カテゴリーアーカイブ:著作と講演

連載「公共を創る」第163回

2023年9月28日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第163回「政府の役割の再定義ー改革の仕組み方と官僚機構の転換方策」が、発行されました。
前回、官僚や公務員が新しい仕事に取り組まない理由を整理しました。今回は、どのようにしたら、行政組織において改革が進むのかを説明しました。役所の現場でも参考になると思います。

まず、業務の転換についてです。
・職員の誘導
・管理職の役割
・既存事業の廃止と再編成
・職員と幹部の共同作業
・一度作った事業はなくならない
・成熟期の困難

次に官僚機構の転換についてです。
・官僚の失敗=社会の課題が変化したこと
・行政改革の「遺産」=予算と人員の縛りがきつく、新しい課題に取り組めないこと
・行政の手法=社会と課題が変化したので手法も変える必要があること

連載「公共を創る」第162回

2023年9月22日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第162回「政府の役割の再定義ーなぜ官僚は新しい仕事に取り組まないのか」が、発行されました。

「官僚の失敗」と呼ばれる問題を議論しています。その本質は、新しい課題への対応が遅れていることと、それまでの政策の転換がうまくできていないことでした。今回は、官僚や公務員が新しい仕事に取り組まない理由を整理しました。それには次のようなものがあります。
・日本の官僚の変質=明治期の官僚や終戦直後から経済発展期の官僚は、進取の気風を持っていました。それがいつの間にか、現状維持派に変質しました。
・行政機構の持つ性質=行政機構に限らず、組織には考え方を固定化する仕組みが埋め込まれています。
・外部要因=企業と異なり、新しい事業に問題が生じると、報道機関や国民からきつい批判を受けます。
・余裕がない=予算や人員面で余裕がありません。
・組織の風土=以上のような行政機構の性質や外部要因が、役所の気風をつくります。
・職員の志向=事なかれ主義と前例踏襲主義は公務員批判の定番です。

サヘル諸国地方行政能力強化研修で講義

2023年9月19日   岡本全勝

今日は、国際協力機構(JICA)の「サヘル諸国・周辺国における地方行政能力強化による政府と住民間の信頼醸成」研修の講師に、JICA東京本部(幡ヶ谷)に行ってきました。
サヘルとは、サハラ砂漠南縁部に広がる半乾燥地域で主に西アフリカです。報道では、クーデタが頻発しています。今回の参加国は、 チャド、コートジボワール、マリ 、ブルキナファソ、モーリタニアの5カ国。その地方行政機関・地方政府を監督する中央政府機関職員9人が相手です。ニジェールはクーデターで、参加できなくなったそうです。

資料はフランス語に翻訳してもらい、通訳を通しての講義です。第二外国語はフランス語だったのですが、その後目にすることもなく、すっかり忘れています。
投影資料は写真が主で、骨子に基本的なことを書いて渡してありますから、通じたと思います。質疑応答は、熱心でした。質問は災害復旧に限らず、日本社会などについてと幅広でした。

連載「公共を創る」第161回

2023年9月8日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第161回「改革は「できるもの」─私の経験」が、発行されました。

前回まで、官僚の失敗事例を取り上げ、そこには新しい課題への対応が遅れていることと、それまでの政策の転換うまくできていないことを指摘しました。
私は若い頃から、おかしいと感じた仕事の仕方や内容を、おかしいと指摘するだけでなく、どうしたら変えることができるかを考えてきました。官僚の多くは、私と同じことを考えているでしょう。とはいえ、そう簡単に変えることはできません。

今回は、私がやってみた「改革」をいくつか紹介します。
それぞれに難しいことでしたが、関係者の理解や社会の動きが、背中を押してくれました。すべてうまくいったわけではありませんが、「やってみたら、できた」こともあるのです。

連載「公共を創る」第160回

2023年8月24日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第160回「政策の失敗、政策転換の遅れ」が、発行されました。

前回は、官僚の政策執行と事務処理における大きな失敗事例を取り上げて、説明しました。問題を起こした組織は、何らかの見直しが行われます。組織の廃止、改組などです。業界の振興と規制が分離されることもあります。
大きな失敗をした組織は取りつぶされることもあるのですが、それが責任の所在とその後の償いを曖昧にする危険もあります。私はこれを「お取りつぶしのパラドックス」と呼んでいます。「事故を起こした責任と償い」「責任を取る方法2

このほかに、長期的な評価で見えてくる「政策の失敗」もあります。農業振興に力を入れてきましたが、食糧自給率は低下し、農業従事者は激減しています。教育に力を入れてきましたが、子どもたちは学校が楽しくないと言い、大学はレジャーランドと揶揄されています。道路整備に巨額の予算を投入していますが、鉄道やバス路線が廃止され、車を持っていない人にとっては不便になっています。

これらに共通するのは、当初は高く評価されていたのに、その後に批判の対象となってしまったことです。政策の転換がうまくいっていないのです。目標設定が間違っていると、公務員がいくら一生懸命仕事をしても、国民からの評価は上がらず、職員の意欲も低下します。