カテゴリーアーカイブ:社会の見方

通貨と政治

2008年3月31日   岡本全勝
最近のドル安を見つつ、買ったまま放ってあった、谷口智彦『通貨燃ゆ-円・元・ドル・ユーロの同時代史』(2005年、日本経済新聞社)を読みました。面白かったです。第二次大戦で、イギリス・ポンドからアメリカ・ドルに国際基軸通貨が交代したこと。それは単に経済財政力によるものでなく、政治によるものだったこと。日本・円をアジア共通通貨にしようとする試みと挫折など。著者の主張のうち、どこまでが通説なのか、門外漢の私にはわかりませんが。
国際政治・国際経済の場で、一国の主張を通すだけの「能力」と「意欲」が必要であり、二つは別物であることが、よくわかります。もっとも、この「能力」と「意欲」は、国内政治でも必要なのですが。状況に流されるのでなく、状況を把握しつつ目標と戦略を立てること。そのためには、長期的な視野と持続する意思も必要です。これらが、日本政治と官僚に、欠けているようです。

減税は不況の元?

2008年3月27日   岡本全勝
今朝の新聞に、「ガソリン税値下げなら、GDP下振れ」という記事が載っていました。第一生命経済研究所の試算だそうです。
記者さんとの会話
記:これだと、増税して道路を造った方が、経済は良くなるのでしょうか。
全:う~ん。私には、にわかに理解できないね。不況の時は減税して需要を喚起すると、大学では習ったなあ。ケインズ経済学だったけど。
記:この試算が正しいのなら、なぜ1990年代に減税したのですかね。
全:いや、あのときは、減税しつつ、公共事業を積み増しした。
記:でも、それではダメだと学習したのでしょ。そんな財政運営は、持続不可能です・・
研究所の名誉のために、試算のアドレスを載せておきます。原文では、「家計1.6兆、企業1.1兆の減税効果により世帯当たり年3.2万円の負担減」という見出しなのですがね・・。

社会の信用

2008年3月21日   岡本全勝
21日の朝日新聞は、信用に関する社会意識調査を載せていました。
信用できない企業が多いが60%、信用できない人が多いが64%です。信用しているは、家族が97%、新聞が91%、医者83%、警察63%、教師60%です。政治家と官僚はともに18%です。
そのようなものかと思いつつ、次のようなことを考えました。
多くの人は会社勤めです。自分の会社についても、信用できないと思っているのでしょうか。それだと不幸ですよね。勤めている会社で偽装を見聞きしたら、上司や同僚に相談するが70%に達しています。これが実行されれば、良くなります。
他人を信用できないと思う人が多いということは、その人も信用されていないということです。これが、負の連鎖を招きます。「あいつは俺を信頼していない。では、あいつを信頼してはいけないな」とです。問題は、これをどう好転させるかです。山岸俊男先生は、村社会の中での安心と、不確実性の中での信頼とを区別しておられます。『信頼の構造』(1998年、東京大学出版会)。そして、村内での安心に頼っていた日本の方が、信頼をつくるのが低いと分析しておられます。
家族を結びつけるものは何かとの問いに、若い人ほど、精神的なものという答になっています。歳を取ると、それは減って、血のつながりや一緒に暮らすことが増えます。若い人の「理想主義」、歳を取ると「現実主義」になるのがわかります。心配なのは、若い人の「無い物ねだり」です。精神的なつながりを期待すること、それはよいことですが、必ずしも映画やドラマのようには行きません。それが得られないときには、不満がたまります。
求める人がいるときには、それに答える人が必要です。求めるだけでは成り立ちません。他人に求めるなら、あなたも答える必要があるのです。甘えることができるのは、甘えを受けとめてくれる人がいるからです。子供の時は、一方的に親に甘えれば良かったのですが。結婚すると、それが双方向になります。一人の喜びが二人で倍加するのか、二人で分け合って半分になるのか。一人の苦痛が二人で分け合って半分になるのか、双方になすりつけて倍加するのかは、夫婦二人の振る舞いによります。
夫婦とも生身の人間です。いつも聖人君主というわけには、行きませんわ。その時のかすがいは子供と金、というのが昔からの相場です(身もふたもありませんが)。もっとも、この二つの答は、この調査の回答にはありませんでした。あまりに現実的すぎるからでしょうかね。それとも、設問をつくった人が若い人か、関西人でなかったか。

グローバル化とナショナリズム

2008年3月18日   岡本全勝
17日の朝日新聞「グローバル化の正体」は、小熊英二教授の「均質化が生む不仲の双子」でした。
・・グローバル化とナショナリズムは対立すると言われがちだが、仲の悪い双子のようなものです。両方とも、交通通信技術の発達に基づく均質化と資本主義化の産物です。均質化が国内でなされるとナショナリズムと呼び、国際的になされるとグローバル化と呼ぶ。
ナショナリズムは、中の下くらいの階層が受益層となり、グローバル化の受益層は上層です。
この双子の共通の敵は、ローカリズムでしょう。地域や親族の共同体が衰えているのが、ポピュリズム的なナショナリズムが台頭する一つの要因でしょう。

コンテンツ産業

2008年3月18日   岡本全勝

17日の読売新聞が、日本の漫画や小説が韓国でヒットしている状況を伝えていました。ところで、その中で紹介されていますが、日本国内のコンテンツ産業は、約14兆円で世界ではアメリカに次いで第二位です。ところが、輸出の割合がアメリカは18%に対して、日本はたったの2%です。