カテゴリー別アーカイブ: 寄稿や記事

雑誌への寄稿や取り上げられた記事、講演録など

富山テレビ出演

富山テレビのニュース番組「BBT報道シンそう富山」の2月4日の放送「能登半島地震から1か月あまり」に少し出演しました。ビデオでは19分過ぎから40秒ほどです。
奥田一宏・解説者から依頼を受け、事前にオンラインで録画しました。もっと丁寧に説明したのですが、放送はほんの少しでした。

東京の報道では、石川県の市町村が主に取り上げられていますが、能登半島の東側付け根にある富山県氷見市も大きな被害を受けました。
これから復旧・復興が始まるので、注意点をお話ししました。氷見市も高齢化と人口減少が進んでいます。そのような地域で、どのように復興するのか。私は現地を見ていないのですが、東日本大震災での経験を元に説明しました。

東日本大震災の津波被災地で、たくさんの町や集落の復興を支援しました。その経験が残っています。能登半島地震の被災市町村や住民も、ぜひ東北の現地を視察してもらって、事業の進め方と完成後の姿を参考にしてもらいたいです。

地方の放送局が、このようなニュース番組を作るのは、よいことですね。

雑誌「ウェッジ」2月号に載りました。

雑誌「ウェッジ」2月号特集「霞が関の危機は日本の危機 官僚制再生に必要なこと」に、私の発言「明治型国家から成熟国家へ 求められる新たな行政手法」が載りました。4ページも取ってくださいました。1ページだけ、インターネットで読むことができます(試し読みの10ページ目)。

官僚という職業は、かつての高い評価から大きく低下しました。その時期に立ち会った官僚の一人として、反省も込めてその理由を説明し、対策も提示しました。今、連載「公共を創る」で議論している内容の要約になっています。編集部の方が、上手にまとめてくださいました。

ウェッジ」は、東海道新幹線のグリーン車で配られています。宣伝には、「東京―新大阪間の約2時間30分で読める Wedgeは東海道・山陽新幹線のグリーン車搭載誌でもあり、グリーン車を日々利用する政界・経財界のエグゼクティブリーダー、文化芸能・スポーツ関係者などのトレンドリーダー達が移動中の車内でお読みいただけるよう独自の編集を行っています」とあります。
私の主張が、社会の有識者の目に触れることは、ありがたいことです。

発言「能登半島地震、1週間」

共同通信から、私の発言「能登半島地震、1週間」が配信されました。加盟している地方紙に、順次載っています。見出しは「借り上げ住宅供給急げ「復興議論 集落ごと丁寧に」などとなっているようです。

大災害への備えと起きた際の対応は、阪神・淡路大震災、東日本大震災などを経験して、大きく進化しました。それらは、今回の災害でも生かされています。
それでも、想定外のことは起きます。今回は、集落の孤立です。そして、備蓄物資の不足が目立っています。このことは、予測されている南海トラフ地震への教訓になるでしょう。

災害が起きてからの対応は、時系列で次のようになります。
1 救助と避難所開設
2 避難者の生活支援
3 仮設住宅入居
4 住宅とまちの復興

時間の経過とともに課題は変化するのですが、それを承知の上で、私は東日本大震災の経験から、次のようなことを主張しました。
・仮設住宅建設は時間がかかるので、借り上げ仮設を活用すること。
・高齢者が多い集落では、残念なことですが、町を元に戻す形の復興は難しいでしょう。集落ごとに将来見通しを立てて、丁寧な議論が必要です。

コメントライナー寄稿第15回

時事通信社「コメントライナー」への寄稿、第15回「日本型職場の功と罪」が12月14日に配信され、19日のiJAMPにも転載されました。

驚異の経済発展を遂げた日本。その職場は当時、世界が注目するところでした。しかしいまや、日本の労働者の時間あたり生産性は、経済協力開発機構加盟38か国の27位です。労働の質の面でも、二流になりました。この原因として産業構造の転換の遅れが挙げられますが、私は、職場慣行もあると考えています。

かつては効率的だった大部屋主義が、今では短所になってしまったのです。日本では、仕事が係に割り当てられ、社員は前任者からの引継書を見ながら、同僚の支援で仕事を進めます。これに対し諸外国では、仕事は各人に割り当てられ、職務記述書と執務要領で仕事をします。
「係員全員で助け合って仕事をする」職場は効率的でしたが、前例通りに仕事をこなせばよい時代が終わり、新しい仕事に対応しなければならなくなると、目標を与えられないままでは、社員はどちらに進んだらよいかわかりません。
そして、一人に一台パソコンが入り、職場はいつの間にか個人で仕事をするようになりました。大部屋ではなくなったのです。すると、誰が何をしていて何に困っているかわかりません。各人も、係全体の仕事がどのように進んでいるかを知ることができません。上司が、部下に指示を出し、部下の悩み答えなければなりません。しかし、管理職はそのような訓練を受けていません。

困難に直面しているのが、管理職です。係で仕事をする職場では、管理職は「部下に任せた」ですみました。管理職養成も先輩を見て覚えるもので、社員の中から優秀な者を管理職に抜擢していたので、管理職を育成する仕組みがなかったのです。
日本の職場の生産性を上げるためには、管理職に管理職の仕事をさせることと、管理職を意識的に養成することが必要です。

コメントライナー寄稿第14回

時事通信社「コメントライナー」への寄稿、第14回「役所にも人工知能がやってくる」が10月12日に配信され、17日のiJAMPにも転載されました。時事総研のホームページにも掲載され、無料で見ることができます。

生成AI(人工知能)が発達して、機械が文章を作ってくれるようになったことが、世間を騒がせています。しかし、文章作成でも機械化は進みつつありますから、驚くことではありません。
文章の作成は、「着想」→「文章化」→「表記の確定」→「送付」→「発表」→「保管」に分解されます。「表記の確定」は手書きからワープロに変わりました。「送付」「発表」「保管」も電子媒体に変わり、便利になりました。「着想」もインターネットの検索で済ませることも多くなりました。
「文章化」については、コピペは公務員もやっています。市長の式辞をつくる職員は、前例を引っ張り出して、式典名や人名を入れ替えることで作成しています。
コピペでつくられた文章、式典で二番手以降で読むと困るのですよね。先に話した人とほとんど変わらないのです。他方で、祝辞や弔辞で心を打たれることがあります。その違いは、その人独自の内容を含んでいるかどうかです。
文章作成でも着想と「文章の肝」において、職員の独創性が試されます。機械に頼っていると、その能力は向上しません。

役所の業務全体では、行政改革や人員削減によって、機械化や外注が進みました。調査や企画を調査会社に委託(丸投げ)することも多くなり、工事の発注も施工だけでなく設計段階から企業に委託することが広がっています。企画や施工を委託していると、考える能力だけでなく、成果物を評価する能力もつきません。

仕事を手抜きの場と考えるか、能力を磨く場と考えるか―。職員が生き残れるかどうかは、この差でしょう。