カテゴリーアーカイブ:社会の見方

所得格差

2007年8月25日   岡本全勝
25日の新聞は、厚労省の発表した「2005年所得再分配調査」を伝えていました。それによると、当初所得のジニ係数は、前回2002年の0.498と比べ、0.526と拡大(格差が広がって)います。その主な要因は、高齢化です。すなわち、高齢者は金持ちと貧乏の差が大きいのです。また、この格差は、近年広がり続けています。
当初所得に、税金の徴収と年金などの社会保障の給付を加味したのが、再分配後所得です。これは、より平等になります。再分配後のジニ係数は0.387と、前回の0.381と比べほぼ横ばいです。社会保障が機能しているということです。もちろん、この0.387が水準としてよいものかどうか、という問題はあります。さらに課題は、若年層での格差の拡大と、地域間の格差です。

社会保障カード

2007年8月19日   岡本全勝
18日の日経新聞夕刊は、スウェーデンのカードを紹介していました。国民一人ひとりが、名前と顔写真と個人番号の入った身分証明書カードを持っています。年金や医療サービスを受ける際には、提示が必要です。そのほか、銀行口座開設などの本人確認に使われるだけでなく、給与や借金も、この番号で会社や銀行から国税庁に報告されます。確定申告も、これに基づいた用紙が国税庁から送られてきて、それにサインをすれば済むのだそうです。所得が正確に把握されているので、社会保険庁もその数字を利用します。
個人情報流失防止のために、個人番号だけでは、データにアクセスできないとのことです。便利ですね。半世紀の歴史が、あるそうです。日本は多くのことを西欧から輸入したのに、なぜこのサービスは、輸入しなかったのですかね。

司法と民主主義

2007年8月15日   岡本全勝
日経新聞1面連載は、「試される司法、先輩国の教え」を始めました。第1回目は、根付く市民参加です。
裁判への市民参加は、民主主義の補完だと思います。王や貴族、天皇や武士、官僚に政治を任せるのではなく、国民・住民が政治を担うことが民主主義でしょう。その責任を、国民が引き受けたのです。投票に行く、税金を納めるだけでは、「あなた任せ民主主義」でしかありません。「専門家に任せておいてはよくないこともある」ということが、いろんな場面で表れています。もちろん、国民が毎日、政治に参加することは不可能ですから、専門家に任せる部分も必要ですが。
私の、「行政構造改革の分類」では、裁判員制度を行政構造改革の一つとして、「公開と参加、官の独占を止める」分類しました。

デフレの慣性

2007年8月12日   岡本全勝
12日の朝日新聞「補助線」は、西井泰之編集委員の「低温経済を読み解く、大胆な変革が呪縛を解く」でした。
・・1990年代後半、物価を成長に必要な通貨供給量との関係でとらえるマネタリストを中心に、大胆な金融緩和を求める声が強まり、日銀は量的緩和策に踏み込んだ。金融はじゃぶじゃぶに緩和され、最近では需給バランスも指標上は回復したのに、デフレだけが残った・・
吉川洋東大教授が指摘するのは「デフレの慣性」だ。「企業は価格を上げられないと考え、消費者や労組も価格や賃金は上がらないと考える『デフレ期待』が定着してしまった』と。結果、需要の勢いが弱い。
バブル崩壊後の長い停滞。企業は激しい競争にさらされ、個人もリストラの渦に。雇用や老後の不安に応える「改革」も進まない。通貨供給量を増やしても、前ほど投資や消費に回らなくなった。「将来に自信が持てない成長期待の低下」が、経済を縮こまらせているというわけだ。
日銀幹部は「日本経済が低温体質になった。金融政策だけで『期待』を変えて物価を上げるのは無理だ』という。長い停滞の「呪縛」から抜け出し、時代の気分をどう変えるか。例えば大胆な地方分権、社会保障費を中心にした歳出構造への大幅な組み替えなどはどうだろう・・・

経済財政白書

2007年8月10日   岡本全勝
19年度の経済財政白書が出ました。今年のテーマは、「生産性上昇に向けた挑戦」です。本文は大きいので、説明資がわかりやすいです。格差問題も取り上げてあって、第3-4-15図に、再チャレンジ総合プランも引用されています。
19年版の労働経済白書も出ました。テーマは、「ワークライフバランスと雇用システム」です。こちらも、要約版が読みやすいです。(8月8日)
8日の読売新聞の解説が、1ページと簡潔でわかりやすかったです。読売新聞は、9日から囲みの形で連載を始めています。第1回目は「成長格差。役員は報酬増、社員横ばい」でした。(8月9日)
読売新聞の連載10日は、「家計負担、差し引き0.1兆円増」でした。定率減税廃止や年金保険料の増加という負担増が1.6兆円に対し、一方で年金給付という受け取りの増加1.5兆円もあります。その差し引きが、0.1兆円です。新聞は負担増ばかり取り上げますが、こういう解説はわかりやすいですね。もっとも、現在政府は、国債という借金で現世代の負担を小さくして、将来世代に先送りしています。