29日の朝日新聞連載「幸せ大国をめざして-未来を選ぶ」第9回は、「似たような景色ばかり、街から個性が消えた」を取り上げていました。拙著「新地方自治入門」では、「第6章地方行政がなすべきこと」の中で、地域の悩みとして取り上げました(p167~)
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一方で金余り、一方は破綻?
道路特定財源の見直しが、議論になっています。道路整備のための税金が、来年度にも「使い切れず余る」見込みということです。余るのなら、①それほど税金を取らない、または、②別のことに使うのが、解決方法でしょう。この税金は、道路整備のためにということで、ガソリンなどに重くかけています。①説は、「その重課を引き下げるべし」となります。②にはいくつか案があって、道路関係の支出に広げる案とか、環境対策に振り向ける案のほか、これだけ赤字国債を出しているのだから財政再建に使うという案まであります。
ところで、これらの議論は国の財政で議論していますが、地方財政を含めると次のようになります。27日の朝日新聞朝刊には、道路特定財源の流れが出ていましたが、この図は全体像ではありません(以下、平成17年度の予算と計画額)。
まず、この図には出ていない、地方の道路特定財源があります。地方道路譲与税(国の揮発油税と同等のもの)3,072億円、軽油引取税10,556億円、自動車取得税4,655億円。よって、国の特定財源は36,234億円、地方の特定財源は22,197億円です。さらに、国は3.6兆円のうち、自分で使っているのが21,772億円、地方へ補助しているのが14,463億円です。すると地方の財源は、この補助分を入れて合計36,660億円となります。ここでも、収入は国が多く、使うのは地方が多いという構図になっています。
地方は、道路関係に65,938億円使います。すなわち、国では道路特定財源が余っているのに対し、地方ではまだそれ以外の財源も投入しています。ということは、税源移譲論者ならずとも、国の道路特定財源(税)を地方財源(税)に移譲すれば、この問題のかなりの部分が解決されます。
もっとも、私は、赤字国債縮減に使うのが一番だと思います。年金が破綻しそうだとか、後世に大きな赤字を残していながら、一方でお金が余っているとか、道路を作り続けるというのは、変ですよね。
公共
10日から、日本経済新聞「経済教室」で、「公共性を問う」の連載が始まっています。10日は田中直毅さんが、企業と公共性や日本社会の公共性の変化について書いておられました。11日は林敏彦先生が、国家・市民・市場の三角形を解説し、インターネットなど超国家空間での公共性を説いておられました。拙著では、「第8章公の範囲は」で、官・共・私の三つで説明しました。
社会と政治
1日の朝日新聞「シリーズ社会保障:選択のとき」は、高齢化の進んだ地方の県とまだ若い都会の県を比較して、現在と将来の医療や介護を解説していました。それぞれ1,000人の村に例えて、わかりやすかったです。「備えを充実するために負担を多くするのか、負担を軽くするために備えは不十分でも仕方ないと考えるか。住民である私たち自身が選択を迫られる」。
社会の変化
26日公表によれば、3月の完全失業率は4.5%、前月に比べ0.2%の改善です。平成16年度の失業率は4.6%です。14年度の5.4%を最高にして、改善されています。地域別に差がありますが、問題は若年者です。15~24歳の失業率は、男性11.6%、女性8.7%です。10人に1人は、多いです。
諸外国比較では、イギリス2.7%、韓国3.5%、アメリカ5.2%、フランス10.1%、ドイツ12.0%だそうです。何か納得できないところもありますが。
分野別では、大幅に増加しているのは、情報通信17%、医療福祉14%で、大幅に減少は、製造業15%、金融保険14%です。従業者数も同じ傾向です。近年の社会の変化を表していますね。
もう一つ、目だった数値を紹介します。パート・アルバイトの占める割合です。ハンバーガー店92%、飲食店が80~70%台で並んでいます。本屋が77%というのも、なるほど。