カテゴリーアーカイブ:行政

砂原教授、政策会議の分析

2020年4月17日   岡本全勝

季刊『行政管理研究』2020年3月号に、砂原庸介・神戸大学教授他による「政策会議は統合をもたらすか―事務局編制に注目した分析」が載りました。ここで取り上げられる政策会議は、首相を長として閣僚や有識者が参加して議論する会議です。

これまでも、中曽根政権での第二次臨時行政調査会、橋本政権での行政改革会議といった審議会や私的懇談会がありました。小泉政権では、経済財政諮問会議が有名です。
安倍政権になってから、首相を長とする、特定課題の会議が、たくさん作られています。「内閣に置かれた会議一覧」。その事務局が内閣官房に置かれます。「内閣官房組織図

2001年省庁改革以降の政策会議の増加や内閣官房・内閣府との関係、政策の統合からの観点などが、よく整理されています。
小泉政権での経済財政諮問会議と、安倍政権での各種政策会議とは、全く機能が異なっています。
小泉首相は、この会議を使って、与党や各省の既得権に切り込もうとしました。反対者を押さえ込む手段として使いました。安倍首相の場合は、そのような与党や各省との対立は見られません。
また、経済財政諮問会議は、それまでの審議会が個別分野ごとに議論していたものを、一つのテーブルに載せることで、総合調整をしようとしました。社会保障と税財源との議論が一緒に行われたのです。一緒に行えたのです。それに対し安倍内閣の政策会議は、個別課題ごとに設置され、政策の統合機能はありません。

かつて、審議会は「官僚の隠れ蓑」と批判され、省庁改革の際に大幅に整理統合するとともに、役割を制限しました。私が担当参事官でした。拙稿「中央省庁改革における審議会の整理」月刊『自治研究』(良書普及会)2001年2月号、7月号。
審議会は、「官僚に決定権はない、しかし政治家が決めてくれない。そこで審議会という形を取って議論を整理し、その結果を政策とする」という、官僚主導の時代の手法でした。政治主導になると、首相や大臣の下で、官僚機構を使うのか、有識者も入れて議論するのか、どちらかによって意見の集約をするのでしょう。このほかに、与党で議論を集約する方法もあります。

北村亘先生「2019年官僚意識調査基礎集計」3

2020年4月12日   岡本全勝

北村亘先生「2019年官僚意識調査基礎集計」2の続きです。「はい」「いいえ」の順に、割合(%)を並べます。

12.幹部には組織の将来像に関する明確なヴィジョンがある 36、64
前前回紹介したように、業務の増加や複雑化に対し、対応できていないことから、否定的な回答が多くなっているのでしょうか。

次に、職場の働きやすさです。かなりよくなっているようです。
13.直属の上司は、気持ちよく仕事をできるように配慮してくれる 82、18
14.直属の上司は、仕事以外のことについても十分に気配りをしてくれる 54、45
15.新しい業務が付加されたときや既存の業務を改善するときに同僚たちが協力してくれる 71、29
28.育児休暇などをとりやすい環境になっている 80、20
45.私は「ワーク・ライフ・バランス」をとることができている 78、32

処遇については、意見が分かれています。
19.給料は、自分の業績や成果を適切に反映している 50、50
20.官民含めて他の同様の組織と比較して、自分の給料は適切である 42、58
25.人事評価をもとにした昇進管理が適切に行われている 47、53
26.昇進の遅れが仕事のやる気を落としている 32、68

心の回復力(レジリエンス)学習

2020年4月9日   岡本全勝

4月7日の日経新聞夕刊に「強い心 カギは回復力 レジリエンス学習、学校も導入 苦難の乗り越え方培う」が載っていました。
・・・精神的に苦しい場面からどう立ち直るか――。企業の研修などで導入が進む「レジリエンス(回復力)学習」を取り入れる学校が増えてきた。悩みや失敗をポジティブに捉える方法を話し合うなどする。子どもが話しやすい環境を整えるなど教員による細やかな配慮も必要だが、専門家は「多感な思春期こそ、つらさを乗り越える方法を学んでほしい」と話している・・・

よいことですね。これまでの教育は、立派な大人になることを教えていました。そこでは、落ちこぼれは弱い人間で、そうなってはいけないと教えていました。
しかし、みんながみんな、立派な大人になるわけでありません。みんなが、強いわけでもありません。強い大人も、挫折を経験しながら、強くなったのです。

これからの教育は、優秀な人を育てるとともに、そうなれない人、うまく行かない子ども、落ちこぼれるを支える教育が必要だと思います。そして、優秀な子どもは、放っておいても勉強します。支援しなければならないのは、後者です。
しかし、日本の教育は、まだその転換ができていないようです。

心のレジリエンスについては、拙著『明るい公務員講座 管理職のオキテ』P116で、「精神の体力」として取り上げました。

関東経産局、伴走型支援

2020年4月9日   岡本全勝

月刊誌『時評』4月号に、⻆野然生・関東経済産業局長のインタビュー「伴走型支援がもたらす地域経済の未来」が載っています。2ページだけ、ためし読みできます。

この試みは、日経新聞に取り上げられ、このホームページでも紹介しました。「経産省、伴走型支援」。
また、その原型である福島相双復興推進機構(官民合同チーム)については、何度か取り上げています。「マクロの産業政策とミクロの事業者支援の違い」。連載「公共を創る」第19回で、この手法を取り上げました

中小企業支援として、企業が役所に補助金などの申請に来るのではなく、役所の方から出かけていって、一緒になって問題点を考え、解決策を支援します。画期的なものだと思います。
福島でこれを立ち上げ軌道に乗せた、⻆野局長が被災地以外で展開をしてています。役所で待っているのではなく、困っている人のところに出かけていく手法は、他の分野の行政でも応用できると思います。

北村亘先生「2019年官僚意識調査基礎集計」2

2020年4月7日   岡本全勝

北村亘先生「2019年官僚意識調査基礎集計」の続きです。いくつか興味深い問と回答を、紹介します。
回答のうち「強くそう思う」と「そう思う」を「はい」として、「全くそう思わない」と「そう思わない」を「いいえ」として集計すると、各項目への回答は次のようになります。「はい」「いいえ」の順に、割合(%)を並べます。

社会に貢献したい意識は、高いです。
21.私にとって公益に貢献することは重要である 98、2
24.私は社会のために犠牲を払う覚悟がある 78、22

仕事に対する満足感は、あります。
42.概して、私は現在の職務に対して満足している 79、21
43.私は現在の職務に十分なやりがいを感じている 77、23
33.所属組織に対して個人的な一体感がある 58、42
40.いい機会があるのならば、できるだけ早くに退職したい 34、66

官僚の評価については、低下していると感じています。
37.官僚の威信は社会の中で低下している 93、7
38.官僚の威信低下は、官僚が社会に適応できていないことが原因である 53、47
39.官僚の威信低下は、マスメディアの激しい官僚批判が原因である 73、27

この項続く