カテゴリーアーカイブ:行政

砂原庸介教授、国政と地方政治の関係

2017年12月19日   岡本全勝

昨日、砂原庸介教授の大佛次郎賞受賞を紹介しましたが、今朝(12月19日)の日経新聞経済教室「二大政党制を考える」で、「首長党の出現で競争激化」を論じておられました。
・・・民主党が衰退する一方で、10年代に存在感を増したのは地方自治体の首長が結成に深く関わる「首長党」ともいうべき地方政党だ。特に注目されたのが、橋下徹氏が率いて大阪府議会で過半数の議席を獲得した大阪維新の会、河村たかし氏が名古屋市議会のリコール(解散請求)の過程でつくりだし市議選で躍進した減税日本、そして小池百合子氏の下で東京都議選で大勝した都民ファーストの会だ。
これらの地方政党は日本維新の会、日本未来の党、希望の党という国政政党に関与する形で衆院選に候補者を立てた。だが野党第1党だった民主党・民進党に代わり、自民党に対抗する二大政党の一つになったわけではない。むしろ野党勢力を分裂させて、衆院選での自民党・公明党の大勝を助けたとの批判もある・・・

・・・現状を考えると、以前の民主党のように都市部で野党が育つのは難しい。乱立する地方政党は都市一般というよりも特定の自治体の利益を重視する傾向があるし、自民党が以前と異なり都市を重視する政策を打ち出していることもある。他方で、実績のない野党が安定して自民党を支持してきた農村部から支持を広げるのは困難が大きいだろう。
野党が分裂の困難を抱え自民党が大勝しやすい理由は、小選挙区比例代表並立制という選挙制度の効果だけではない。地方の政治制度が、都市部でのみ政党間競争を激化させ、農村部で自民党の優位を維持するように作用していることが大きい。自民党に対抗する野党が政党名で選挙を戦えず、それが可能な地域では首長党の参入が脅威になる。
現在の地方議員は当選に必要な得票数が少なく、それゆえに地域の個別的利益を志向しがちだ。個人ではなく、政党を単位として当選のためにより多くの有権者の支持を必要とする制度が求められる。政党が首長とは異なる地方の集合的利益を掲げ、それを軸に政党の名前で選挙を戦えれば、政党の支持基盤の安定に資するだけでなく、地方政治の活性化をもたらすだろう・・・

砂原庸介教授、大佛次郎賞受賞

2017年12月18日   岡本全勝

砂原庸介・神戸大学教授が、第17回大佛(おさらぎ)次郎論壇賞、を受賞されました。『分裂と統合の日本政治――統治機構改革と政党システムの変容』(千倉書房)です。
・・・二大政党制を目指した政治改革が行われたはずなのに、なぜ実現しないのか。本書はその原因を「地方」の政治ログイン前の続きや選挙のありようの中に探り、今の制度の中には有力な野党が育ちにくい構造があることを示した。与野党が公平に競争できる政治を目指し、改善の提言も行っている・・・
続きは、12月18日の朝日新聞をお読みください。

北村亘先生の新著『地方自治論』

2017年12月16日   岡本全勝

北村亘・大阪大学教授が、『地方自治論 2つの自律性の狭間で』(2017年、有斐閣)を出版されました。お三方の共著です。
大学での地方自治論の入門的教科書です。「これまでに出版されてきた研究書や論文の成果をできるだけ取り入れて、わかりやすく書いたつもりです」と書かれています。
また、「地方自治の研究者の関心を意識すると、学生の視点から乖離する。そのバランスをどう取るかについて苦労した」との趣旨のことが書かれています。

そこなのですよね、大学の授業や教科書を書く際の苦労は。相手が地方自治を専門に学ぶ人や自治体職員なら難しくてもよい、いえどんどん詳しくしてもかまいません。
しかし、学部生は、彼らの関心の一つとして地方自治論の授業を取っています。また、地方公務員になる人も多くはありません。
すると、話を何に絞るか、最低限何を理解してもらうかを考えなければなりません。そして、興味を持ってもらうことも、必要です。
本書では、制度論だけでなく、地方政治や地方行政の運用や実態について、多くの記述がされています。学生には、取っつきやすいでしょう。

本書では、2つの自律性に着目しています。一つは、地域社会に対する地方政府の自律性です。住民自治の世界です。もう一つは、中央政府に対する地方政府の自律性です。団体自治の世界です。
また具体政策分野として、教育、子育て、高齢者福祉を取り上げています。わかりやすい、読みやすい教科書です。

官僚の信頼を低下させたもの

2017年12月7日   岡本全勝

朝日新聞連載「平成経済 グローバル化と危機」、12月3日は「大蔵接待「料亭は飽きた」」でした。
内容は、原文を読んでいただくとして。1990年代に、官僚への信頼が急速に低下しました。
その要因の一つは機能であり、もう一つは清潔さでしょう。
機能については、明治以来、先進国の先端行政を輸入し、効率的に日本に広めることに、官僚機構は良く役割を果たしました。
しかし、先進国に追いついたことで、この手法は終わりました。官僚主導、行政指導、護送船団行政は、時代遅れになったときに、批判されるものとして使われた言葉です。
新しい国家目標、新しい手法を提示できなかったのです。変わらなければならないときに、変えることができなかったのです。
清潔さについては、かつては「官僚は安い給料で夜遅くまで、国家のために働く」という評価を受けていました。その信頼が、記事にあるような一部の官僚の非常識な行動で、崩れてしまったのです。

新しい時代での役割を考え、国民の信頼を取り戻すこと。これが、官僚に期待されています。

行政手続き、電子化

2017年11月27日   岡本全勝

11月27日の日経新聞オピニオン欄で、滝田 洋一・編集委員が「行政こそ生産性革命を 手続き簡素に 経済後押し」を書いておられます。
詳しくは本文を読んでいただくとして、載っている表がわかりやすいです。
会社設立手続きについて、外国と日本を比べておられます。シンガポールでは原則オンラインで15分、韓国もオンラインで最長5日です。日本はほぼ紙の書類で1~2週間かかるそうです。また、日本の電子申請は、関係省庁がまたがります。