カテゴリー別アーカイブ: 仕事の仕方

生き様-仕事の仕方

予想外の出来事に対応する

この夏に予定されていた東京オリンピックが、延期になりました。新型コロナウィルス感染症の世界的流行で、やむを得ません。
延期になって、その対応作業が多岐にわたり、関係者の方は大変な仕事になると予想されます。日程の再設定、関係競技団体との調整、施設の確保、宿泊施設の確保、費用分担・・・。

私は、次のようなことを、頭で体操をしていました。
もし、この感染症の流行が、オリンピック開催の1か月前だったらどうなるか。あるいは、オリンピック開催中に発生したらどうなるか。
今回は、4か月前に判断することができました。この期間でも、さまざまな混乱が出るでしょう。しかし、直前や開催中だったら、その比ではありません。
また、地震のように予期できず突然来る災害と、今回の感染症のようにじわじわとやってくる病気とでも、対応の仕方は変わってきます。伝染病でも、今回より強毒性のものだと、また違ってくるでしょう。

何を優先して、何を我慢してもらうか。責任者と関係者は、難しい判断を迫られます。「平時ではない」ので、多少の混乱は致し方ありません。
国民に、それを納得してもらう説明が必要です。

日立製作所の雇用改革、その2

日立製作所の雇用改革」の続きです。

・・・入社年次にかかわらず、スキルや経験次第でポストや収入が決まる「ジョブ型」の雇用。一方で、課題もある。解雇されやすくなるのではないか、会社に対する忠誠心が失われるのではないか、といった点だ・・・

中畑専務
「従来の日本型雇用でも、事業が非常に厳しくなった場合には雇用を保てません。逆にジョブ型にしたほうが、ポジションが明確になって手を挙げられるし、チャンスを得られる制度だと説明しています」
「私の部下にはすでにジョブ型で働いている外国人が17人いますが、決まった仕事しかやらないなんていう社員は1人もいません。それこそ自分が成長するために仕事は広げます。従業員の意識調査でも、『日立で働くことに誇りを持っている』と回答したのは、海外が8割に対して日本は6割ぐらいなんです。ジョブ型で忠誠心が損なわれるというのは、理屈があるのかな、と」

日本型雇用のもとで働いてきたベテラン社員にとって、性急な改革は厳しいのではないだろうか。

中畑専務
「それはあると思います。私の世代はみな日本型雇用で育っていて、自分からキャリアを積んできた人はあまりいませんので。そういう人たちにも、例えばポジションごとにどういうスキルや経験が必要なのかを知らしめて次のステップやチャンスを渡す。そして、会社は教育を提供する」
「それでも手を挙げない人はいるかもしれません。結果として、いま部長だった人が係長になるかもしれません。会社として機会を与えたうえでの結果ならしかたがないとも言えます。逆に言えば、若い人にチャンスを与えることになります」
「ジョブ型への完全な転換には時間がかかると思います。理由の1つはやはり社員の意識が変わりにくいこと。もう1つは、日本全体で雇用の在り方が変わるのに時間がかかること。ただ日立の中は変えていけますから、4年後くらいには、『あの事業部のあの仕事をやりたい』と手を挙げ、異動し始めるようなイメージを持っています」

日経新聞「やさしい経済学」では、山田久・日本総合研究所副理事長の「日本型雇用、改革の行方」が始まっています。

日立製作所の雇用改革

NHKニュースウエッブに「日立の雇用改革」が載っていました。
・・・年功序列や終身雇用を柱とする「日本型雇用」の見直しが進んでいる。山場を迎えたことしの春闘でも、重要なテーマになった。とりわけ見直しの動きが進んでいるのは、グローバル企業との間で人材の獲得競争がしれつになっているIT関連の企業。その中にあって、「ジョブ型」と呼ばれる雇用体系に大きくかじを切ろうとしているのが日立製作所だ。世界で約30万人(このうち国内16万人)の社員が働く巨大企業の人事部門のトップに、そのねらいを聞いた・・・。

「日立でも定年まで働き続けるという考えの人は減ってきていて、20代・30代の3分の1は将来転職を考えています」
「マーケットはグローバルなので、いろいろな人が必要になります。海外企業の買収などもあって、日立はことし6割が外国人になります。日本型の雇用システムがなじまなくなっているんです」

日立が目指すのは、職務に応じて賃金や待遇が決まる制度。海外で一般的な「ジョブ型」と呼ばれる雇用体系だ。ポストごとに決められたスキルや経験を満たしていれば、年齢や社歴に関係なく、望む地位と報酬を得られることになる。「ジョブ型」への移行に向けて、会社は制度やシステムの整備を急いでいる。たとえば、会社がポストを明確に提示し、社員はみずからの経験や希望するポストなどをシステムに入力。双方をマッチングするようなイメージだ。

中畑専務
「人に仕事を割り当てるのではなく、仕事に人を割り当てるのです。これこれこういう仕事があります、そのために必要なスキルは何ですか、必要な経験は何ですかというのが先に明示されていて、そこに必要な人は誰ですか、ということです」
「日本の場合は人事異動で受け身が強かったと思いますが、ジョブ型では自分で自分のキャリアを考えていく、自分で切り開くという意識が必要になってくると思います。自分のキャリアを作るためにこのポジションを経験しておいたほうがいいといったことを自分で考えておく。そのためにはツールが必要で、会社はきちんと、こんなポジションがありますよ、どんな経験が必要ですよ、どんなスキルが必要ですよといったことを示していくことが必要だと思います」
この項続く

3月19日に思う、災害対策の要点

今日は3月19日。9年前のこの日から、東日本大震災被災者生活支援本部が本格的に活動を始めました。
時あたかも、新型インフルエンザが単なる病気を超えて、社会に大きな被害を与えています。9年前の経験を振り返って、いくつかの論点を書いておきましょう。

1 まず、体制です。
被災者支援本部では、官房副長官や大臣らと事務局幹部による本部会合と、官僚による事務局の2層制にしました。事務局は、各省から、一定の分野に土地勘のある官僚を集めました。
本部は、意思決定をする場です。事務局は、そこに提案する事案の整理と、決定された事項の実施です。
本部会合は、毎日時間を決め、集まれるメンバーで行いました。大臣たちは忙しく、こればかりにかかわっているわけにはいきません。ある程度、事務局に任せてもらわないと、仕事が回りません。

また、総理と政治のリーダーシップは重要なのですが、総理や与野党には、少し離れたところからこれら本部の動きを見ていていただき、欠けている点を指摘していただきたいのです。もちろん、マスコミも同じです。「ここが足りない」という指摘が、対策本部と事務局にはありがたいのです。

2 政策分野と優先順位
何をしなければならないか。それを整理することが重要です。前例がないことなので。
今回のウイルスも同じです。病気対策や蔓延対策だけでなく、外国との往来の制限、経済対策と(悲鳴を上げている)産業対策、学校対策、フリーランスや困っている弱者対策など、多岐にわたります。
それら課題と、何をするかを整理して、本部会合に示し、さらには国民に示す必要があります。
それを、一元的にする事務局とその責任者が必要です。

そこには、担当する役所がはっきりしている分野と、そうでない分野があります。フリーランスや困っている弱者対策は、担当する役所はないでしょう。セーフティーネットからこぼれ落ちる人たちを、どのように拾うかです。残念ながら、国の省庁は供給者側からできています。

3 緊急対策と長期見通しと
実施する対策には、いま急がなければならない対策と、中長期の見通しがあります。
対策は、きちんとしたものを決めることは困難です。走りながら考えるのですから。感度よく、そして柔軟に変える必要があります。そのためには、情報が上がってくるように、仕組みを整える必要があります。
被災者支援事務局では、各分野を担当する職員の他に、漏れ落ちた課題を拾い新しい部門をつくることを検討する(企画担当)職員と、その部門の職員たちを集める(人集め)職員も配置しました。

この次に何が起こるか、何が必要かを考えること。特に今回は、国民にそれを示す必要があるでしょう。
また、長期戦になるとするなら、その時間軸と、どのようにして次の段階に行くのか、また終了させるかも重要です。

管理職、中間管理職、職員の区分、4

しばらく間が空きましたが、「管理職、中間管理職、職員の区分、3」の続きです。

職員を職務別に採用せず、一括採用してから昇進させる方法は、「差別をせず平等に扱う」という、一見良さそうな面がありますが、欠点も多いです。
・職員には能力の差があります。それは持って生まれたもの以上に、本人の努力によるものもあります。採用時に同一に扱うということは、大学での勉学を評価しないということです。技術系は学んだ学問が評価されますが、それ以外は、採用の際に問われません。これでは、大学生活は壮大なムダです。
・職員が平等という考え自体が、無理です。会社にも役所にとっても、世間はそんなに甘くありません。能力ある者が能力を発揮しないと、会社は潰れ、役所は住民の期待に応えることができません。

・次のような悲劇も、起こります。
職種別の能力を問わない職場では、職場への忠誠心が評価の基準になります。その競争に、全員が巻き込まれます。それは、一面では全員が頑張るという活力を生みます。
しかし、仕事の成果という評価基準を用いないので、長時間働くこと、会社や上司の意向に沿うことが評価基準になります。
自分に与えられた仕事を処理しても、先に帰宅できないのです。
長時間労働や過労死は、この風土の中で生まれます。

・組織を効率的に運営し、社員や職員に能力を発揮してもらうためには、職種による区分と、階級による区分が必要です。軍隊(自衛隊)や警察、消防は、そのようになっています。