カテゴリーアーカイブ:行政

アメリカ、緊急事態宣言

2019年4月26日   岡本全勝

東京財団政策研究所、梅川 健・首都大学東京法学部教授の「緊急事態におけるアメリカ大統領権限:トランプ大統領による壁建設はなぜ可能なのか」が、勉強になりました。
・・・2019年2月15日、ドナルド・トランプ大統領は国家緊急事態を宣言した 。これで、現在のアメリカで有効な緊急事態宣言の数は32個になった。複数の緊急事態宣言が併存するという状況は、一見して奇妙である。
国家が作動するモードには、平時と戦時だけでなく、そのどちらでもないが国益が侵害され一刻を争う緊急事態がある。緊急事態宣言がそのモードを切り替えるスイッチであるとすれば、スイッチを入れるのは一度で十分なはずだ。
なぜ、アメリカでは複数の緊急事態宣言が併存するのか。大統領は緊急事態に何ができるのか。緊急事態における大統領の決定はどのように抑制されうるのか・・・

平時と戦時、そしてその間にある緊急事態。それにどのように対処するか。
大統領と議会という二元代表制。
日本とは異なる条件の下で、試行錯誤しながら作り上げてきた仕組みがわかります。

若手官僚の早期退職、3

2019年4月23日   岡本全勝

若手官僚の早期退職」の続きです。
笹川陽平・日本財団会長のブログに、次のような話が載っています。

・・・戦後70数年経ち、その間につくられた社会システムが、時間と共に十分に機能せず様々な社会課題が惹起してきており、大きく申せば、これらを解決していくことが私たちに与えられた使命であろうと考えています。
これらの社会課題は、今や国や行政だけでは解決できません。また市民社会、NPOやNGOが加わっても十分でない中で、日本財団は、国や行政、そしてNPOとの間に立った問題解決へのプラットフォームを担おうと、今日まで来たわけです。既に政府や地方自治体からも、様々な社会課題を解決するために、日本財団の知見と経験を活用させてほしいという要望が多く出てきていますし、NPOや市民社会からの日本財団に対する期待も深まっています。

私は、日本財団は世界でも大変ユニークな組織であると思っております。まず第一番目には、これだけ若い人たちが活躍をしているノンプロフィットの組織というのは世界中にありません。ましてや、我々がやっている仕事の内容は、ハンセン病の制圧や海洋の地球的問題など、国内外の多種多様な問題です。通常そのような公益活動をする組織というのは、キャリアを積んだ中年以上の人たちが集まり、分野についても、医学、公衆衛生、あるいは貧困対策など、限られた領域の中で仕事をしているところが多いのですが、日本財団は、たったこれだけの人数であらゆる問題にチャレンジしていることも、世界的に見て珍しいことではないかと思っています・・・

・・・今や、政府も、外務省や厚生労働省、環境省、その他諸々の省庁が、日本財団の活動に注目し、そして協力の要請をしてくるようになってきました。そのような中、私は「日本財団という方法」を皆さん方に提示しております。

若い人の中には専門的な研究者になりたいという方もいらっしゃいます。日本財団を辞めて研究者や大学教授になられた方も数多くいます。それは大いに結構です。しかし、日本財団での仕事は幅広い分野の専門家のネットワークを持ち、問題について議論し、ある一定の方向性が出たら、即、日本財団がそれを実施することです。そして小さな成功例をつくり、それを社会に普遍的な方法として広げるやり方を私は「日本財団という方法」という言葉で表現しています。いわば、皆様方はコーディネーターとしての専門家。そのためにはより広く、多くの人と出会っていただきたいのです。

そして、何よりも私たちは現場主義です。冷暖房の効いた東京の一等地のオフィスの中で仕事が完結すると思ったら大変な間違いです。勿論、バックオフィスをやるディフェンスの皆様方はここで仕事をしていただきますが、オフェンスをやる皆様はできるだけ現場に行って、現場の人の話を聞いていただきたい。人を見抜く、この人ならできるという目の力を養うのも大切なことです。皆さん方には「現場には問題点と解答がある」ということをよく理解をしていただきたいのです・・・

社会の問題を解決するのは、行政(公務員)だけではありません。NPOも、「強力なライバル」になっています。専門家が、現場を知り、迅速に取り組む点において、公務員は負ける恐れがあります。

若手官僚の早期退職、2

2019年4月22日   岡本全勝

若手官僚の早期退職」の続きです。「この春、霞が関やめました」に、次のような話が載っています。
・・・一方、大久保さんとは違う理由で辞めた人もいました。
教育関係のベンチャー企業に勤めている谷詩織さん(仮名・38)。2年前まで総務省の官僚でした。辞めた理由を聞くと、谷さんは「外の方が社会貢献できると思ったから!」と明るく即答しました。
情報分野で社会に貢献したいと思っていたという谷さん。ところが、担当する部署は一貫性なく関係ないところばかり。文書審査の担当になった時は、省内のあらゆる文書を、細かいルールに基づき審査する日々で、どうしてもやりがいを見いだせませんでした。
しかも、毎年のように担当が変わり、専門性を高めることも難しかったといいます。
「人材育成を人事は考えてくれていると思っていたけど、そうでもなかった。人手不足の部署や、年次的にどのポストが妥当かを当てはめているように感じた。自分のキャリアアップが見通せなくて」
関心があった情報系の部署に異動できたのは10年近くたってから。そこで、勉強に励み、新たに資格もとるなど刺激的な日々を送るようになると、次の異動でせっかく蓄えた知識が生かせなくなるのが惜しくなったといいます。
「だったら霞が関にこだわらなくても…」・・・

ここに、霞ヶ関の大きな問題が見えています。若手職員にとって(長時間労働をしているのに)、
・やりがいのある仕事をさせてもらっていない、
・専門技能が身につかない
と感じることです。
ここでは、専門技能が身につかないことを取り上げましょう。
多くの役所で、上級職職員は1~2年で異動します。これでは、特定分野の専門知識は身につかないでしょう。
「総合職」「幹部候補生」として、さまざまな仕事を経験させるというのが、これまでの「方針」でした。しかし、官僚には、その分野での専門知識が求められます。「すべての分野がわかる」は不可能であり、それは専門分野を持っていないということです。
もちろん、狭い専門分野に閉じこもらず、広い視野から考える能力は必要です。
かつては、社会のためでなく、自らの組織の利益を優先することから「局あって省なし」「課あって、局なし」と批判されたこともあります。しかし、専門知識があることと、視野が狭いこととは別のことです。

国家公務員にも、人事評価において「期首の目標申告」「期末の達成度評価」が義務づけられています。政策立案と執行において、1年や2年でこの評価は無理でしょう。
私は最低でも2年、できれば3年、そのポストにとどまるべきだと考えています。そして、さまざまな分野を経験するとしても、特定分野のプロとして育てるべきであり、本人もそれを目指すべきです。
そうでないと、対象分野の企業人、研究者、従事者と、対等の議論ができません。その前に、専門性を高めている国会議員に太刀打ちできません。議員の勉強会や国会審議で、「3年前の同じようなあの件で・・・」と指摘されたときに、答えられないようでは困るのです。
企業にしろ研究所にしろ、職員や幹部が1~2年で異動を繰り返す組織は、珍しいでしょう。それでは、成果が出ませんよね。
「省の中の移動だから、専門性がある」と主張する人もいるでしょうが、一つの省の中でも、かなり専門性の違う分野が同居しているのです。

最近、官僚が政策を論じないことを指摘したことがあります。局長や課長が、自らの所管行政について政策を論じること、それを世間に問うことが少ないのです。これは短期間で異動することと、専門性が薄くなっていることの表れでもあると、私は考えています。「毎日新聞「論点 国家公務員の不祥事」2
この項続く

若手官僚の早期退職

2019年4月21日   岡本全勝

度々、このページで紹介している、NHKウエッブニュースの「霞が関のリアル」。
4月19日は、「この春、霞が関やめました」です。詳しくは本文を読んでいただくとして、若手職員の早期退職の事例とともに、NHKが調べた数字も載っています。

・・・その結果、昨年度、各省庁で辞めた30代以下の官僚(事務職)は、
▼総務省が14人(男8、女6)
▼厚生労働省が6人(男2、女4)
▼文部科学省が6人(男4、女2)
▼防衛省が2人(男1、女1)
▼国土交通省が8人(男3、女5)
環境省と農林水産省は公表していないとして回答はありませんでした。
(未調査は財務省、経済産業省、内閣府、法務省、外務省)
省庁の規模にもよりますが、毎年、総合職の事務職で入省する職員は20人から30人前後・・・
この項続く

自治体と企業との連携、「自治体通信」

2019年4月20日   岡本全勝

自治体通信』という専門誌を紹介します。
ホームページには、「自治体通信は経営感覚をもって課題解決に取り組む自治体とそれをサポートする民間企業を紹介する情報誌です。自治体関係者の方に無料配布しております」とあります。全国の自治体に、28,000部が無料で配られているとのことです。
詳しくは、そのホームページをご覧ください

業務の改善から地域の課題解決まで、企業が自治体と一緒に取り組んでいる事例を紹介しています。それら企業の「掲載料(広告費)」で、費用が賄われているのでしょう。各記事の下に、その企業の紹介が載っています。なかなか良い仕組みです。
このような媒体で、先進事例やうまくいった事例を調べることができると、便利ですよね。もちろん、企業の紹介を兼ねているという限界はあるのでしょうが。

私も、2月6日に登壇した自治体向け働き方改革セミナー(三井住友海上火災保険)が、第17号(2019年3月)に載ったので、教えてもらいました。「抜粋」で読むことができます。無料の雑誌なので、できることですね。

これまでの行政と企業との連携は、事業の発注であり、事務の委託でした。行政が決めた業務内容を、企業に引き受けてもらうのです。
しかし、最近の動きは、どのような業務を担ってもらうのか。そこから企業と一緒に考える点が、これまでの民間委託とは異なっています。大震災の際も、様々な協力や協働をしてもらいました。
行政と企業との新しい関係が、進み始めています。このホームページでも、「官民協働」という分類を作りました。