カテゴリーアーカイブ:行政

子どもが不登校になったら

2023年9月25日   岡本全勝

9月12日の朝日新聞教育欄に「親の苦悩、同じ立場の人とつながって 娘が不登校、臨床心理士の鈴木晶子さんに聞く」が載っていました。

・・・もし我が子に「学校に行きたくない」と言われたら、あなたならどう対応しますか? 臨床心理士で、不登校やひきこもりの当事者や保護者らを長年支援している認定NPO法人「フリースペースたまりば」(川崎市)の事務局次長・鈴木晶子さん(45)は、娘が不登校という当事者でもあります。自身の経験も踏まえ、親が同じ立場の人とつながることが大切だと言います・・・

子どもが不登校になったら。親や周りの人はどのようにしたら良いか、分かりませんよね。学校でも世間でも、教えてもらっていません。これまでの学校教育は「よい子に育てる」を目標としてきたので、そこから外れた子どもを考えてこなかったのです。
それは、職場でも同じです。良い職員や社員を育てる研修はあったのですが、そこから外れた社員をどのように指導するのか、これまでは研修内容に入っていませんでした。でも、「良い生徒」も「良い社員」(これらは組織の側から見た評価です)も、教師や上司には手がかからないのです。

惰眠官僚

2023年9月22日   岡本全勝

9月16日の朝日新聞投書欄に、昭和20年9月25日の投書「惰眠官僚」が載っていました。恥ずかしいです。

◇商工省の庁舎が連合軍兵舎に提供され立退かねばならなかつた時のこと。「手が足りぬから是非」との商工省某燃料関係課よりの要請に応じ、某会社の社員たる吾々(われわれ)も応援を買つて出た。役所に出て当の官庁側の出席者が余りに少いのに一驚を喫した。少数の下級課員とともに、五階の旧事務室から一丁程離れた新庁舎の二階迄(まで)テーブルや書類を人力のみで上げ下げせねばならなかつた。

◇その際割り切れぬ感情があつた。当の責任者たる課長の態度である。彼は自分の道具、棚等を部下や応援者に運搬させて置きながら、回転椅子に座り込み、昼食後は恥かし気もなく昼寝を始めたのである。我々の目の前で靴のまゝの両足をテーブルの上に投げ出し作業の終るまで眠り続けてゐた。

◇この象徴的事実が戦後の我国を暗示するものでなければ幸である。新日本の黎明(れいめい)とともに此種(このしゅ)の一部官僚が惰眠より覚醒せん事を切望して止(や)まない。(一国民寄)

外国人向け認可外施設

2023年9月17日   岡本全勝

8月28日の朝日新聞に「外国人向け認可外施設、足りぬ「保育士」 日本の資格者確保 無償化の条件、滋賀県が緩和訴え」が載っていました。現行制度から漏れ落ちる人を、どのように拾い上げるか。原文をお読みください。

・・・約1万人のブラジル人が暮らし、製造業を支える滋賀県。外国籍の子どもたちの受け皿となっている認可外保育施設が、国の幼児教育・保育の無償化の基準見直しを訴えている。条件となる「日本の保育士資格を持つ職員」の確保が難しいためだ。外国人向けの保育施設が多い全国の自治体も、同じ事情を抱える。

滋賀県愛荘町のブラジル人学校兼保育施設「サンタナ学園」。1998年、日系2世の中田ケンコ校長(66)が始めた。保育施設には現在、0~5歳のブラジルやフィリピンの外国籍の子どもたち22人が県内8市町から通う。
2019年10月から始まった幼保無償化。認可外保育施設が対象となるには、保育士資格者の数や、子ども1人あたりの保育室の面積など、国の一定の基準を満たす必要がある。ただし、来年9月末まで5年間の猶予期間が設けられた。
学園では4年前から日本人スタッフが働き、日本語で書類作成をするなど基準を満たす努力をしてきた。しかし今秋行われる施設への立ち入り調査で、基準を満たせる見通しは立っていない。
最も高いハードルが、日本の保育士資格を有する職員を確保することだ。中田校長は「言葉の問題から、ブラジル人が日本の保育士資格を取るのは難しい。25年間続けてきたが、無償化が打ち切りになれば非常に厳しい」と話す。
学園に通う子どもや保護者の大半は、日本語が不自由だ。保育士には、ポルトガル語やブラジル文化の理解が欠かせない。ブラジルの教員資格を持つ職員が数人いるが、日本の保育士資格を持つ職員はパート1人。学園の規模では、最低2人の保育士が常勤勤務する必要があるという・・・

孤独・孤立の支援、寄り添う自治体

2023年9月16日   岡本全勝

8月24日の朝日新聞に、「孤独・孤立の支援、寄り添う自治体」が載っていました。徐々に、孤立孤独対策の重要性と、その対策技法(これまでの行政手法と異なること)が理解されつつあります。

・・・孤独・孤立対策推進法は来年4月に施行される。背景には孤独・孤立が心身に有害な影響を与えることへの懸念がある。国は対策推進本部を設置し、対策の重点計画を作成する。
ただこれまでも市区町村は孤独・孤立対策を進めてきた。その現在地を知ることができるのが、地域福祉が専門の加山弾・東洋大学教授の論考だ。

論考によれば、近年の孤独・孤立支援の大きな転換点は2017年と20年の社会福祉法改正だった。「福祉サービスを必要とする地域住民の地域社会からの孤立」は解決すべき「地域生活課題」の一つと位置付けられた。具体的な施策としては、市区町村が任意で「重層的支援体制整備事業」を実施できるようになった。ワンストップの相談窓口の設置や、複数の機関による連携支援を可能にする、制度的・予算的な裏付けができたことから、加山さんは「近年では類例のない改革」だと評価した。
加山さんによれば、従来の福祉はいわば「タテ割り」。支援や給付を受けるためには、当事者が役所で申請する必要があるが、そうした支援だけでは、複雑で複合的な課題に対応することが難しくなっているという。「孤立している人は制度を利用できることを知らない、または支援を受けようとしない場合が多い」
加山さんが把握したある親子の事例では、不安定な就労や障害の疑い、家賃未払い、いじめなどの複数の課題を抱えながら孤立していた。こうしたケースへの対応で求められるのが「アウトリーチ」と「伴走型支援」だと加山さんは言う。
前者は当事者からの依頼を待たずに、支援者側から発見・接近して、ニーズを把握する。後者は就労や障害などの課題解決にとどまらず、当事者とつながりを持ち続けることを目的とする・・・

新型コロナ対策の検証、市民の行動変容

2023年9月14日   岡本全勝

9月14日の日経新聞「日経・FT感染症会議特集」が新型コロナウイルス感染症対策を検証しています。その一つに、砂原庸介・神戸大学教授の「正しい情報伝達へ専門家育成」が載っています。

・・・新型コロナウイルスの感染症法上の分類は5月に季節性インフルエンザと同じ5類に移行したが、人の移動が活発化する中で今後も流行を繰り返す可能性がある。今後、住民に正しい情報を伝え、行動変容を促すためには、国だけでなく地方自治体にも科学的知見を備えた人材を中核としたチームを作っていく必要がある・・・
その主張の通りです。詳しくは原文をお読みください。

そして、次のような指摘もあります。
・・・マスクの着脱や休業要請など、感染対策に関する行政と住民の意思疎通には信頼が前提になる。これまでのコロナ下の意思疎通のあり方にはさまざまな課題が見られた。これは「市民の行動変容のための平時のアクション」を考える上で重要だ・・・

「市民の行動変容のための平時のアクション」は、良い視点ですね。連載「公共を創る」での論点の一つです。
これまでの日本の行政は、産業振興と公共サービス拡大を任務として、業界を振興したり自らそれらを提供してきました。ところが、孤独・孤立問題、少子化、働き方改革などの新しい社会の課題は、これまでのような業界振興とサービス提供では解決できません。国民の意識と行動が変わらないと、実現しないのです。
しかし、国民の意識と行動を変えることは、行政は得意な分野ではありません。いじめやネット上の妄言はなくならず、エスカレーターに列を作りながら片側は相変わらず空いたままです。世間の同調圧力に従いすぎる欠点、それから逸脱すると批判をする欠点を、どのように変えていけば良いのか。