カテゴリーアーカイブ:社会の見方

地域とICT

2008年8月7日   岡本全勝
遅くなりましたが、今川拓郎さんのインターネット・コラムを紹介します。日経新聞のサイトに載っている「官×学の政策回転ドア」で、8月7日号は「平均点は550満点中80点・地域のICT活用の打開策は何か」です。
・・実は、白書が強調したかったのはランキングではない。むしろ、ICT活用度は画一的に評価することは難しく、地域の実情に応じてICT活用のあり方が異なるということだ。・・条件不利地域(過疎、豪雪)や高齢化地域の市区町村では、平均的にはICTの活用は遅れているが、医療、福祉、地場産業・農業、観光、住民交流といった地域に密接な課題の解決にICT活用の比重が置かれていることが伺える。このような地域では、限られた政策資源のなかで、目的意識の高いICT活用に徹する必要があると考えられる。
・・重要なことは、地域におけるICT活用はそれ自体が独立したテーマではなく、医療・福祉・教育・防犯など、地域が抱える課題と直接結びついていることだ。ICTはあくまでツールであって、これを積極的に導入したとしても、地域の課題解決とリンクしていない限り無駄な投資に終わる。
・・ICT利用には、対面による接触を「代替」する側面と「補完」する側面の双方が存在する。出張する代わりにテレビ会議で用件を済ませるのは「代替」だが、面会のアポ取りで電子メールを送ったり、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で知り合ってオフラインで会合を始めたりするのは「補完」である。・・お互いの距離が遠くなるほど移動費用が増し、対面による接触が減ってICTによる接触が増える。これが「代替」による効果である。一方、距離が近くなると移動費用が減り、対面による接触が増えてICTによる接触が減るが、近距離内ではICTによる接触も逆に増加に転じている。これが「補完」による効果である・・
今川さんも、総務省のお役人です。詳しくは、原文をお読みください。

最低賃金

2008年8月5日   岡本全勝
中央最低賃金審議会は5日、地域別の最低賃金(時給)の引き上げ額の目安を15~7円と決めました。読売新聞は、次のように伝えています。
・・生活保護の水準まで最低賃金を引き上げることを目指した改正最低賃金法が7月に施行されたことを受け、生活保護の水準を下回る12都道府県については、目安を上回る引き上げを求めた。・・引き上げ額の目安は例年通り、全都道府県を4ブロックに分けて示された。さらに今年度は、生活保護水準を下回る12都道府県について、生活保護と最低賃金の「乖離額」が初めて提示された。乖離分は原則2年以内、最長5年程度で解消することを求めた。何年で解消するかは各都道府県の審議会に委ねる・・
かつて、このHPで「生活保護が国民としての最低限度の基準とすれば、それを下回る賃金は、憲法違反といえないでしょうか」と書き(2007年9月9日の項)、ドーア先生のコラムに引用してもらいました(2007年10月22日の項)。

「骨太の方針」主な内容

2008年8月1日   岡本全勝

 

 年度
    主な内容
2001
小泉内閣
竹中平蔵大臣
不良債権問題の2~3年内解決
2002年度の国債発行を30兆円以下に(公共事業、社会保障、地方財政の削減)
首相公選制の検討
2002
広く薄く簡素な税制構築
2010年代初頭に基礎的財政収支黒字化
1年以内に三位一体改革工程表作成
構造改革特区導入
2003
政府・日銀でデフレ克服
社会保障給付費の伸び抑制など持続可能な社会保障制度に
三位一体改革で国庫補助金4兆円削減
2004
2005年に郵政民営化法案提出
三位一体改革で地方へ3兆円の税源移譲
2005
政策金融改革で基本方針
公務員総人件費改革で純減目標
市場化テスト導入
2006
与謝野馨大臣
2011年度に国・地方の基礎的財政収支を黒字化
(歳出歳入一体改革。分野別削減目標提示、不足分は歳入改革で)
再チャレンジ支援
2007
安倍内閣
大田弘子大臣
成長力底上げ戦略
2008
福田内閣
「骨太2006」(歳出歳入一体改革)の堅持
道路特定財源一般財源化の方針
低炭素社会の構築
 2009
麻生内閣
与謝野馨大臣
「経済の危機」と「社会の危機」を一体的にとらえ、「安心・活力・責任」の3つの目標を同時に達成するための道筋を示す
活力: 当面及び構造的な「経済の危機」を克服
安心: 少子高齢化、格差の拡大傾向等の「社会の危機」を克服
責任: 「短期は大胆、中期は責任」との観点から、財政健全化を推進

 

新聞記事の価値

2008年7月28日   岡本全勝
29日の朝日新聞星浩編集委員の「政態拝見」は、「5W1H掘り下げよう」でした。
・・北朝鮮の核問題を話し合う6者協議に出席した日本の外交官から、こんなぼやきを聞いたことがある。
「日本のメディアの関心は、会合がいつ(WHEN)開かれるのか、誰と誰(WHO)が会うのか、に集中しすぎている。何を(WHAT)論議するのか、なぜ(WHY)協議が大切なのか、といった点をもっと掘り下げて欲しい」
新聞記事の基本は、この4つに、どこ(WHERE)と、どのように(HOW)を加えた5W1Hだが、6者協議の報道は、WHENとWHOに偏りがちだというのだ。・・長文の解説記事を載せる欧米の新聞などと日本のメディアを比べると、この外交官の指摘も、うなずける面はある・・

難民鎖国・日本

2008年7月27日   岡本全勝
22日の日経新聞経済教室、滝澤三郎・国連難民高等弁務官事務所駐日代表の「難民受け入れへの日本の対応」から。
・・難民保護には、難民を自国で受け入れて保護する直接的方法と、難民を大量に受け入れる発展途上国へ資金援助する間接的方法の二つがある。日本の難民政策の特徴は、間接的難民保護の比重が大きく、難民受け入れが制限的な点にある。
受け入れ数の少なさは、世界的に有名だ。日本は1978年から2006年にかけてインドシナ難民11千人を受け入れたが、1981年に加入した難民条約のもとでは、今日までに451人の難民を受け入れたにすぎない。このため毎年難民を数千人受け入れている欧米諸国をはじめとする世界には、日本が「難民鎖国」をしていると映り、人道問題に対する関心の薄さ、国際的な責任分担姿勢の欠如、日本の「鎖国性」の象徴と考えられてきた。これは日本のイメージを悪化させる高い「機会費用」といえよう・・