カテゴリーアーカイブ:社会の見方

学者同士の冷静な評価と議論

2024年6月17日   岡本全勝

川北英隆・京都大学客員教授のブログ、6月14日に「経済学者なら具体的議論を」が載っていました。
私も毎朝、日経新聞の経済教室を読んでいます。同じように物足りなさを感じていたのですが、このブログを読んで納得しました。世の中の時評や書評はヨイショが多いですが、このように冷静に評価してもらうと、わかりやすいです。

・・・日経新聞の経済教室に「日本経済復活の条件」と題して、昨日から3回シリーズでの連載が始まった。昨日、今日と読んでみて「日本の経済学者復活の条件」もついでに連載したほうがいいのではと思ってしまう。
昨日は吉川洋氏と山口広秀氏の、重鎮2人の連名だった。人口減少が経済停滞の原因ではなく、イノベーションの欠如が原因だと述べている。そんなこと、わざわざ経済教室で言われなくても当然のことである・・・

・・・今日は福田慎一氏だった。日本を代表する大学、東大の教授である。株価がバブル期の高値を更新した背景を詳細に述べつつ、これを好機ととらえ、経済の新陳代謝とイノベーションを進めることが必要だとする。しかしというか、残念ながらというか、具体的な指摘は何もなく、一般論で終わっている。普段、何も考えていないのか・・・

ASEANの頼れる「級友」に

2024年6月17日   岡本全勝

6月9日の読売新聞、相沢伸広・九州大比較社会文化研究院教授 の「東南アジア外交 ASEANの頼れる「級友」に」から。

・・・日本がASEANに「選ばれる」最大のメリットは経済面です。東南アジアの経済成長は日本経済に直結する死活問題だからです。東南アジアから見て、日本が「助けたい国」、「選びたい仲間」と認知されるかが重要なポイントとなります。

ASEAN各国の政治家や官僚などの政策コミュニティーには30~40代が多く、彼らの景色には、1980年代のように日本を「仰ぎ見る」形式は全くありません。非常にフラットに、「クラスメート」の一人として日本を見ているように感じます。

現時点では、日本は大変人気のあるクラスメートとしての地位を得ているのは確かです。継続的な支援に加え、カンボジア和平、97年の通貨危機対応などへの功績で、「日本は決して合意を 反故ほご にしない」「困ったときには助けてくれる」という信頼と期待は確実に醸成されています・・・

清代の知事

2024年6月15日   岡本全勝

山本英史著「清代知識人が語る官僚人生」(2024年、東方書店)を読みました。読みやすく、面白かったです。1630年頃、中国山西省で生まれた黄六鴻という人が残した書物を元に、当時の官僚生活を解説したものです。

彼は、科挙の途中段階まで合格しますが、最後の試験になかなか受からず、知県になる道を選びます。時に40歳を超えていました。最初に赴任したのが、郯城(たんじょう)県です。ウィキペディアで出てくる、この県のようです。郯という国は「春秋左氏伝」に出てくるそうです。二つの県で知県を勤めた後、中央官庁の職にも就きます。引退後、田舎暮らしを選ばず、経験を元に指導書を書きました。その本が、元ネタになっています。

知県は県の知事にあたりますが、当時の県は10~20万人、全国で1200あったそうなので、日本の市くらいと考えるとよいでしょう。
当時の地方行政機構は、大きい方から、省、道、府、県・州となっていました。知県はこの末端の県の長官です。徴税と司法、治安を司ります。治めやすい県とそうでない県がありますが、それ以前に、部下職員が言うことを聞きません。知県が連れて行く安心できる部下のほかに、職員は地元採用でかつ給料が安いのです。彼らは、賄賂など生計を立てます。
知県は正しい政道を目指しますが、それだけでは組織が回りません。かといって、緩めると部下たちはなめてかかります。主人公は、かなり清廉潔白な政治を行いますが、失敗もあります。書かれている事例が具体的で、面白かったです。

災害時の虚偽情報

2024年6月15日   岡本全勝

6月2日の日経新聞、久保田啓介・編集委員の「防災DXの光と影 デマ克服し長所伸ばせ」から。

・・・能登半島地震から5カ月。発生直後から復旧・復興までさまざまなデジタル技術が登場し、今後の活用に期待が膨らむ。一方で、SNS(交流サイト)ではデマが飛び交い、防災DX(デジタルトランスフォーメーション)の光と影を浮かび上がらせた・・・
・・・一方で「影」はデジタル空間に虚偽情報があふれたことだ。「家の下敷きになった。すぐに救助を」といった虚偽の要請や津波被害などのニセ画像がSNSで流布した。情報通信研究機構が地震後24時間の投稿の一部を分析したところ、救助要請に関連する1091件のうちデマと推定できた投稿が104件を占めた。
2019年の台風19号災害では長野県がSNS投稿を約50件の救助に結びつけ、救助・救援の切り札とも期待されただけに関係者は衝撃を受けた。「正しい投稿を否定するデマまで現れ、虚実がわからなくなった」と研究者は嘆く。

人工知能(AI)が社会に浸透するなか、DXの便利さと危うさは社会のあらゆる場に潜む。特に災害時には影の部分が鋭く頭をもたげることに注意が要る。
とりわけ懸念されるのが南海トラフ地震や首都直下地震など巨大災害時だ。心ないデマだけでなく、インフラを動かす重要データの書き換えなど「悪意ある攻撃」が国家規模で仕掛けられる恐れすらある・・・

私専用のエスカレータ

2024年6月14日   岡本全勝

最近、東京駅と京都駅を利用する機会が、何回かありました。荷物があるので、エスカレータを使います。
すると、皆さんが左側に長く並んで待っていて、私のために右側を空けてくれているのです。
「こんなに特別待遇してくれなくてもよいのに」と言いつつ、誰も乗っていない右側にさっさと乗らせてもらいます。