カテゴリーアーカイブ:社会の見方

経済と政治・経済活動のルールを誰が決めるか

2008年5月25日   岡本全勝
5月20日の経済財政諮問会議で、対日直接投資が議論されました。その中で、M&A(Mergers and Acquisitions、企業合併と買収)、特に企業買収のルールが問題になっています。興味深いのは、そのルールをどのように設定するかです。日本への投資を呼び込もうとすると、買収しやすくする必要があります。一方で、経営者保護のために過剰な防衛策が導入されたり、防衛のために大きな負担が発生している例もあります。
企業に関する基本的ルールは、会社法で決められています。国家が決めているのです。個別の会社の中のことは、それぞれの企業が決めます。今回の議題になっている買収のルール、というより買収防衛策のあり方を誰が決めるかです。
斉藤東京証券取引所グループ社長は、席上次のような発言をしておられます。
「・・こういうことを言うと大変失礼であるが、こういうことは政府がやり方の是非を決めるような問題ではないのではないか。いわゆる買収防衛策の導入指針を政府に提示させることに、少し違和感がある。本来そういうことは、ビジネス側が提案していかなければいけないものである。経営者がそれを盾にし、逆にポイズンピルなどを導入することが起こってしまうと、常識的には経営者の保身だと見られている・・」(議事要旨p10)
なお、東京証券取引所は、株式の取引という公共性の大きな仕事をしていますが、株式会社です。日本銀行も、お札の発行という国家に欠かせない仕事をしていますが、国と民間が出資した会社です。

日本の開国度

2008年5月21日   岡本全勝

20日の経済財政諮問会議で、対日直接投資が議題になりました。有識者提出資料の最後に、開国指標が付いています。イギリスを満点とした場合の、アメリカと日本の数値が5角形で示されています。あまりの違いにびっくりします。ぜひご覧ください。

前川リポート

2008年5月17日   岡本全勝
17日の朝日新聞・変転経済は、「前川リポート」でした。アメリカとの貿易不均衡は、「貿易摩擦」と呼ばれ、激しい対日批判がおきました。1980年代は、アメリカが経済的に自信をなくし、日本がJapan as No1と浮かれた時代でした。アメリカからの批判に答えるため、日本の経済構造をどう変えるかが議論されました。さらにこの後、日米構造改革協議が行われました。
このリポートは、その後、日本経済がバブル経済に飲み込まれ、目標を達成しなかったと評価されています。詳しくは記事を読んでもらうとして、私はこのリポートは大きな意味があったと思います。
それまで日本は、せっせと輸出してお金を稼ぐ、という発想に囚われていました。もちろんそれが成功して、世界第2位の経済大国になったのです。しかし、そこまで大きくなったときに、国際社会で一人勝ちしては、許されないでしょう。日本は、もはや発展途上国ではなく、トップを走る先進国になったのです。しかし、国民の意識は、まだ切り替わっていなかったのです。このリポートは、輸出志向から内需拡大へと、方向転換を打ち出しました。
「日本人は貧しさの中で生き方は知っているが、豊かさの中での生き方は知らないのじゃないか」。これは、大平首相の言葉です。「新地方自治入門」p181で、紹介しました。
1986年のことですから、もう22年もたつのですね。私は、鹿児島県で課長をしていました。プラザ合意(1985年)による円高不況に、苦労していました。今の大学生には、わからないことですね。

非正規雇用

2008年5月14日   岡本全勝
14日の日経新聞経済教室は、阿部正浩教授の「非正規雇用、スキル向上へ費用議論を」でした。
非正規雇用者や無業者が増えることで、老後に生活保護を受給しなければならなくなる人が77万人にもなり、追加的予算が20兆円にもなるとの試算があるのだそうです。日本の雇用政策は、企業の雇用慣行を補完する形で作られていて、非正規雇用は学生や主婦のパートと考えていました。主たる生計者と考えていなかったのです。だから、社会保険や労働保険の適用除外になっている人も多いのです。職業訓練も受けられず、就業機会に恵まれません。この課題の先進国であるイギリスでは、より進んだ対応をしています。

民主導の街再生

2008年5月11日   岡本全勝
日経新聞は、9日から連載「都市と地方、民主導の街再生」を始めました。第1回目は、まちづくり会社の挑戦です。
・・行政主導の街づくりが失敗しているのは、誰も責任を取らないから。民間資本にして、責任の所在を明確にすることが大切。
・・国は再生計画づくりやインフラ整備を補助金で支援してきた。中心市街地活性化プロジェクトの事業費は1998年度から7年間で5兆円。うち国費は2兆円で、約700地区で基本計画が策定された。しかし、商店街の人口、事業所数、販売額とも減少が続き、会計検査院は「効果は上がっていない」と結論づけた。行政が音頭をとってイベントを展開し、駐車場など箱ものをつくるだけでは、街はよみがえらなかった・・