カテゴリーアーカイブ:社会の見方

市場経済と信頼

2007年5月20日   岡本全勝
17日の日経新聞経済教室は、田幡直樹さんの「急がれる資本市場の信頼回復。自主規制の確立・順守を柱に」でした。
・・日本の金融・資本市場は、経営者や公認会計士による有価証券報告書虚偽記載など不祥事が続発し、世界の投資家の日本市場への信頼が大きく揺らいだ。この結果、日本への資金流入は停滞し、ニューヨークやロンドンどころか、香港やシンガポールにも劣後しかねないローカル市場になってしまう。失われた信頼を回復するためには、自主規制ルールの確立、市場参加者の倫理観向上、魅力的な新商品の提供などが必要である・・。
私のHPでは、国家間の争いの変化を、次のように説明しています(「魅力ある国を作る」など)。かつては、それは領土や資源を争う戦争でした。それが、工業製品を作って売ることに変化し、今やそれ以上に、サービスや情報を売る競争になっています。そして金融市場では、お金を呼び込む競争になっています。
また、市場原理の最先端の場である金融・資本市場で、信頼が大きな要素であることも、興味深いことです。社会において信頼が重要な要素であることは、「新地方自治入門」p256で、関係資本として論じました。お金という最もドライな分野でも、信頼が重要なのです。

日本経済の転換期

2007年5月20日   岡本全勝
朝日新聞は19日から、「変転経済、証言でたどる同時代史」を始めました。
かつて輝いた日本経済は、1990年代に大きな転換期を迎えた。バブルからデフレへ、グローバル競争へと変転を繰り返し、21世紀の今また、日本は人口減少社会、団塊世代のリタイアという未経験の時代に入る。この20年、どこで、何が、なぜ変わったのか。
初回は、日本型経営の衰退です。日本的経営側として今井敬元経団連会長は、信頼を失ったら経営はできない、会社が従業員の雇用を守ることを主張しておられます。アメリカ型経営側として宮内義彦オリックス会長は、日本的経営ではグローバリズムに負ける不安が大きかったと述べておられます。

生活保護制度改革

2007年5月19日   岡本全勝
18日の日経新聞経済教室は、林正義准教授の「急務の生活保護改革」「老人・医療を別体系に。地方は就労支援で独自性を」でした。
生活保護が地方の事務になっている国は珍しくないが、現在の日本の制度では地域間で給付水準の引き下げ競争が起きるなど、問題がある。
日本の生活保護の問題点は、次の3点。
1 保護費の半分以上が医療扶助であり、日常生活の経費は半分以下。
2 受給世帯の8割が、高齢者、疾病・障害者。
3 就労可能な世帯は2割以下であるが、この部分に関しても労働保険や失業手当が充実しておれば生活保護の守備範囲は狭くなる。
このように、生活保護以外の安全網が狭く、生活保護が性格の違う対象を丸抱えしている。そのために、次のような改革が必要である。
1 現状の制度のままでは、中央による地方への財源保障と統一的な給付基準の設定が必要。
2 医療や高齢者対策といった別の対象者について、それぞれの安全網を広げるべき。
そして地方のメリットを生かせる分野は、受給者の就労支援である。
説得力ある論文です。詳しくは、原文をお読みください。

2006年度の結果2

2007年5月15日   岡本全勝

13日の日経新聞「エコノ探偵団」は、「日本の労働生産性なぜ低い?非製造業の効率化が課題」として、日本の労働生産性、特に非製造業での低さの原因を、わかりやすく解説していました

戦後教育学批判

2007年5月15日   岡本全勝

朝日新聞5月12日「自省する戦後教育学、閉鎖性・運動との結びつきに批判」から。
政府の教育再生会議の委員には、教員経験者はいても教育学者はいない。このことについて、苅谷剛彦東大教授は、「戦後教育学の敗北」と表現する。「雇用制度を議論する審議会に労働法学者がいなければ、世の中は批判するだろう。しかし、教育問題では、専門家は不要と思われている」。
広田照幸日大教授は、「社会科学・人文科学の一分野として考えると、教育学は閉鎖的で、その水準もはなはだ心寒い」と現状を批判した。理由として広田教授は、戦後教育学がもっぱら日教組など革新側の運動と結びついて研究を深めてきたこと、「子どもの発達」など独自の「教育固有の価値」を学問の足場にすえたため、他分野との交流が難しかったことを挙げる。政治や経済が教育に及ぼす影響も「子どもの発達をゆがめる」と頭から否定するため、影響の分析自体に消極的だった。
一方で80年代以降、管理教育批判が起き、思想的にも学校や教師の権力性が批判される。かつて親や子の側に立って国家権力と対決すると考えられていた教師が、権力側に立って子や親を抑圧する存在と見られるようになった・・