カテゴリーアーカイブ:著作と講演

ベトナム政府戦略的幹部研修の講義

2025年7月1日   岡本全勝

今日7月1日は、政策研究大学院大学で、ベトナム政府戦略的幹部研修の講義をしてきました。今回の参加者は、副大臣級をはじめとする中央政府と地方政府の幹部の13人です。6月29日に来日し、30日から7月9日までの研修です。

私の講義は、リーダーシップと危機管理です。東日本大震災の経験を、スライドを使ってお話ししました。
地震や津波のない国の方には、地震の仕組みを説明する必要があり、千年に一度の津波は、写真を見てもらうのが一番わかりやすいです。皆さん、熱心に聞いてくださいました。
質疑も充実していました。「一番困ったことは何ですか」「どのようにして災害対策を強化してきたのですか」などなど。日本の危機管理については、『Public Administration in Japan』(2024年、Palgrave Macmillan)に載せた「第19章 Crisis Management」をベトナム語に翻訳して読んでくださいと、紹介しました。

ベトナム政府行政改革、地方行政単位の統合は、今日から実施されたとのことです。職を失った幹部の処遇など聞きたいこともあったのですが、時間がありませんでした。

関西大学経済学部で講義3

2025年6月28日   岡本全勝

6月2日の「関西大学経済学部で講義2」の続きです。出席した学生が提出した感想文が送られてきました。

私の言いたいことを、理解してくれたようです。大震災は、彼ら彼女らが小学校か幼稚園だったのですね。
津波の被害や政府の対応のほか、官共業三元論に興味を持ってもらえたようです。新聞を読むことの重要性も、理解してもらえました。
このような反応があると、やりがいがあります。ありがとうございます。

連載「公共を創る」第226回

2025年6月27日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第226回「政府の役割の再定義ー政治家と官僚の関係」が、発行されました。
第199回から、政治主導がうまくいっていないことを分析しています。その1は「政治家と官僚の役割分担がうまくいっていないこと」(第204~207回)、その2は「政治家が政治主導を使い切れていないこと」(第207回~前号)です。今回からその3として、「政治家と官僚の関係」がうまくいっているのかどうか、どうすればいいのかを考えてみます。目次も新しくしました。「目次9

ことさらに「政治家と官僚の関係」を取り上げるのは、二つの問題を見聞してきたからです。
一つは、大臣が官僚を使う際に、意思疎通がうまくできていないような例があることです。その結果、仕事が進まない、お互いに心理的負担が生じるといったことにつながっています。このような事象は、かつてもありました。
もう一つは、近年の気になる問題です。政治主導を目指した内閣において、特に官僚との関係に問題が生じたように見えることです。官僚を排除した民主党政権(2009~2012年)と、官邸主導を強力に進めた第2次安倍晋三政権以降(2012年~)での事案です。

会社にしろ役所にしろ、組織としての成果を挙げることと、社員と職員が気持ちよく働いて成果を出すことが重要です。このためには、上司と部下が十分な意思疎通をすることが必要であり、各幹部は常にそれを考えているはずです。ところが、国家を動かすために組織の力を最も振るわなければならないはずの内閣や各省において、それがうまくいっていないことがあるのです。首相や閣僚は選挙で選ばれた職業政治家です。試験を受けて採用され経験を積んできた職業公務員である官僚とは、違った経歴を持ちます。それが故に、二者の関係を良好に保つには、努力が必要なのです。

私は、「明るい公務員講座 管理職のオキテ」を出版し、部下を使って良い成果を出すコツを公開しました残念ながら、それに反したことがこういった組織でも行われてしまっているのではないかと心配です。
うまくいっていない事例として、民主党政権での官僚排除、現場を混乱させる首相指示、安倍首相の官僚不信などの実例を挙げました。

講義「復興とまちづくり」

2025年6月26日   岡本全勝

今日6月26日は、市町村アカデミーで「復興とまちづくり」を講義しました。これは「人口減少時代の都市計画」の一コマです。
ほかの先生とは少々変わっているのですが、東日本大震災の経験を元に話しました。人口減少下での本格的な町の復旧としては、初めてのことでした。公共インフラと住宅を復旧しただけでは、町のにぎわいは戻りませんでした。そして、元に戻すと無駄が生じました。
私の経験は大災害からの復興ですが、各地では緩慢な減少と消滅が起きています。その参考になると思います。

私はこの仕事に携わった当初、「白地に絵を描くので、自由に町をつくることができる」「関係者が腕を振るえる、めったにない機会だ」と思いました。かつて人口が増加した時代に、大都市周辺に「ニュータウン」をつくったことを思い浮かべたのです。しかし実際は、全く違いました。
1 制約条件が厳しいのです。平野は少なく、また町役場にも絵を描ける人材はいません。
2 かつてのニュータウンは「ベッドタウン」で、住まいをつくったのです。町をつくったのではありません。勤め先も買い物も、鉄道に乗って出かけていけば良かったのです。
3 小さな集落を個別に復旧することは、くらし勝手も良くなく(商店、学校、病院がない)、近い将来に消滅することが見込まれます。それなら、集約したほうが、良かったと反省しています。
朝日新聞オピニオン欄「人口減時代の防災・復興」に載りました」「ヤフーニュースでの発言「能登地震の復興は東日本に学べ」」「復興事業の教訓、集落の集約」「復興事業の教訓、人口の減少

コメントライナー寄稿第23回

2025年6月24日   岡本全勝

時事通信社「コメントライナー」への寄稿、第23回「日本の政治はなぜつまらないのか」が6月19日に配信され、24日にはiJAMPにも転載されました。

毎日、報道機関が政治情勢を伝えます。でも、内容は面白くないと思いませんか。政治家や報道機関は熱意を持って語りますが、多くの国民は関心を持たずにやり過ごしているようです。はっきり言って、日本の政治と政治報道はつまらないのです。

政治とは、意見の異なる人たちが対決と協議をして、結論を導く過程です。ところが日本では、自民党と官僚が「密室」で政策を決めてしまい、その過程が国民に見えません。国会では、質問は事前に通告され、官僚が用意した資料をもとに閣僚は回答します。しばしば「激しい論戦が…」と報じられますが、ほとんどの場合、結果は見えています。
民主主義は、国民という観客の興味を引きつけ支持を得ることが必要で、そのためには演技も必要になります。ところが、そのような場面が少ないのです。

政治家が、夢のような演説や公約をすることもありますが、たいてい実現手法も財源も示されず、願望の総花的な一覧表に近いものです。国民は、その非現実性を見抜いています。「改革」を主張しても、具体的に何を切り落とすのかを示しません。しかし、痛みのない改革はあり得ません。国民は訊きたいのです。「どこを切るのですか」「減税の財源はどこにあるのですか」「赤字国債で将来の国民にツケを回すのですか」と。報道機関も、質問してください。