カテゴリーアーカイブ:行政

政治の情報化

2024年10月14日   岡本全勝

10月3日の朝日新聞夕刊で、野口陽記者が「データ化に遅れ 政治資金、分析可能な公開を」を取り上げていました。

・・・自民党派閥の裏金作りは、遅くとも十数年前から続いてきた。発覚したのは、政治資金収支報告書の記載漏れを「しんぶん赤旗日曜版」が報じたからだ。
報告書は全ての政治団体が公開を義務づけられている。派閥のパーティー券を買った団体が購入額を報告書に記した一方、派閥側は販売収入を記載していないケースが多くあったのだ。
もっと使いやすい公開制度なら、不正はより早く見つかったのではないか。米国留学時に現地の制度を見た経験から、そう思う・・・
・・・日本でも国や地方がウェブで報告書を公開しているが、米国に比べると状況は大きく遅れている。
「格差」の要因は公表データの形式の違いだ。米国は、ウェブ上でテキストの検索や数字の集計などの処理ができる「機械可読」の形式だ。日本では、ほとんどの政治団体が機械可読なデータで報告書を作るが、提出する段階で紙にしたり、国などがウェブ公開の際にPDF画像にしたりする。そのため機械可読でなくなり、処理がしづらい・・・
・・・見直しは難しいことではない。報告書を機械可読なデータのまま1カ所に集め、最低限の加工だけ施して公開すればいい・・・

他方で、9月23日の読売新聞東京版は、「墨田区議会「改革度」なぜ1位? AI駆使 情報公開徹底」を伝えていました。
2022年に政務調査費を着服する事件が起き、それへの反省から、区民への説明や区政の透明化を進めたとのことです(読売新聞のウエッブで出てこないので、リンクを張ることができません)。

西川貴清著『現場から社会を動かす政策入門』

2024年10月7日   岡本全勝

西川貴清著『現場から社会を動かす政策入門――どのように政策はつくられるのか、どうすれば変わるのか』(2024年、英治出版)を紹介します。
「おわりに」に、本書の意図が書かれているので、引用します。確かに、政策立案について書かれた概説書は見当たりません。その作業と知識が、公務員に独占されてきたからでしょうか。公務員としての経験があり、現在も政策提言に携わっている筆者ならではの著作です。お勧めです。

・・・この本は現場の実感を政策に反映させて、より良い社会をつくろうとしている様々な民間団体の人たちや、政策をより良い方向に導こうとしているメディア関係者、普段の仕事からは見えない政策の動きを知りたいと考える新人公務員たちをメインの読者として書きました。

官僚として働いていた私は、政策立案の知見があまりにも政府外の人に知られていないことに課題意識を感じていました。役所側は政策づくりのプロセスを隠してもいないのですが、政策とは縁の遠い仕事をしている人たちが理解するにはあまりにも専門的過ぎるのです。政策の仕事への理解が乏しいことが、官僚や政治家へのネガティブな理解にもつながっているようにも感じました。
政策に関わりの薄い人でも政策づくりを理解できる本がないかと探してみましたが、学術的に分析されたものが多く「じゃあ実際にどうすればいいのか」という問いに答えるものはありませんでした・・・

・・・政策に関わり始めた人、政策に関心のある人向けに、たとえ話や架空の例も含めて、できるだけ分かりやすく書きました。「厳密には違う、不正確な内容がある」という専門家の方のご指摘は甘んじてお受けしますが、対象読者やこの本の目的も踏まえて、ご容赦いただけると幸いです。
民間団体も、メディアも、官僚も、政治家も、それぞれが勝手に動くのでは、力を発揮できません。お互いを理解しあい、力を合わせることでより良い未来をより早く手繰り寄せることができる、と信じています・・・

旧優生保護法、遅かった救済

2024年10月3日   岡本全勝

9月19日の日経新聞「強制不妊、逃した「救済」機会 司法判断で政治解決再び」から。

・・・強制的な不妊手術という国による重大な人権侵害に対する補償制度法案が18日、超党派の議連で固まった。旧優生保護法の成立から76年。国際社会からの批判や当事者の訴えという「救済」の機会があったにもかかわらず政府は動かず、司法に迫られる形で政治決着に至った。約2万5千人とされる被害者へ補償が行き渡るかが問われる。

旧優生保護法は1948年に議員立法で成立した。戦後の深刻な食糧不足から人口抑制を図りつつ、復興に携わる人材を確保する狙いがあったとされる。「不良な子孫の出生を防止する」ため、正当な理由なく不妊手術を認める規定が盛り込まれた。
同法が示す「優生思想」を批判する声は80年代ごろから国内で高まり、旧厚生省内でも「人道的に問題はあるのでは」と指摘が上がったという。しかし法改正の動きは鈍く、90年代に入っても不妊手術は続けられた。

見直しを迫ったのは国際社会だ。94年、カイロで開かれた国連の国際人口開発会議で本人の同意なく子宮を摘出された日本人の事例が紹介された。「日本にはなお優生保護法が存在し、障害をもつ女性の人権が侵害されている」との訴えは大きな反響を呼び、障害者の国際団体などから法改正の要望が殺到した。
国会は96年に旧法を母体保護法に改正し、手術の規定を削除した。しかし手術を受けた人への補償は見送った。同様に不妊手術を強制し、見直し後に正式な謝罪や補償をしたスウェーデンやドイツとは対照的な対応だった。
国際人権規約委員会が98年、必要な法的措置をとるよう勧告した際には「過去に遡って補償することは考えていない」との政府見解を示した。

国による補償がないまま法改正から20年超が経過した2018年1月、当事者が声を上げた。手術を受けた本人が初めて訴訟を提起。これを受けて同年3月に超党派の議員連盟などが発足し、補償に関して初めて具体的な検討が始まった。
19年に全会一致で成立した一時金支給法は手術を受けた本人にのみ一律320万円を支給することを柱とする。320万円は「見舞金」という位置づけで、賠償の趣旨は含まれていない。国の法的責任は明示せず、全面的な補償はまたも置き去りとされた。

背景には旧法により障害者への社会的差別や偏見が助長されるなかで、当事者が訴え出る心理的負担が重かった点がある。約2万5千人が手術を受けたとされる一方、一時金の支給を受けたのは24年7月末時点で1129人にとどまる。今なお家族や周囲にさえ明かせていない人も多いとされる。
「国会は適切に立法裁量権を行使して速やかに補償の措置を講ずることが強く期待される状況にあった」。最高裁は24年7月の判決で、立法府としての役割を果たさない国会や政府への批判を強くにじませた。
最高裁判決を受け、岸田文雄首相は7月、原告らに直接謝罪した。面会で「政府の主張自体が原告の気持ちを傷つけるもので、政府の姿勢が問題の解決を遅らせた」と言及した。旧法成立から76年が経過し、全面補償への道筋がようやく開けた・・・

小学生自殺の原因、家庭が4割

2024年9月29日   岡本全勝

9月11日の朝日新聞夕刊に「自殺の原因、小学生は「家庭」4割 「対策白書」24年版概要案」が載っていました。

・・・2024年版の「自殺対策白書」の概要案が判明した。22年に514人と過去最多を更新し、23年は513人で高止まりしている子どもの自殺について分析。09~21年のデータで原因や動機をみると、小学生は男女ともに、家族からの叱責や親子関係の不和といった家庭の問題が約4割を占めた。

昨年の自殺者数は2万1837人で、男性は2年連続増加し、女性は4年ぶりに減少した。年代別の10万人あたりの自殺者数は、20年以降多くの年代で上がっており、特に10代は上昇傾向にあるという。23年に自殺した子ども513人の内訳は、高校生347人、中学生153人、小学生13人だった。
白書案によると、子どもの自殺の原因や動機について09~21年のデータを分析したところ、中学生の男女ともに、学業不振や進路の悩み、人間関係など学校の問題が3~4割となった。男子高校生は学校の問題が約4割で、女子高校生はうつ病や精神疾患などの健康の問題の割合が高くなった。
自殺した子どもの自殺未遂の有無をみると、22年以降、男女ともに自殺の1年以内に自殺未遂となっていたケースが過半数を占めた・・・

舞台ファーム専務の独り言

2024年9月28日   岡本全勝

このホームページでしばしば紹介している、原発被災地で農業支援をしてくださっている「舞台ファーム」。ありがとうございます。
専務取締役の伊藤啓一さんが、ホームページで「ひとりごと」の欄を作られました。専務といっても、ネクタイを締めてソファーに座っている職業ではありません。「47歳で、この世界では若手」の農業従事者です。

「日本農業の歴史や、我々も含めた農家の考え方、農業関連の法律や農政、植物生理に関すること、海外の農業と日本農業の違い、そしてこれからの農業について」説明してくださるとのこと。
農業従事者数は、全産業の3%まで減っています。農業現場を知らない人も多いでしょう。ご関心ある方は、お読みください。
レタスのキモチ」(9月26日)も面白いですよ。