カテゴリー別アーカイブ: 仕事の仕方

生き様-仕事の仕方

時代と時機を読むことの重要性

日経新聞私の履歴書、10月は小野寺正・元KDDI社長です。巨大独占企業であった電電公社から第二電電(DDI)に転職し、KDDIに育てた方です。特に、23日「破談 非常識な要求に合併白紙 KDDのプライドがあだに」、24日「IDOと連携 携帯通信エリア 全国に わだかまり超えドコモに対抗」、25日「3社合併成立 KDDと予想外の再交渉 時機読むことの重要性を痛感」が勉強になります。

1980年代の通信事業の自由化によって、新しくできた新電電各社が競争します。その中で、DDIは最も弱小でした。国際通信を独占していた国際電電系のKDDとの合併交渉が、すんでの所で破談になります。その理由がとても興味深いです。原文をお読みください。
次に、トヨタを親に持つIDOと合併の交渉に入ります。この2社は競争相手ですが、NTTドコモとの競争上、そんなことを言っておられなくなります。
・・・最後にこの再編を促した陰の主役にも触れておきたい。NTTドコモの初代社長の大星公二さんだ。電電公社の出身でありながら、外部の人材をうまく起用し、「iモード」を生み出した人物。私も個人的に敬愛する人だが、ビジネスの勘が鋭く、相手方に大星さんのような知恵者がいる以上、DDI・IDO陣営も統合を急ぎ、ドコモと互角に戦える基盤を早急につくる必要があった・・・
合併当事者でなく、双方の競争相手の強敵を意識して、仕事をされたのです。

そして、一度は破談になったKDDとの合併が進みます。一度目はKDDが強く、DDIはいくつも譲歩をします。ところが、二度目の合併交渉では、力関係が逆転していました。
このような劇的な話を読むと、常に思うのですが。失敗した側の人の話を聞いてみたいです。難しいでしょうが。

仕事人。輸入した外車を運ぶ

9月28日の朝日新聞夕刊「凄腕しごとにん」は、小田巻幸子さんの「整備工場まで運んだ新車、約37万台」です。
輸入した外車を、陸揚げした港の埠頭から、整備工場まで一台一台、運転して運ぶのが仕事です。それだけ聞くと簡単なようですが、そうではないのです。何が大変か。記事をお読みください。

さらに、次のような工夫もしておられます。さすが仕事人。
「新車を傷つけないよう、外側にファスナーの金具やボタンがない制服を着用している。面ファスナーで止めたり、生地の中にボタンをしまったりしている。夜間の事故防止のため、反射材も縫い付けてある」

失敗した際の償い

原子力災害伝承館が伝えることと残っていること」の続き、その2です(その1事故後の対応検証)。
もう一つ残されていることは、事故・失敗を起こした後の、責任の果たし方についてです。これについては、このホームページ「責任をとる方法」1~4で整理しました。特に「責任を取る方法2」の表「失敗した際の責任の取り方」をごらんください。

事故を起こしたことは批判されることですが、いくら努力しても起きた事実は変えることができません。しかし、その後の被害拡大を抑えることや、再発防止、そして被害者への償いなどは、関係者の努力が問われます。この点について、政府、特に経済産業省はどの程度、責任を果たし、償いをしたでしょうか。
前回述べた、事故後の対応について対応について検証がされていないこと、そしてその後の責任の果たし方が明確に示されないことの理由の一つが、その担当組織であった原子力安全・保安院が廃止されたことだと、私は考えています。「お取りつぶしのパラドックス」に書きました。

原発事故及びその後の対応について、政府は国民の信頼を大きく失いました。例えば「第2回 双葉郡住民実態調査」(2018年1月、福島大学うつくしまふくしま未来支援センター)は、大震災発生当時、双葉地方7町村に居住していた全世帯を対象にした調査です。そこでは、いくつかの組織について「どのくらい信頼しているか」を聞いています。
それによると、「信頼していない」+「あまり信頼していない」の回答が多かったものは、東京電力(76%)に次いで、政府(69%)、学者・研究者(50%)の順になっています(P22)。自治体やマスコミなどに比べ、格段に低いのです。
官僚は、改めて自覚すべきです。この落ちた政府への信頼を、どのように回復するか。それは、責任の取り方を、被災者や国民が評価してくれるかどうかによると思います。

さて、そのような視点からは、県が伝承館をつくり、東電が廃炉資料館をつくりました。では、国はどのように、この失敗を後世に伝えていくのでしょうか。
その3に続く

事故後の対応検証

原子力災害伝承館が伝えることと残っていること」の続きです。まず、事故対応の検証についてです。

原発事故の検証を分けると、事故が起きたことの検証と、事故後の対応についての検証の二つがあります。そして事故後の対応については、原発内での対応(原子炉を冷温停止させること)と、原発敷地外での対応(住民避難や避難者支援、国民への情報提供)の二つがあります。
このうち原発内については、事故が起きたことと事故後の対応について、政府、国会、民間による検証があります。しかし、原発敷地外の対応については、その検証はほとんどされていないようです。そして、いくつもの失敗があったのです。

ここでは、3つ事例を挙げましょう。
一つは、避難指示が出されましたが、「できるだけ遠くへ」とだけで、どこにという行き先の指示もありませんでした。そこで、ほとんどの人が、着の身着のまま、不安のなかで、何か所も転々としたのです。

もう一つは、放射線の飛散状況が示されなかったので、放射線量の高いところに避難した例があったのです。浪江町です。町の中心部から、原発とは反対側の東北の山間部(津島地区)へ避難しました。多くの町民が、そこで数日過ごしました。この判断は当然のことですが、津島地区は放射線量が高かったのです。結果として、放射線量の低い地域から、高い地域へ避難したことになりました。亡くなられた馬場有町長は、そのあとこの判断を悔やみ、責任を感じておられました。

そして、大月編集委員の記事に書かれているように、原発事故後に避難指示が出た際に、置き去りにされた人たちがいました。その双葉病院では、寝たきりの病人が行き先も決めず、バスで運ばれました。そして、死者が出ました。

これらについて、責任ある検証がされていません。しかるべき組織が検証することを期待します。その2へ続く。

よい仕事をするために筋肉トレーニング

9月9日の日経新聞、「企業トップ 心身を最高の状態に」から。
企業のトップで、筋肉トレーニングに励む人がいるとのことです。
確かに、悩み事があったり、他のことを考えていると、よい判断ができません。そして、健康でないと、これまたよい仕事や判断はできないでしょう。
「健全な精神は健全な肉体に宿る」という金言も、ありますよね。

ところが、その人たちを指導するトレーナーによると、それだけではないようです。
重要なのは、きついトレーニングで筋肉を大きくすることではなく、「自分がどうありたいか」だそうです。
指導を受ける企業のトップたちは、「自分が筋トレでどうありたいのかというビジョンとそれを伝える言語化力がとても高い。マネジメント力を垣間見ているような気がする」とのことです。