カテゴリーアーカイブ:行政

統計調査問題

2019年1月29日   岡本全勝

厚生労働省の毎月勤労統計調査が定めたとおりの調査をしていなかったことが、大きな問題になっています。
1月27日の日経新聞「統計不信 識者に聞く」、八代尚宏・昭和女子大特命教授の「合理化の発想なく放置」から。

・・・現行ルールでは、毎勤統計は500人以上の全事業所を調査しなければならないと定めている。法律違反は問題だが、なぜ全件調査をしなければならないのか。実態をみてルールを変えるべきだった。公務員は定員が減らされ、一方でやるべきことは増えている。過去のやり方が通用しなければ、正しく新しいやり方を考えるのが行政改革だ・・・

・・・専門職のため、組織の風通しが悪くなった面もあると思う。ミスがあるという前提で、あったらどう対応するかという雰囲気をつくらないと、ミスを隠蔽する組織になってしまう・・・

・・・大事なのは透明性だ。一部の統計を民間に任せてもよいのではないか。すべての統計を国がやる必要は必ずしもない。民間が主に手掛け、その過程でチェック機能を働かせる仕組みをつくればよいだろう。公務員は公務員にしかできないことに専念して、民間でもできることは民間に任せていくことが基本だ・・・
・・・専門家を民間から招いて人事交流を活発にするのも手だろう。統計の実務はプロが来ればすぐに改革ができる。米国では公務員は給与が低くて敬遠されがちだが、政府で働くのはキャリア形成になると数年は働く人は多い。日本でもこういう形をつくれればよい・・・

ニート支援のサポートステーション

2019年1月28日   岡本全勝

1月26日の朝日新聞経済面に「屋根の上、人生変わった「ニート採用」仲間と自立確信」が載っていました。ニート、引きこもりの人に対して自立を支援する「地域若者サポートステーション」(略称サポステ)という事業・組織があります。厚生労働省の政策です。

記事では、大学卒業後引きこもりだった若者が、サポステで出会った建築業者に就職します。建築業者は、人手不足で、外国人技能実習生を採用しています。この会社は、引きこもりの若者を採用できないかと、検討したのです。社内では「面倒見切れない」との反発もありましたが、見習いとして雇ってみて、正社員にしました。若者たちも、社会に出るきっかけを求めていたのです。

サポステは、まだ世間では十分に知られている事業・窓口ではありません。このような会社が増え、また世間で認知されることを期待します。マスコミが報道してくれることも。

信頼できない人たち。国会議員、マスコミ、国家公務員。

2019年1月24日   岡本全勝

1月21日の日経新聞に、世論調査結果「浮かぶ日本人の姿」が載っていました。電話調査でなく郵送なので、じっくりと考えて回答されていると考えられます。
もっとも、面倒だと考え、回答しない人たちの傾向はわかりません。

そこに、8つの機関・団体・公職を挙げて、信頼度を聞いた問があります。
最も高かったのが自衛隊で60%です。次いで裁判所47%、警察43%、検察39%、教師32%、国家公務員、マスコミ、国会議員の順です。
信頼できないも、この反対で、国会議員56%、マスコミ42%、国家公務員31%です。これら3つが、「信頼できない」が「信頼できる」を上回っています。

困ったことです。私の所属する「国家公務員」は、かつては国民から高い信頼を得ていました。この数十年、そして近年の不祥事で、急速に信頼失いました。
これは、国家公務員にとっても、国民にとっても不幸なことです。どのようにしたら信頼を回復できるか。
この項続く

理想主義の教え、その欠点

2019年1月19日   岡本全勝

理想主義と現実主義と現実的理想主義」の続きにもなります。

理想主義が厳しくなると、厳格主義になります。道徳や規則の厳守を主張します。聖人君子を目指す、あるいは目指すことを強要します。武士の教育、遡れば中国古典の士大夫の道徳です。我が身を律し、勉学に励みます。
明治維新以来、日本の教育の主流は、厳格主義であり理想主義でした。立派な大人になることです。戦前は男子なら立派な兵隊さん、博士や大臣を目指します。女子は、良妻賢母になることです。「修身」の授業です。
そこには、本人が自らを律するものと、教師や親が生徒や子に厳しく指導する場合とがあります。

理想主義は望ましいのですが、現実はそう簡単ではありません。すると、タテマエの世界では理想主義を掲げつつ、実際の生活では現実主義になります。問題は、理想主義と現実とのズレにうまく適合できない場合です。
個人にあっては、高い理想とそれに追いつかない自分との差を見て、自分を責めます。そして、つらくなります。

社会にあっては、理想主義を掲げるので、そこから落ちこぼれた人が視野に入りません。落ちこぼれはあってはならないので、その人たちを救う仕組みになっていません。
うまくいかない場合にどうすればよいかの教育と、「再チャレンジ」の仕組みが少ないのです。例えば、学校になじめない場合、学校に行きたくなくなった場合、あるいは事故や犯罪を犯した場合です。「そうなってはいけない」という教育とともに、そうなった場合の対応策を教える必要があるのです。
参考「失敗した場合を教える教育、スウェーデンの中学教科書

行政の役割、育成と規制

2019年1月17日   岡本全勝

1月8日の読売新聞が「保育改善指導公表1割」を大きく伝えていました(古くなってすみません)。
記事によると、保育施設への検査権限を持つ121自治体(都道府県、政令市、中核市)のうち、改善を指導した施設名と指導内容を公表している自治体は11団体で、1割に満たないことが、読売新聞の調査で分かったそうです。

保育施設での子供の事故が相次いでいます。そこで、市役所が調査に入り改善指導をします。問題は、ここからです。その指導内容を市役所が公表していないのです。
理由は、人手不足で余裕がない、保育施設の運営を妨げる、保護者の不安をあおるなどです。
しかし、改善指導をしているなら、それだけの事実と理由があるはずです。
子供を預けている保護者からすると、そのような情報は開示してもらいたいです。保育施設は、指導に対しどのような改善を行ったかを答えるべきでしょう。

業界を相手にした行政では、これまではその育成が任務でした。ところが、利用者の立場に立つと、育成とともに規制もしてもらわなければなりません。一定基準を満たすように、規制することです。
教育において、提供者側の学校や教師、学校法人を相手にするのか、利用者である生徒や保護者を相手にするのかで、視点が変わってきます。

提供者育成は、相手や業界団体があると比較的簡単です。補助金を出す、法令や指導を行うことです。ふだんからのつながりもできます。
それに対し、利用者は多数ですから、相手にするには違った行政手法が必要となります。