カテゴリー別アーカイブ: 寄稿や記事

雑誌への寄稿や取り上げられた記事、講演録など

朝日新聞、論壇時評で取り上げられました

今朝2月29日の朝日新聞「論壇時評」、「能登地震から考える 人口減少、持続可能な社会とは」で、宇野重規・東大教授が、先日のヤフーニュースでの発言を取り上げてくださいした。ありがとうございます。

・・・復興庁の元事務次官である岡本全勝の「能登地震の復興は東日本に学べ」も考えさせられる(〈3〉)。東日本大震災からの復興に約10年にわたり取り組んだ岡本は、「地元から離れたくない」という住民の気持ちと、現実の生活環境の水準との間でいかに折り合いをつけるかがポイントだとする。その際、「市街地」「中心集落」「周辺集落」を区別し、それぞれの持続可能性を考慮した上で、ある程度の選択と集中も必要だという。街を復旧したものの住民が戻らなかったことがあった東日本の経験も踏まえ、住民の議論と合意によって復興計画を策定してほしいとする・・・

〈3〉小川匡則「『能登地震の復興は東日本に学べ』元復興庁・岡本全勝さんの提言 町を元に戻しても人は戻らず」(Yahoo!ニュース オリジナル 特集、2月9日)*

コメントライナー寄稿第16回

時事通信社「コメントライナー」への寄稿、第16回「工程表のない政治」が2月22日に配信され、27日のiJAMPにも転載されました。
今回は、昨年秋に、岸田文雄首相が打ち出した所得税減税を取り上げ、政治手法のあり方を議論しました。

首相が政策を打ち出す際には、「突然に」と「議論を経て」の二種類があります。前者は、国民が想定していない政策を打ち出すことで、首相の指導力を見せる演出効果があります。後者は、首相が課題と方向を提示しますが、議論を積み重ね、最後に首相が決断します。

民主主義は有権者の意見に基づく政治であり、その意見を集約する手続きを経る仕組みです。審議会や政党内、議会での議論を通じて、国民に争点を示していく過程が重要です。これによって、すべての国民が賛成しないまでも、国民の間に納得が生じます。難しい課題であるほど、国民の間には意見の相違があります。
首相は突然に指導力を見せることにではなく、国民に納得してもらうためにこそ、戦略を考える必要があります。中曽根行革では、「工程表」という言葉が使われました。

首相の役割は、政治課題を選び、解決していくことです。人を動かして、それを実現することが腕の見せ所です。政治力とは、人を動かすことです。
首相が打ち出す政策には、全体の目標と体系が必要です。各政策に工程表が必要なのと同様に、首相が目指す日本に向けての工程表が必要です。

東奥日報に載りました

2月18日の東奥日報(青森県の地方紙)「大島理森の道8 東日本大震災」に、私の発言「官邸と役人の能力引き出す」が載りました。大島理森・元衆議院議長を取り上げた連載です。今号は、大島先生が自民党の東日本大震災復興加速化本部長時代です。

自民党が政権に復帰したのは、2012年12月。大島先生が自民党復興加速化本部長に就任され、直ちに党本部の本部長室に呼ばれました。「復興を進めるために何をしなければならないか」と問われ、私が「あれも、これも、それも・・・」と列挙すると、バーンと机をたたいて、「急ぐものはどれだ」と一喝されました。
そこで、住宅建設を最優先にすることが決まりました。当時の私は、取り組むべき課題はそれぞれ重要で、どれもこれも急がなければならないと悩んでいました。それを整理して、優先順位をつけてくださいました。これは、官僚にはできないことです。

次に、復興の大まかな方針を決めてくださいました。各省や東電を呼んで、ご自身で論点を整理されたのです。もちろん、お手伝いはしましたが。そしてそれを紙にして、「政府への提言とする」とおっしゃいました。
私は、面倒なことになるなあと思いつつ、大島先生の指示で官邸に向かい、菅官房長官と安倍首相に説明しました。お二人は「どうすればよいのか」と聞かれたので、「この提言を総理と官房長官が受け取っていただき、横にいる復興大臣に『このように進めるように』と指示を出していただければ」と答えました。大島先生は、連立与党である公明党の加速化本部長である井上義久先生に連絡を取られ、井上先生にも説明に行きました。そして、両党の提言として、段取り通り進みました。その後、定期的に与党提言を使って、難題を進めることができました。

官僚を使いこなす政治主導、そして官邸を動かして実現する素晴らしい実例でした。

ヤフーニュースでの発言「能登地震の復興は東日本に学べ」

インターネットのヤフーニュースに、私の発言が載りました。「能登地震の復興は東日本に学べ」元復興庁・岡本全勝さんの提言 町を元に戻しても人は戻らず」(2月9日配信)。ヤフーニュースには、他紙からの転載記事のほか、このような独自の記事(オリジナル 特集)もあるようです。

先月中旬に、取材を受けました。私は能登の現場を見ていないため、あくまで報道で知り得た範囲での見解ですが、これから予想される復興の難しさについて、東日本大震災の経験を基にお話ししました。
東日本大震災では、それまでの復興哲学と同じように、元の街に復旧しようとしました。ところが、インフラや住宅を復旧しても、多くの集落で住民は戻らず、にぎわいも戻りませんでした。日本は人口減少に転じ、特にこの地域は以前から人口が減少し、高齢の方が多い地域だったのです。この条件は、能登半島も同じです。

街をどのように復旧するか。それを決めるのは地元の人たちです。多くの方は「元に戻したい」と思っておられるでしょうから、私の発言は厳しいものと受け取られるでしょうね。
どのようにしたら、住民の方は暮らしやすいか。
東日本大震災では、私たちは手探りで事業を進めましたが、今回は13年前に起き、そこから復興したという前例があるのです。住民の意見集約という過程と、どのように復旧するかという目標の二つにおいて、ぜひ東日本大震災からの復興を参考にしてください。

2月29日の朝日新聞「論壇時評」で、宇野重規先生に取り上げていただきました。「能登地震から考える 人口減少、持続可能な社会とは

富山テレビ出演

富山テレビのニュース番組「BBT報道シンそう富山」の2月4日の放送「能登半島地震から1か月あまり」に少し出演しました。ビデオでは19分過ぎから40秒ほどです。
奥田一宏・解説者から依頼を受け、事前にオンラインで録画しました。もっと丁寧に説明したのですが、放送はほんの少しでした。

東京の報道では、石川県の市町村が主に取り上げられていますが、能登半島の東側付け根にある富山県氷見市も大きな被害を受けました。
これから復旧・復興が始まるので、注意点をお話ししました。氷見市も高齢化と人口減少が進んでいます。そのような地域で、どのように復興するのか。私は現地を見ていないのですが、東日本大震災での経験を元に説明しました。

東日本大震災の津波被災地で、たくさんの町や集落の復興を支援しました。その経験が残っています。能登半島地震の被災市町村や住民も、ぜひ東北の現地を視察してもらって、事業の進め方と完成後の姿を参考にしてもらいたいです。

地方の放送局が、このようなニュース番組を作るのは、よいことですね。