「仕事の仕方」カテゴリーアーカイブ
生き様-仕事の仕方
リーダー育成と研修
15日から日経新聞「やさしい経済学-経営学のフロンティア」は、金井寿宏教授の「リーダー育成の連鎖」を連載しています。
17日は、「721の法則」です。リーダシップが発揮できるようになる上で有益だったのは、7割が仕事上の経験、2割が上手な人を通じての薫陶、1割が研修ということです。研修やセミナーが役に立つ割合は、とても低いです。
私が貝になる時・面談時のメモ取りの反響
先日書いた「私が貝になる時・面談時のメモ取り」に、いくつか反響がありました。
「全く同感です。しかも、ぞろぞろと、たくさんの人が付いてきて。なんとかなりませんかね」
「大臣室や知事室に入る時は、お付きの人を制限しています。写真撮影が目的の面談は別ですが」
「面前でメモを取るのは、失礼です。覚えておいて、後で要点をメモにするべきです」
「私の上司は、詳細なメモを求めるので、どうしてもメモを取る必要があるのです」
「たくさんお付きの人が入る面談は、重要じゃないのです。まじめに相談に乗る方が、間違いです。重要な要件なら、お付きは最小限にしているはずです」(8月30日)
私が貝になる時・面談時のメモ取り
最近、気になることがあります。職務柄、知事さんをはじめ自治体の幹部と、お話しする機会が多いです。時に、随行の方が、同じテーブルや応接セットに着かれます。それは問題ではないのですが、ノートを広げて、メモを取られる方がおられます。
まあ、季節のご挨拶なら良いのですが、問題を相談に来られる方もおられます。私は、本音をしゃべる癖があります。相手が知事さんであろうが、単刀直入に「本音」をお話しします。その方が、儀礼的な挨拶や、腹の探り合いをしているより、効率的ですから。
でも、堂々とメモを取られると、「これは危ない」と思って、何もしゃべらないようになります。相づちを打つか、「そうですね」としか答えられないのです。だって、私の本音がメモとなって、世間を独り歩きすると、どのように悪用されるか、わかったものではありません。
時々「イヤー、メモを取られると、本音でしゃべれませんね」と、注意を喚起する場合もありますが、多くの場合、下を向いたまま、熱心にメモを取っておられます。その瞬間、「こりゃ、この上司もあかんわ」と思い、ますます貝になります。
1、2、3の次は、0
説明メモを作る際のコツを、「明るい係長講座」に書きました。ツバを飛ばしてしゃべるよりメモにせよ、メモは1枚にまとめよ、結論から書け、一目でわかる標題にせよ・・・。
最近気づいて、職員に指示していることがあります。
それは、「内容は箇条書きにせよ。3つ以上は書くな」です。箇条書きの方が、長い文章より、読んで(一目で見て)わかりやすいことは、説明しなくてもわかるでしょう。
「3つ以上は書くな」は、説明が必要ですね。理由は簡単。私は、3つを越えると、覚えられないのです。
職員は、1度にたくさんのことを説明しようとするのですが、私の頭の中のカウンターは、1、2の次は3ですが、3の次は4でなく、0です。振り出しに戻ります。2にも、戻りません。すなわち、3つ以上のことを聞くと、頭の中が混乱して、全部忘れてしまうのです。
「聞いている時はわかっているが、聞き終わると何も頭に残らない」というのが、正確でしょう。たくさん書いてあると、最初から読む気もしない、という場合もあります。「お前が、頭が悪いのだ」と言われれば、そうです。
数詞が、1、2、3の次は「たくさん」、という文明もあるとのことですが、私の頭の中もこれと同じです。漢字だって、一、二、三の次は、横棒が4本ではなくなります。ローマ数字も、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの次は、縦棒が4本ではありません。
手の指は5本あるのですが、人間の頭の中での数の基本形は、3までのようです。3を越えると、あとは、「たくさん」なのです。
かつて、私がお仕えした上司にも、同じ考えの方がおられました。政治家に説明に行く際、持っていく資料です。その作成を指示されれる時は、「1枚の紙に、3つ」。しかも、「それぞれ1行で、合計3行まで」でした。
「それじゃあ、説明できません。もう少し書かせてください」と申し上げても、「だめ。それ以上書くと、相手の頭に入らないから」と、認めてくださいません。
当時は「理不尽な」と思いましたが、自分が説明を受ける立場になると、よ~くわかります。しかも、大臣や政治家は、今の私より、はるかに忙しいのです。
4つ以上になる時は、どうするか。その時は、大きな見出しを3つにし、その中に小見出しをつくるしかないですね。そして、別紙にする。
繰り返します。上司の頭のカウンターは、1、2、3の次は、0です。4つ以上書くと、1つも2つも残らず、0に戻ります。あなたの苦労と上司の理解は、比例しません。それどころか、全く無駄になります。(2008年8月16日、17日)
「上司の頭、3の次は0」についての反響。
Aさんほか多数:おっしゃるとおりです。
Bさんほか何人か:そんなに、覚えられないのですか?
Cさん:私の上司は、3つくらいの案ではダメで、100くらい用意していかないと、納得してもらえません。
今日、言いそびれた回答です(お笑い的回答なので、まじめに受け取らないでください)。
Bさんへ:これは、私の場合を書いたので、一般的ではないかも知れません。でも、ニコニコしている上司が、あなたの言ったことをすべて納得し、覚えているとは、限りません。
もし、あなたに勇気があるのなら、たくさん説明してわかってもらえたと思った翌日に、その上司に、「昨日ご説明したあの件の4番目ですが・・」と聞いて、上司が覚えているか、試してみましょう。ただし、私は、このような実験を、お勧めしません。もちろん、結果について、責任は持ちません。
Cさんへ:私が書いているのは、「明るい係長講座」であって、「とても素晴らしい上司講座」でも、「とんでもない上司講座」でもありません。申し訳ありません。
さて、蛇足のアドバイスですが、そのような立派な上司に出会ったら、2度は反論しても良いですが、それ以上は辛抱するか、辞表を書くか、いずれかを選択してください。あなたは、上司を変えることはできないのです。もしあなたに、住宅ローンが残っているのなら、我慢することをお勧めします。
愚痴を言っても、状況は変わりません。将来、あなたが上司になった時に、あるいは現在の部下に対して、同じようなことをしないように、心がけましょう。今日も、あなたの部下は、あなたの悪口を言っているかも知れません。
ところで、あなたには信じがたいでしょうが、その「優秀な」上司は、あなたのことを、「なんで、できが悪いのだろう」と、思っているはずです。人間は、すべからく天動説ですから。
もっとも、あなただけでなく、部下全員がそう思われているので、心配はありません。