カテゴリーアーカイブ:著作と講演

連載「公共を創る」第178回

2024年2月16日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第178回「政府の役割の再定義ー職員育成の見直しに向けて」が、発行されました。前回から、官僚の「やりがい」を議論しています。

霞が関全体の政策を見てみると、重要な課題が変わってきたことも挙げられます。例えば、発展途上期は、道路整備や義務教育に当たる教職員の確保は国家にとって大きな課題でした。しかしそれらの仕組みが確立し、定着しました。国が基準と計画をつくり、財源を確保しておけば、自治体に任せても問題なく運営されるでしょう。国民は官僚に対し、いつまでも補助金配分作業を続けることを期待していません。官僚には、そのような作業を手放し、能力を新しい企画に使ってほしいです。

次に雇用者側が取り組むべきは、育成の見直しです。かつては意識しなくても、適当な競争と職場での研鑽によって組織にとって必要な人材は得られると考えられ、実際にそれでほとんどの組織は対応できてきたのです。しかし、雇用者側にとっても働く側にとってもうまくいかなくなり、このままではだめだという意識が広がっています。

一言で言うと、これまでの技能の習得は「周囲の先輩を見て覚えよ」であり、育成手法は「ところてん式の人事異動」でした。それは典型的なオン・ザ・ジョブ型研修と画一的な登用方式ですが、実際には本人の適性や希望はあまり意識せず、能力開発は本人任せで、要領よく前例通りの仕事を覚えることを求めていただけでした。雇用側としての戦略や配慮より、人事担当の効率性を重視した人事行政だったと言わざるを得ません。
さらに、人材育成だけでなく、「人材確保」と「職場環境の整備」にも問題は拡大しています。

職場で求められる専門性について、政策分野別専門性とともに、機能別専門性についても指摘しました。すなわち前者を縦割りとすると、後者は横割りです。会計、発注、公金徴収、調査・統計、文書管理など、どの分野にも共通する定型的な業務です。これらの業務が民間委託できないのは、本来事務と一体をなしているからです。
これまでは、その席に長く座った職員が専門家となっていたようです。それではすまなくなりました。特に技能の習得が必要となっているものに、電算化、文書管理、検査監督業務などがあります。

ウクライナ代表団への講義2

2024年2月15日   岡本全勝

今日2月15日は、国際協力機構のウクライナ代表団への復興支援の講義に行ってきました。去年5月に行った「ウクライナ代表団への講義」の2回目になります。今回の参加者は、中央政府・復興庁の幹部や、自治体の幹部です。ニュースでよく耳にする市からも参加しておられます。近くに砲弾が落ちるそうです。

私の講義は、今回の行程の冒頭、導入部です。東日本大震災からの復興の全体像です。津波被災地ではどのように成し遂げたか、原発事故被災地ではどのように取り組んでいるかをお話ししました。来週は、現地を見てもらいます。
今回の講義内容や現地視察の日程案は、復興庁に助言してもらいました。各省も協力してくれます。

途中から質問の嵐になり、盛り上がりました。途中で切らないと、私の話が前に進まなくなりました。室内が暑くなり、参加者から「暖房を切ってください」との要望がありましたが、職員は「すでに送風に切り替え、さらに冷房に切り替えます」とのことでした。ウクライナはまだ寒いのに、日本は春を思わせる陽気であることも、理由でしょうが。

私の次に、宇野・復興庁統括官が話をするために来ていて、質問に対する回答を助けてくれました。
ウクライナ語の通訳を介してなので、どのように訳されているかも分からず。通訳を介しての講義は、質問が出ると安心できます。どこまで伝わっているか、また伝わっていないかが、わかるのです。今回も、持ち時間の半分は質疑でした。

ヤフーニュースでの発言「能登地震の復興は東日本に学べ」

2024年2月9日   岡本全勝

インターネットのヤフーニュースに、私の発言が載りました。「能登地震の復興は東日本に学べ」元復興庁・岡本全勝さんの提言 町を元に戻しても人は戻らず」(2月9日配信)。ヤフーニュースには、他紙からの転載記事のほか、このような独自の記事(オリジナル 特集)もあるようです。

先月中旬に、取材を受けました。私は能登の現場を見ていないため、あくまで報道で知り得た範囲での見解ですが、これから予想される復興の難しさについて、東日本大震災の経験を基にお話ししました。
東日本大震災では、それまでの復興哲学と同じように、元の街に復旧しようとしました。ところが、インフラや住宅を復旧しても、多くの集落で住民は戻らず、にぎわいも戻りませんでした。日本は人口減少に転じ、特にこの地域は以前から人口が減少し、高齢の方が多い地域だったのです。この条件は、能登半島も同じです。

街をどのように復旧するか。それを決めるのは地元の人たちです。多くの方は「元に戻したい」と思っておられるでしょうから、私の発言は厳しいものと受け取られるでしょうね。
どのようにしたら、住民の方は暮らしやすいか。
東日本大震災では、私たちは手探りで事業を進めましたが、今回は13年前に起き、そこから復興したという前例があるのです。住民の意見集約という過程と、どのように復旧するかという目標の二つにおいて、ぜひ東日本大震災からの復興を参考にしてください。

2月29日の朝日新聞「論壇時評」で、宇野重規先生に取り上げていただきました。「能登地震から考える 人口減少、持続可能な社会とは

連載「公共を創る」第177回

2024年2月8日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第177回「政府の役割の再定義ー官僚の「やりがい」を巡る考察」が、発行されました。

長時間労働を減らすためには、職員数も増やすべきだという主張の続きです。企業が社員と経費の削減を進めたと同じように、役所でも職員を減らし、一部は非正規職員に代えてきたことが、この30年間の経済の低迷を社会の不安を生み、それを長引かせたのでしょう。
そして削減だけでは企業は業績が伸びず、行革だけでは行政は社会の課題に対応できません。行政改革は必要ですが、私は行き過ぎたと考えています。私も、その旗を振った一員ですが。早く方向転換しなければなりません。

職場の問題として、長時間労働の次に、やりがいの問題を取り上げます。少々忙しくてもやっている仕事が国民の役に立っているなら、我慢できます。しかしその仕事がやりがいのないものだと、意欲はわきません。ここでは、国会待機、官邸指示の多用を取り上げました。

サントリーの地域で頑張る活動支援審査会

2024年2月7日   岡本全勝

今日2月7日は、サントリーの支援事業「シン・みらいチャレンジプログラム」審査会に、福島市に行ってきました。
サントリーが、東日本大震災被災3県で、地域の再興を目指す活動を支援しています。今回から始まる第2期は、単年度だけでなく、3か年継続事業も支援します。

今回も、選定に悩みました。応募案件は、それぞれ地域の課題を解決しようと、意欲ある人たちが考えたものです。多くの案件は、すでに取り組んでおられます。その方々の努力に頭が下がります。

3人の審査員の結果を持ち寄ると、3人が一致して採択した案件がある一方で、一人ずつバラバラのものもありました。審査員の意見が異なるのは、よいことですよね。それぞれの案件ごとに、推薦の意見と反対の意見を出し合って、採択案件を決めました。来月には、発表の手はずです。
サントリーみらいチャレンジプログラム2024