カテゴリーアーカイブ:行政

砂原教授、選挙制度改革論

2017年10月29日   岡本全勝

砂原庸介・神戸大学教授が、今回の衆議院選挙を振り返って、選挙制度改革の論点を整理しておられます。「「フェアなゲーム」を作るための選挙制度改革」(2017年10月23日)。
・・・折しも,前回の選挙制度改革から20年が経過し,そろそろその総括をすべき時期になっているのではないだろうか。1994年当時といえば,まだShugart and Careyの極めて影響力の強い本が出た直後くらいであって,「小選挙区制が二大政党化を促す」と言ったような非常に単純化された言説は受け入れやすかったように思う。また,1990年代に入るころまでは福祉国家もそれなりに持続的で,ということは中央政府への集権の度合いも高くなっていっており,国政の主要な選挙での小選挙区制(のみ)が他の選挙にも影響を与えることで二党制の形成を促すといったところもなかったわけではないだろう。しかしその後各国で制度の多様化が進んだことを受けて行われた選挙制度研究の発展を考えれば,衆議院総選挙だけを小選挙区制にしたことで二党制が生まれるというのは相当に無理がある議論だということはわかるし,20年してその反省を踏まえて「フェアなゲーム」のルールを考え直すべきじゃないか。
制度を見直すといっても,元の中選挙区制に戻すべきではない。前回選挙制度改革での中選挙区制に対する問題意識自体は正しかったと思う・・・
と述べたあと、論点として、(1)安易な混合制を避ける、(2)参議院の選挙制度を変える、(3)地方の選挙制度を変えることを挙げています。

また、「投票方式よりも些細なことに見える制度群の扱いも重要である」とも指摘しています。その要素として、首相の解散権、任期や選挙サイクル、選挙運動期間などを挙げています。
原文をお読みください。

法律を作るか解釈で切り抜けるか

2017年10月19日   岡本全勝

先日、霞が関で、現役の後輩と出会いました。「今、何しているの?」と聞くと、「○○の件で、法律を作ろうとしているんです」とのこと。内容は、私も関与したことがあるものです。既に実施されているのですが、今後に備えて、法律で枠組みをきちんとしておこうとのことです。
「良い話じゃない。ぜひやってよ。誰も反対しないから、難しくないだろう」と励ますと、「いえいえ、関係省で反対するところがあるんです。『運用でできているんだから、法律を作らなくても良いだろう』と言うんです」。????

「官僚とは、できないという理屈を考える優秀な人間である」という批判があります。その手で言うと、「官僚とは、しなくてもよいという理屈を考える優秀な人間である」と言いたいですね。一部ですが、このような官僚がいることは、困ったものです。
国民のために政策を作る。それが、官僚の任務のはずです。仕事に取り組む職員と、逃げる職員。きちんと職員の評価をしなければなりません。売り上げという評価基準がないので、事務の職場は、それが難しいのですが。

リベラルの任務

2017年10月18日   岡本全勝

朝日新聞10月13日「2017衆院選 リベラルとは」、坂野潤治・東大名誉教授の「「民主化」「中道」こそ、目指した道」から。
・・・「歴史を踏まえて言葉の意味が変わっていくのは当然だ」としながらも、坂野さんは、戦後リベラルが社会の民主化を進めるという方向性を忘れているのではないかと懸念する。戦後民主主義は、憲法9条に象徴される平和主義を守ったかもしれないが、格差是正や多様性の尊重など、民主主義の課題にきちんと向き合ってきたかという問いかけでもある。
「海外に目を向けると、雇用が不安定な若者ら従来の政治ではすくい取れなかった人たちを吸引する勢力が出てきている。米国の民主党のサンダース上院議員や英国の労働党のコービン党首らがそうだ。だが日本の政党や政治家の動きは鈍いと思う」
「日本の政党政治が9条堅持か否かといった戦後民主主義をめぐる対立に終始するなら、政治と社会との乖離(かいり)が進んでしまう。今回の選挙の結果、仮に安倍1強政治が終わったとしても、この対立が続くだけなら意味がない。リベラル勢力に課された問題だ」・・・

砂原教授の本と論文紹介

2017年10月5日   岡本全勝

砂原庸介教授の著書と論文が、先週末の新聞各紙の論壇時評と読書欄で紹介されていました。9月28日朝日新聞の論壇時評(小熊英二さん)、9月30日日経新聞の論壇時評(土居丈朗さん)、10月1日の読売新聞読書欄(奈良岡聰智さん)です。すごいですね。

著書『分裂と統合の日本政治ー統治機構改革と政党システムの変容』(2017年、千倉書房)は、このページ(2017年7月9日)でも紹介しました。国政と地方政治の関係、その不十分さを指摘したものです。日本の政治のあり方を考える際に、忘れられている視点だと思います。