カテゴリー別アーカイブ: 官僚論

行政-官僚論

日本の官僚は内弁慶

日経新聞経済教室「ゼミナール」が、「公務員制度を変える」を連載しています。23、24日は、アメリカとフランス・ドイツの紹介でした。もっとも、これは政治任用との関係についてであって、公務員制度全般についてではありません。政治任用との関係では、このHP(2005年9月19日の項)で紹介したように、人事院の報告書が詳しいです。

日本の官僚は内弁慶

21日の朝日新聞「水平線/地平線」に、吉岡桂子さんが「国際機関の長、ねらえる人材磨け」を書いておられました。国連など国際機関の職員に日本人が少ないことは、よく知られています。その事務局長にも、日本人は少ないのだそうです。それらのポストは、年齢では50代後半で、政治家や事務次官・局長を務めた人がほとんどだそうです。そして、そのポストを取るためには、会議に何度も顔を出して、人物を知ってもらう必要があるとのことです。そのようなポストを取るとしたら、若いときから送り込むことが必要なのでしょう。
ここで私が言いたいのは、日本の官僚は内弁慶だということです。国際機関、国際社会で活躍しようとする人は、少ないのです。それは、官僚の出世コースになっていないのでしょう。「官僚は黒子」といえばそれまでですが、こんなところでも「輸出」が少ないのは、発展途上国なのですかね。
国際機関だけでなく、国内でも「対外試合」をしない。これは日本の官僚の悪いところです。身内だけで議論して、ムラ社会で威張っている。もちろん、日本の中でしか議論をしていない私も、その一人です。他人を批判する資格はありません

官僚の専門技能2

17日の日経新聞「けいざい解説」で、大林尚編集委員が「天下り改革、二兎を追え」を書いておられました。中央省庁に勤める課長職以上の800人弱が国家公務員人材バンクに登録されていること、それによる第二の職場への紹介実績が6年間で1人だけであることを紹介しておられます。2005年4月時点で、3,400の公益法人に在職する元国家公務員は2万人を超えるそうです。2004年8月から1年間に退職し再就職した課長職以上の者1,200人のうち、4割弱が公益法人に再就職しています。早期退職慣行が生み出す問題です

官僚の専門技能

5日の朝日新聞「私の視点」は、山本清教授の「公務員制度、政治と離れ専門性向上を」でした。日本において、「政治家が政策決定をし、官僚が執行する」原則が守られず、政治(内閣・与党)と官僚が一体化した行政運営であること。そして、官僚の政治的交渉技能は高度化したのに、政策決定の基礎となる政策分析能力などの育成はなおざりになっていると、指摘しておられます。
そうなんです。日本の官僚は、政策課題の分析と対処方針の決定などについて、ある分野の政策の専門家になっていないのです。今、どれだけの官僚が、自分の技能を売ることができるでしょうか。現実は、ジェネラリストという美名ものと、1~2年で移動を繰り返し、専門性のない管理職になっています。それが証拠に、自らの経験と技能を元に転職する官僚って、ほとんどいません。スカウトされたという話も、あまり聞きません。国家公務員人材バンクがありますが、実績が出ていないようです。
もちろん、その多くが法学部出身であることも、その背景にあります。管理職のプロという人もいますが、それだけでは、売り物になりません。また、管理職といっても、部下の給料やボーナスを査定できない管理職って、管理職とは言えません。今の官僚が磨いているのは、上手な交渉能力かもしれません。
これが、政と官の関係から見た問題点、そしてそれが生んでいる問題点です。これに関しては、「新地方自治入門」p287~をご覧ください。また、公務員制度改革が長く議論されていますが、それらは、「早期退職・天下り」「一律昇進」「各省官僚制」といった問題に集約されます。人件費削減は、これら仕組みの問題とは別です。官僚論6をお読みください。どうも、公務員改革論議は、盛り上がる割には焦点が絞られず、議論が発散してしまいがちです。

新しい仕事4

経済財政諮問会議が動き出した上に、再チャレンジ室長の仕事もいただいたので、えらく忙しくなりました。記者さんの取材も増えたのですが、まだ十分な説明をできません。なにせ、週末に担当室の改装をしてもらい、机とパソコンが入ったのが、16日の月曜日です。今、職員と、課題と対策の分類・優先順位付け・問題点の洗い出しをしているところです。
こられる記者さんには、この事情を説明すると同時に、「良い知恵を貸してください」とお願いし、「お宅の会社は、フリーターを途中採用していますか」と質問をしています。論点が整理できたら、このHPをご覧の方にも、うまくいっている事例や、解決策のお知恵を借りたいと思います。ただし、焦点を絞らないと、漠然と聞いても効果がないと思います。再チャレンジといっても、フリーター対策と団塊世代の第二の人生活用とは、緊急度や対処方法は別ですよね。これらを整理できるまで、もう少しお待ちください。