カテゴリーアーカイブ:社会の見方

「インスタグラム」10代の機能制限

2024年10月9日   岡本全勝

9月19日の朝日新聞に「インスタ、10代の機能制限 16歳未満は保護者と設定変更」が載っていました。

・・・米メタは17日、写真投稿アプリ「インスタグラム」で10代の利用者がつかえる機能を制限する取り組みを発表した。インスタについては、米国の行政機関などから若者への心理的な悪影響などが指摘されていた。米国などで60日以内に提供を始め、日本でも来年1月から利用できるという。

インスタは今回、10代の利用者を対象に「ティーンアカウント」を始める。利用者の投稿について、本人がフォローを認めた相手以外は初期設定で見られなくするほか、性や暴力などに関する不適切な投稿の表示も制限する。
また、1日あたりの利用時間が1時間を超えるとアプリを閉じるよう求める通知が届くほか、午後10時~午前7時はスリープモードとなり、通知が届かなくなるという・・・

男女平等、いまだ残る「戦前」

2024年10月7日   岡本全勝

9月18日の朝日新聞夕刊「男女平等、いまだ残る「戦前」 元最高裁判事・櫻井龍子さんが見た「虎に翼」」から。

「こんなに熱心にドラマを見るのは初めて。朝、起きるのが楽しみで」。9月末に完結する、NHKの連続テレビ小説「虎に翼」。弁護士や裁判官として活躍した三淵嘉子さんをモデルにした猪爪寅子の人生を描いています。最高裁判事もつとめた櫻井龍子さん(77)は「寅子ちゃんに感情移入できる、そこに日本の問題がある」と言います。話を聞きました。

――九州大法学部を卒業、1970年に旧労働省に。女性ゆえの「壁」を感じたことはありましたか。
大学3年生の時でしょうか。女性には多くの道がないと知りました。司法試験か公務員試験か、の2択でしたね。求人は山ほどあっても、学生課は「男性用です。女性求人はありません」って。
そういう時代だったんです。85年以前、日本はまだ「戦前」でしたから。

――戦前、ですか。
日本国憲法の理念としての男女平等はありました。でも実態は「戦前」。
85年は、女性差別撤廃条約を日本が批准した年で、男女雇用機会均等法が成立しました。以降、少しずつ変わってきたと思います。

――旧労働省でも?
先輩の女性から、男女平等という言葉は、長らく省内の会議では使えなかったと聞きました。男性職員に「男女平等なんて、日本にはない」と鼻で笑われたこともあったようです。

――驚きです。何が転機だったのでしょうか。
国連の国際女性年宣言(75年)に続く「国際女性の10年」が大きいですね。
日本も多くの国際会議に参加しました。女性で初めて国家公務員上級職となった森山真弓さんらが省内で報告するのですが、男女平等という言葉なしには説明できない。決議などに出てくるのですから。それで使われるようになったと聞きました。「外圧」みたいなものです。

無関心と消極性

2024年10月6日   岡本全勝

私は、現在の日本社会の大きな問題は、無関心と消極性ではないかと考えています。
連載「公共を創る」(第30回)では、私たちが社会で暮らしていく際に必要な、「装置や環境」「財産」を、社会的共通資本として整理しました。自然資本(自然環境)、施設資本(いわゆる社会資本、インフラ)、制度資本(各種サービス)、関係資本(ソーシャル・キャピタル)、文化資本(気風や助け合い精神、民主主義を支える精神など)です。そのうちの関係資本と文化資本が弱くなっているのです。

まず、他者への無関心についてです。
イギリス旅行中に、地下鉄に乗ったときのことです。座席は埋まっていたのですが、私たち夫婦が乗り込むと、勤め人と思われる若い男性と若い女性が、すぐに立ち上がって席を譲ってくれました。「そんな年寄りではないんだけどな」と思いつつ、「ありがとう」と言って座りました。
帰ってきて、羽田空港第3ターミナル駅から京浜急行に乗りました。前駅の羽田空港第1第2ターミナル駅から乗ってきた客で混んでいました。旅行鞄を引きながら私たちが乗り込むと、大きな旅行鞄を前にして座っていたアジアからきたと思われる若い観光客2人が、すぐに席を譲ってくれました。これまた「ありがとう」と言って、座りました。
品川駅で、山手線に乗り換えました。誰も、席を譲ってくれませんでした。

先日、小学校5年生の孫娘が、足にケガをしました。松葉杖をついて、母親と一緒に登下校しています。ある朝、通勤時に一緒になったのですが、丸ノ内線では誰も孫に席を譲ってくれません。
座っている人たちは、居眠りをしているか、スマホを操作しているか、ゲームをしています。まったく周囲に、関心がありません。目を上げた際に、松葉杖の子どもがいることを見ている人もいるのでしょうが、無関心です。日本人は親切だとか、おもてなしと言いますが、とてもそうとは思えません。

安心安全な日本社会をつくったのは、他者への思いやりであり、共助の精神です。この関係資本が弱くなると、安心安全な社会は壊れます。続く

共働き世帯が専業主婦の3倍に

2024年10月6日   岡本全勝

9月18日の日経新聞に「共働き世帯1200万超、専業主婦の3倍に 制度追いつかず」が載っていました。この30年間に、暮らしの形は大きく変わっています。それが、連載「公共を創る」の主題でもあります。

夫婦共働きが2023年に1200万世帯を超え、専業主婦世帯のおよそ3倍となった。保育所の増設や育児休業の拡充など環境整備が進み、仕事と家庭を両立しやすくなってきたことが背景にある。ただ、社会保障や税の制度には専業主婦を前提にしたものがなお多く、時代に合わせた改革が急務となる。
男女雇用機会均等法が成立した1985年時点で専業主婦は936万世帯で、共働きの718万世帯を上回っていた。90年代に逆転し、2023年までに専業主婦世帯は6割減り、共働きは7割増えた。

23年の15〜64歳の女性の就業率は73.3%に達し、この10年で10.9ポイント伸びた。男性の就業率は84.3%で伸びは3.5ポイントにとどまる。
働く女性が増えた背景には、男女雇用機会均等法が施行され、男女ともに長く仕事を続けるという価値観が一般的に広がったことが挙げられる。同時に保育所の整備やテレワークの普及といった仕事と家庭を両立しやすい環境づくりも進展した。「人手不足のなかで、企業が女性の採用・つなぎとめを進めている」(ニッセイ基礎研究所の久我尚子上席研究員)といった側面もある。

働きの女性の働き方では、週34時間以下の短時間労働が5割超を占める。25歳以上の妻で見ると、どの年代でも短時間が多い。年収は100万円台が最多で、100万円未満がその次に多い。
短時間労働が多い理由の一つに、「昭和型」の社会保障や税の仕組みがいまだに残っていることがある。
例えば、配偶者年金があげられる。会社員らの配偶者は年収106万円未満といった要件を満たせば、年金の保険料を納めなくても老後に基礎年金を受け取れる。第3号被保険者制度と呼ばれる。
第3号被保険者の保険料はフルタイムの共働き夫婦や独身者を含めた厚生年金の加入者全体で負担している。専業主婦(主夫)を優遇する仕組みとも言え、「働き控え」を招くと指摘されている。

会社員の健康保険に関しても、保険料を納める会社員が養っている配偶者らを扶養家族として保障している。専業主婦(主夫)を扶養している場合は1人分の保険料で2人とも健康保険を使えるようになっている。
配偶者の収入制限がある配偶者手当を支給する事業所は減少傾向にある。23年は事業所の49.1%で、18年と比べて6.1ポイント下がった。
税制にも配偶者控除があり、給与収入が一定額以下であれば、税の軽減を受けられる。「働き過ぎない方が得だ」といった考えが残る要因とも言える。共働きが主流となり、各業界で人手不足が深刻さを増すなか、制度の見直しは欠かせない。
夫婦が働きながら育児に取り組むためには、企業の長時間労働の是正や学童保育の受け皿の拡大なども急がれる。官民をあげた取り組みが不可欠となる。

雇用格差対策や職場改革に取り組む労働組合

2024年10月4日   岡本全勝

9月19日の日経新聞に「UAゼンセン、労組で一人勝ち 「非正規」代弁し存在感」が載っていました。

・・・流通・サービス業などの労働組合でつくるUAゼンセンの拡大が続いている。18日に公表した組合員数は約190万人と約10年で3割増えた。非正規の働き手の組織化が進んだほか働き方改善などにも取り組んだことが奏功した。正社員の賃上げに活動の軸を据え続ける主要な産業別労働組合(産別)の退潮が続くなか、存在感は高まる一方だ・・・

・・・UAゼンセンは12年、繊維産業などの労組でつくるUIゼンセン同盟と、小売業などの労組でつくるサービス・流通連合が統合して発足した。2位の自動車総連の約80万人を引き離し、国内最大の産別だ。
日本の労組の組合員数は1994年の1269万人をピークに減少に転じ、2023年には993万人にまで減った。過去10年間、約40の主要産別の7割で組合員が減り、電機連合や情報労連など、1割以上減らした組織も少なくない。そのなかで、UAゼンセンは発足以来、組合員数を約50万人増やし一人勝ちしている状態だ。

躍進の理由の一つが、パートやアルバイトなど非正規の働き手の取り込みに成功してきたことにある。日本の労組は伝統的に終身雇用の正社員が中心だ。国内全組合員に占める非正規の比率は14%(23年)にとどまり、「正社員クラブ」とやゆされることもある。UAゼンセンは非正規組合員の比率は6割超、過去1年に加入した組合員では9割を占める。
ここ20年余り、生産年齢人口の減少が加速するなか、多くの企業が女性やシニアなど短時間労働の働き手を増やした。とりわけ「非正規の基幹化」が進んだのがUAゼンセンの中核を占める小売業や飲食業だ。「職場の正社員比率が低下するなか、『数の力』を強化するため、短時間労働者の組合員化が不可欠になった」(松浦会長)
このため発足当初から「雇用形態間格差の是正」を掲げ、加盟労組に非正規を組合員化する労働協約の改定を促した。UAゼンセンの都道府県支部ごとに目標を設け、地方企業での労組結成も後押しした。昨秋以降もヨークベニマルなどで数千人規模の非正規が組合員となり、串カツ田中などでは新たな労組が誕生した。
23年秋以降、約1万7千人の非正規を組合員に加えたスギ薬局ユニオンでは、原則、正社員に限定していた積み立て有給休暇制度などの対象を非正規に拡大。小沢政道中央執行委員長は「短時間従業員の不満を把握し解消することで離職防止にもつながる」と強調する。

UAゼンセンのもう一つの特徴は賃金交渉以外の活動の広さだ。伝統的に日本の労組の最大の役割は春の賃上げ交渉にあったが、2000年代にはデフレの長期化などで主要企業の労組はベア要求を凍結。13年に政府が企業に賃上げを要請した「官製春闘」でベアは復活したが、要求水準は依然として低く、「労組不要論」すらささやかれた。
UAゼンセンはこの間、職場のジェンダー平等や育児・介護の両立支援など総合的な労働条件の改善に交渉の範囲を広げ、19年には他産別に先立ち、デジタル化などに対応したリスキリング(学び直し)も労使交渉のテーマに掲げた。
今年は小売業などの現場で深刻化する「カスタマーハラスメント(カスハラ)」対策にも力を入れ、顧客の迷惑行為に直面した従業員向けの相談窓口の整備や専門研修の実施を経営側に求める。賃金だけでなく働き手の多様な悩みに対応することが、労組の存在価値を高め、さらなる組合員の獲得につながる好循環が生まれている・・・