カテゴリーアーカイブ:著作と講演

北日本新聞に出ました。

2024年7月1日   岡本全勝

7月1日の北日本新聞に、林・氷見市長との対談が載りました。能登半島地震からの復興についてです。発災から半年が経ちます。

6月中旬に氷見に行って、液状化被害の市街地を見せてもらい、その後に対談に臨みました。
大きな被害を受けた地区もあるのですが、市全体ではありません。液状化対策をすれば、現地での再建ができます。また、半数の世帯が現地に残ると回答していることは、心強いです。
災害復興と聞くと、多くの人は土木工事の困難さを想像しますが、実はその前の意見集約が難しいのです。出ていく人、残りたい人、自力では再建できない人、考えがまとまらない人、様々です。その意見がまとまれば、工事は進みます。
林市長は土木が専門で、液状化も区画整理もよく通じておられます。巡り合わせでしょうね。

連載「公共を創る」第190回

2024年6月27日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第190回「政府の役割の再定義ー復興庁の「社風」と「これまでにない危機」への心構え」が、発行されました。

大規模災害では政府に対策本部がつくられるのですが、東日本大震災の復興に当たっては、政府に復興庁という特別な役所をつくりました。関東大震災での帝都復興院、戦災での戦災復興院の例がありますが、戦後の自然災害では初めてのことです。役所を一つつくる苦労と、職員が仕事をしやすく成果を出せる「社風」をつくることに意を用いたことを説明しました。私一人でできたものではありません。職員たちがそれを理解して、仕事を進めてくれたからできたのです。

第182回から、幹部官僚の役割と育成を議論しています。与えられた所管範囲を超えた広い視野で国民の幸福のための行政を考えることと、そのような幹部官僚を育成する方法についてです。その一つの材料として、私の体験を紹介しました。
私は自治省に入りましたが、その枠にとどまらず国家官僚としてさまざまな経験をさせてもらいました。1978年に自治省に採用され、2016年に復興庁事務次官を退任するまでに38年間、国家公務員と地方公務員として勤務しました。そのうち、自治省と再編後の総務省で約16年、自治体勤務が約11年、内閣、内閣府、復興庁が約11年です。
後半は、省庁改革本部、内閣府大臣官房審議官、内閣官房内閣審議官、総理秘書官、被災者生活支援本部、復興庁と、内閣の近くで仕事をすることが多く、その後の内閣官房参与・福島復興再生総局事務局長の4年余りを入れると、42年のうち15年とさらに長くなります。
振り返って、官僚生活の前半は「自治官僚」であり、後半は「内閣官僚」だったと自称しています

総務省で講演

2024年6月26日   岡本全勝

今日26日は、総務省に呼ばれて、地方へ赴任する若手職員に話をしてきました。
彼ら彼女たちとは、40歳以上年が離れています。彼らからすると、私が新採当時に感じた「幹部は年を取っているなあ」どころか、もっと年上の退職者です。主催者と相談して、内容は「岡本が最初に赴任した先での経験、それが後にどのように役に立ったか」「若手職員に臨むこと」にしました。これなら、自慢話ばかりになりませんよね。

私も46年前は、彼らと同じ状態でした。当時聞いた先輩談は、社会人になった私にとって、目新しいことばかりでした。「そんなことがあるんだ」と。
そして、最初に赴任した徳島県庁で、仕事の仕方や人間関係の重要性を学びました。私の職業人生の出発点であり、基礎を作ってもらった2年間でした。その頃の「大きな希望と少しの不安」を思い出しながら、話をしました。

総務省でも早期退職が問題になっています。どのような心構えで仕事をすれば、楽しく過ごすことができて、そして技能が身につくかをお話ししました。
彼ら彼女らが、早く仕事を覚え、困難を乗り越えていく経験を積んでくれることを祈っています。参考書はもちろん『明るい公務員講座』です。

市町村アカデミーで講義

2024年6月25日   岡本全勝

今日6月25日は、市町村アカデミー「自治体の働き方改革」で、「働き方の変化と課題(体験談を基に)」を講義しました。

働き方改革は、自治体でも大きな課題となっていますが、さらに新しい状況になったようです。人手不足で官民で従業員の奪い合いが出てきました。途中退職、中途採用も増えて、「新卒一括採用、人事課による配属、年功序列、終身雇用」が崩れ始めました。
すると、職員を育成する前に、採用し、中途退職されないように、職場を改革する必要が出てきたのです。働きやすい職場、セクハラやパワハラのない職場も重要です。そして、やりがいです。

担当教授から与えられた私の役割は、昭和の古い働き方と現在の違い、改革はどの程度進んでいるかを話すことです。振り返ると、大きく変わった部分と、まだ十分でない部分があります。
連載「公共を創る」で述べているように、働き方改革は職場にとどまらず、日本社会の革命なのです。男性が私生活を省みず職場に尽くす慣行、夫は仕事に妻は家庭にという社会、女性は補助業務であり幹部は男性という職場、仕事の目標と成果が不明確で前年どおりの仕事を続けていることなどなど。

受講生の関心も高く、質疑も現場での悩みが中心でした。私が答えられる問と、たぶん誰もが悩んでいて簡単な回答がない問もあります。まさに今、役所と企業を問わずほとんどの職場で試行錯誤中なのです。
カリキュラムを見ていただくと、多様な講義、そして具体的で活用できる内容だと思います。来年度も開講すると思いますので、市町村の人事担当者の参加をお待ちしています。

連載「公共を創る」第189回

2024年6月20日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第189回「政府の役割の再定義ー原発事故への対応と復興庁の発足」が、発行されました。
前回から、東日本大震災での経験のうち、原発事故への対応の難しさについてお話ししています。天災では政府は被災者を支援する立場ですが、原発事故にあっては被災者に対し責任を果たす立場になりました。

事故の責任をどのように果たすのか。しばしば「責任を取ること」が求められますが、被災者にとっては「責任を果たすこと」が重要です。関係者が処分を受けるだけではすみません。
政府と官僚に対する国民の信頼を事故によって失いました。それを、どのようにして取り戻すのか。当時考えたことを整理して書いてみました。官僚がこのようなことを振り返ることは、最近は見ません。それも、問題なのでしょう。