報から読み取ることが多いという。セッションでは、クライエントさんの話す内容に加えて、目の動き、口調やためらいといった言葉以外のサインを見逃さないように注意を注いでいる。
好きだけど嫌い、期待するのは怖いけど期待したいなど、人間の感情は矛盾に満ちていて、容易(たやす)く割り切れるものでもない。それらのクライエントさんとの対話をどの方向に向けていけば良いかを、幽体離脱して部屋の片隅から冷静に見ている、別の自分もいる。
そんな風に、50分に毎回全力で集中しているので、1日のセッションが終わると心地より疲労感とともに、頭の芯が痺れたようになる・・・

理解できます。私も、大勢の前で講演するのはそれなりに疲れるのですが、さほどでもありません。1対1の会話は、それと比較にならないくらい疲れます。前者は肉体的疲労であり、後者は精神的疲労です。
相手の本音を探り、話を聞くだけではなく、こちらの意見に賛成してもらうように誘導しなければなりません。それは、全身を使って、全人格で取り組まなければならない「困難な仕事」です。

相手も、こちらの本音を空かしてみています。気を抜くわけにはいきません。
「これで良いですか」と聞かれたときに、「はい」という返事が1秒遅れたら、相手は「こいつは本心は反対なんだな」と思うでしょう。「いいえダメです」ということを、どのようにして発言するか、相手のわかってもらうか。難しいです。決裂して席を立つなら楽ですが。

上司は年下

2026年2月18日   岡本全勝

2月3日の日経新聞夕刊に「上司は年下 悩む50代」が載っていました。

・・・年下の上司のもとで年上の部下が働く職場が増えている。背景にあるのは成果主義や役職定年、定年延長、ミドル・シニア転職の広がりだ。50代社員の半数近くが年下の直属上司のもとで勤務しているという調査もある。年功序列が長く続いてきた大企業を中心に、上司と部下双方がコミュニケーションの見直しを迫られている。

「基本的な人間関係ができていないのに、指示ばかりされると不満を感じることもある」。人材サービス企業で働く50代男性は6年ほど前に幹部職から現場の社員となった。今は10歳以上年下の上司のもとで人材育成の講師として働く。
当初は「何で自分が幹部を外れるのか」との思いもあり、親の介護も抱えるなかで1カ月ほど酒を飲みながら葛藤した。転職も含めた選択肢を並べてこれからどう生きていきたいのかを考え、事業内容に共感できる今の会社に残ることを選んだ。自分が選んだ道だと意識すると次第に気持ちが楽になったというが、それでも年下上司のもとで働くことにストレスを感じることもある。

企業向けの教育支援を手がけるジェイックの調査では、50代正社員の46%が直属の上司は年下と回答した。上司が30〜40代と回答した人も18%いた。「上司が年下」と回答した人に、自分とギャップを感じる上司の仕事の仕方や考え方を聞くと、コミュニケーションの取り方や部下の指導・育成の仕方をあげる人が約3割となった。
システム会社に勤務する50代男性は「年下上司は遠慮しがちで、年上の自分にどんな作業を割り振ればいいか迷っているように感じる」と語る。上司より経験が長いため指導しにくいようで「1on1」面談も「一度もまともに実施してもらっていない」という・・・

・・・一方、年下上司も年上部下との付き合い方で頭を悩ませていることも珍しくない。自動車メーカーの課長級の40代男性は「年上の部下はこれまでのやり方にプライドがある分、新しい手法を受け入れてもらうのに苦労する場合がある」と語る。例えば研修のオンライン化を提案したところ、対面重視で職人気質の年上メンバーたちから「オンラインでうまくいくはずがない」と抵抗されたという・・・
・・・管理職向けに外部メンターを紹介するMentor For(東京・品川)の池原真佐子代表は「年功序列的な風土が残る企業を中心に、年上部下に仕事を頼めずに自分で抱え込む人や面談などのフィードバックに悩む人は多い」と話す。日頃から年上部下の経験に敬意を示すことや居場所をつくることを意識したうえで、年齢により遠慮することなく業務の依頼や指摘はすべきだと助言する・・・

副業で第二の人生を探す

2026年2月17日   岡本全勝

1月30日の朝日新聞に「第二の人生、「副業」で探る可能性 仲間づくり支援、新たな価値生む」が載っていました。

・・・本業のかたわらにする小遣い稼ぎ――。そんな「副業」のイメージが変わりつつある。とりわけ人生100年時代を迎え、ミドル世代にとって副業は、自分の可能性とセカンドキャリアを見据える大きな手立てだ。副業をめぐる経済圏も広がりをみせ、そこでは人と人とのつながりが新たな価値を生み出している。

仕事帰りの人でごった返す東京・新橋のビルの一角。昨年9月の夜6時半ごろ、2階のイベントスペースに、50~60代の5人が集まった。飲み物を片手に、登壇した男性を囲むようにしてそれぞれ腰掛ける。話が始まった。
「ストレスをチェックするサービスの事業拡大には何が必要か」
次々と手が上がり、チラシの訴求ポイントの改善のほか、ストレス改善のサービスとともに導入メリットを打ち出すことなどの意見が出された。
この場を設けたのは、副業などを通じて、ミドルシニアの学び直しや仲間づくりをする「ライフシフトプラットフォーム」(LSP)を運営するニューホライズンコレクティブ(NH)。
議論に参加した岡田壮祐さん(63)は2024年、この輪に加わった。セカンドキャリアへの不安が背中を後押しした・・・

・・・一つの会社で出世を目指し、定年まで働く。そんな風潮が当たり前とされた時代、本業以外の副業には暗いイメージがついてまわった。だが、そんなイメージは薄れている。
NHはもともと広告大手の電通が20年に一部の中高年社員の雇用を個人事業主に切り替える際に、支援の受け皿として設立した子会社だ。23年以降はLSPに他社も受け入れ、大手を中心に約10社、40人ほどが参加する。注力するのは、仲間づくりの支援だ。
NHの山口裕二共同代表は「社内で自分の出番を見失って悩むミドルシニアは多い。社外の仲間との交流が、さまざまな出番につながる」と語る。
実際、副業をきっかけにキャリアを見直す人は多い。リクルートが正社員620人に行った調査(21年)で、副業や兼業をしてみたいと思ったきっかけを聞いたところ、「自分のキャリアを見つめ直した」が約3割(複数回答)と最も高かった。

副業を認める会社も増加傾向で、副業をとりまくビジネスも熱を帯びる。仕事仲介大手「クラウドワークス」などによると、正社員の副業の市場規模は、23年ごろは約0・8兆円だが、その後の10年で約2・4兆円になると推計される。
ライフシフトラボ(東京)は、40代以降の働く人を対象に、人生後半のキャリアの自律をかなえるオンラインビジネススクールを22年に開講。大手商社や携帯通信会社などでも副業のセミナーをしており、法人からの問い合わせも増えている。
都築辰弥社長は「かつての副業にあった『小遣い稼ぎ』や『会社に内緒でする内職』といったイメージから変わり、会社をやめずにリスクを抑えながら、起業や転職など次のステップに向かう『助走』の手段として認識されている」と話す・・・

上司と部下の一対一対話

2026年2月14日   岡本全勝

1月20日の日経新聞夕刊「「1on1」惰性にしないコツ」から。1on1って、一対一対話のことですよね(日本語もここまで来たか)。

・・・職場での新しいコミュニケーションの形である「1on1(ワンオンワン)」に工夫を凝らす企業が増えている。一方通行ではなく双方向のやりとりとして注目されているが、形式的な導入で効果を疑う見方も根強い。鍵となるのは1on1にどのような役割を持たせるかという明確な目的意識の違いだ。

「取引先との商談中にフォローしてもらえなくて悲しかった」「小さな成果だったけど褒められてとてもうれしかった」――。人材サービスのエンの営業部門で2人の部下を持つ小林菜津子さんは毎月末、1カ月の業務を振り返る1on1の中に部下から「うれしかったこと」「悲しかったこと」を聞く「キモチ伝達タイム」を組み込んでいる。
5〜10分程度だが、伝えることをためらいがちな人でも専用の時間をつくれば言いやすくなる。部下は気持ちを率直に言葉にするだけで、上司はあくまで聞き役に徹する。

エンでは社員に求める業務遂行能力の一つに「キモチ伝達力」を定めている。感情を言葉にすることで、チームメンバーの考え方の違いをお互いが理解して、わだかまりをできにくくする狙いだ。
小林さんの部下で新卒1年目の白石彩絵さんは「業務が逼迫してつらいとき、『つらい』ということを言っていいのか分からなかった」と入社当初を振り返る。素直に感じたことを伝えたことで、業務の優先順位を整理するなど具体的な解決につながった。
小林さんは「部下の関心や適性を把握して、今後のキャリアプランを考えることにもつながる」と副次的な効果も実感している。

パーソル総合研究所の調査によれば1on1はおよそ8割の人が経験済みだが、部下の3割は「効果を感じられない」と答えた。月1回などの高い頻度で開かれ、人事評価には直結しないといった点が考課面談とは異なるが、それだけに目的が曖昧なままでは意義を実感しにくい。

面談相手の「指名制」を採る企業も増えている。
教育システム開発のロゴスウェア(茨城県つくば市)は1on1を「ひとりで解決できないことを相談して、解決の方向性をつくる場」(高濱洋子・最高人事責任者)と位置づける。上司や部下に限らず、部門や立場の上下を超えて誰に対しても面談を申し込める点が特徴だ。この仕組みは新しい事業を立ち上げる際のチームづくりに効果を発揮している・・・