カテゴリー別アーカイブ: 仕事の仕方

生き様-仕事の仕方

管理職、経営者、指導者

日本のこの30年間の経済の低迷、生産性が伸びない原因は、管理職が管理職の仕事をしていないからだと、私は考えています。会社や役所では、これまで管理職教育をやってこなかったのです。

発展途上時代は、西欧という手本があり、それに向かって努力すれば良かったのです。右肩上がりなので、それぞれが頑張れば、全体の成績が上がりました。部分最適が全体最適になったのです。その時代の管理職は、経営者から与えられた、あるいは与えられなくても、所管事業を増やすことに努め、方向性を職員に共有すれば、前進しました。
ところが、手本がなくなり成長が止まると、方向性を決めることと、優先順位をつけ劣る部分を縮小する必要が出てきました。組織としての大きな方向性を決めることは、経営者の仕事です。それに従って所管業務の方向を決め、優先順位をつけることが管理職の役割です。ところが、経営者も管理職もその教育を受けていませんでした。
「業務を縮小する、やめる」「部下の評価で差をつける」ことができないのです。下から決裁を上げる稟議制、全員一致のための根回しに慣れているので、部下の少々の反対を押し切ってでも進める方法ができないのです。

社員や職員の採用と養成にも、問題があります。戦後の日本の組織では、なるべく差をつけず、平等扱いをすることが求められました。社員は、幹部候補(かつては大卒)、主力となる社員(その他の男性社員)、女性という、3経路で採用され昇進しました。
幹部候補を一括採用して、昇進の過程で選抜して行きます。確かにこの方法は、優秀な社員を選ぶには良い方法であり、多くの社員を長い間頑張らせるには良い方法です。しかし、管理職の階梯にも大きな差があります。さらにそこから経営者層を選ぶとすると、問題です。

管理職と経営者とは、求められるものが違います。より上位の職に就かせる幹部候補には、早い段階からそれなりの教育をして、本人にも自覚と責任を持たせる必要があります。同期入社の社員の愚痴を聞くのは良いのですが、一緒になって愚痴を言っていてはいけません。
たくさんの幹部候補を採用しそこから幹部を選抜すること、幹部候補とその他の職員にあまり差をつけないことは「平等」ですが、ある目的を追求する組織にはふさわしくありません。背負っている責任と、必要な能力が違うのです。
多くの幹部候補は入社時点あるいは早い時点で、自分がどの位置にいるかを理解しています。もちろん、後ろの方にいることを認めたくありませんが。
もっと明確に、幹部候補とその他の職員、幹部候補の中でも階梯によって、採用、昇進、教育に差をつける必要があります。
さらに経営者と指導者は違います。この話は、別の機会に書きましょう。

緩いチームに成長はない

11月25日の日経新聞夕刊、GU・柚木治社長の「私のリーダー論 下」から。

ー育てる側の忍耐や自制心も試されそうです。
「時には厳しさも重要ですね。あえて修羅場を経験させたり、高い要求を与えて叱って伸ばしたりも必要です。自分自身を振り返っても、そういう時に成長しました。厳しさはわたしにとっては不得手な部分で、部下に対してやりきれているだろうかと思うこともありますね」
「でも『チームワーク重視』などを理由に厳しくしなければ、ただの緩いチームになり部下も成長しません。結果として全員が不幸になります。それは経営者としては怠慢に等しい。柳井会長は部下に期待しながら厳しくも接する。両方ができる強いリーダーだと感じています」

政治家を動かす方法

11月26日の朝日新聞経済面「国際課税、新ルールへ:4 崩壊寸前の議論、コロナ禍で一変」に、麻生副総理がイギリスの財務大臣を動かす話が載っていました。この記事は「日本の官僚、国際貢献」の続きの連載です。

・・・とはいえ、各国の利害が鋭く対立する課税問題での合意は一筋縄ではいかない。いよいよ議論を主導してきた主要先進国の政治的な合意が必要な時期だった。
今年6月にロンドンで開かれた主要7カ国(G7)財務相会合。久しぶりの対面会合では新ルールの詰めの協議が続いた。

議長国・イギリスのリシ・スナック財務相に、麻生太郎財務相(当時)が「(英国の)首相になりたいんだろ? ここは勝負をするべきだ」と裏で発破をかけ、実績づくりのために踏み込んだ合意をまとめるよう促す場面もあったという。

会合最終日。「一番大事なのはG7が一致したメッセージを出すことだ」。スナック氏が具体的な合意内容を盛り込んだ共同声明への賛同を呼びかけると、麻生氏は真っ先に拍手。米国と対立したフランスのルメール氏も拍手の輪に加わった。ついに主要先進国が新ルールの大枠で合意に至った瞬間だった・・・

コロナウィルスが変える仕事の仕方

11月5日の日経新聞1面に「在宅勤務など恒久化 8割 本社経営調査」が載っていました。
・・・日本経済新聞社がまとめた2021年の「スマートワーク経営調査」によると、在宅勤務やウェブ会議など新型コロナウイルス下で本格導入した働き方を「常時運用したい」とする企業が8割に達した。副業を解禁した企業も4割を超え、柔軟な働き方が広がった。企業は、働きやすさを生産性の向上や事業革新に結びつける実行力が問われる・・・

それによると、
在宅勤務を導入している企業は83%。
ウエッブ会議ツールを全社で導入した企業は61%。
働きやすさが向上したは29%、悪化したが10%。
一連の取り組みで、業務効率が向上した企業は21%、悪化した企業が12%。

電子メールでのやり取りの作法

電子メールは、便利ですよね。電話と違い、相手の都合を確認することなく、発信者の都合のよいときに打つことができます。そのことによる、受け取る側の迷惑について、そしてその対処方法については、『明るい公務員講座 仕事の達人編』で書きました。

電子メールでのやり取りが定着してきて、その作法も磨かれてきました。やたらとCC(同報)しない、親しい人とは冒頭の挨拶文を省略するなどです。
今日の話は、時に悩む次のようなことです。
親しい人に、お願いのメールを送ります。急ぎの場合は、「○日までにお願いします。可能でしょうか」とか、「返事ください」といった文言を入れておきます。
問題になるのは、「急いでいません。○日までで結構です」といった内容の時です。しばらく返事が来ないときがあります。多くは、作業をしていてくれるのですが、返事が来ないと、「届いてないのかな」「何か返事できないことがあるのだろうか」と心配になります。

私は、依頼があった場合は、直ちに返事できるものは、すぐに返事します。しばらく時間がかかりそうな場合は「メール受け取りました。しばらく時間ください」と、まずは受け取ったことの返信を送っておきます。