カテゴリーアーカイブ:社会の見方

公共事業のあり方

2008年8月31日   岡本全勝
30日の朝日新聞「公貧社会」は、「山砂載せ、さまようダンプ街道」でした。そこに、公共事業の解説があります。
・・社会資本整備の公共事業は、経済の発展段階で重点や中身が異なる。成長の離陸期では、産業活動の中心となる都市部へ人口が流入する中で、大都市圏が中心となる。高度成長期は、発展する都市圏と地方との所得や生活水準の差を縮めるため、地方に重点配分して産業の発展を促す役割。それ以降は、地域間のバランスを維持し、生活の質を高める投資という段階だ。
奥野信宏・中京大教授は「80年代半ばまでは、国民所得を最大にし、地域格差を最小にするという点で、投資の分野や地域はほぼ合理的だった。その後は、円高や製造業の空洞化対策、貿易不均衡是正の内需拡大やバブル崩壊後の景気対策で、基本理念を失った」と話す。
・・特に地方では、道路や工業団地を整えても工場は来なくなり、農業などにたずさわる人も減ったのに、金をばらまくことが目的の所得再分配政策の色合いが濃くなった・・
国と地方の公共事業費が、1980年代後半から大幅に伸び、90年代半ばから減り始め、2000年以降に急減している様子が、図に示されています。現在の総額はピーク時の半分、85年頃と同額です。

景気回復の終わり

2008年8月30日   岡本全勝
29日の日経新聞が、今回の景気回復を解説していました。
2002年2月から約6年間続いた景気回復がとぎれ、後退局面に入ったことが確実になったのです。景気の山(拡大のピーク)と谷(下げ止まりの底)の判定は、内閣府が行いますが、しばらく時間がかかります。谷から山への期間が、回復局面です。
仮に2007年12月が山だったとすると、拡大期間は71か月になり、戦後最長だった「いざなぎ景気」(1965年11月から70年7月)の57か月を上まります。戦後の平均期間は33か月なので、その倍になります。
もっとも、今回の景気回復は、力強くありません。平均実質成長率では2.1%。いざなぎ景気の11.5%や、バブル景気の5.4%に比べ、はるかに低いです。
戦後最長だけれど、実感のない景気回復でした。エコノミストも、どう命名するか悩んでいるようです。
成長寄与度を見ると、輸出が61%に対し、個人消費は38%です。グローバル化で成長したけれど、内需は盛り上がらず、ということです。名目成長率も上がらず、給与が上がらなかったので、個人には実感できませんでした。
しかし、もう、かつてのような大きな成長は、見込めないでしょう。そして、世界経済との関係が、大きくなります。すなわち、世界経済の変動に影響されることと、新興国の経済成長をどう日本が取り込むかです。前者は受動的影響、後者は能動的影響です。

アジアからの観光客

2008年8月27日   岡本全勝
27日の読売新聞夕刊は、「韓流ショット。ゴルフ場求め、日本へ続々」を、大きな写真付きで報道していました。
福島空港の国際線が、韓国人のゴルフ客でにぎわっているという記事です。私も、以前この話を聞き、また、九州でも韓国からの旅行客でにぎわっているという話を聞きました。良いことですよね。どんどん、アジアからの客を呼び込むべきです。日本の良さをPRし、また良いところを増やす必要があります。

教員の評価

2008年8月26日   岡本全勝
25日の朝日新聞は、「教員にも通信簿」を解説していました。大学で、教員の業績を段階や数値ではじき出す個人評価制度を、導入する動きが広がっています。当然のことでしょう。一度教授になったら、定年まで安泰という仕組みでは、教育水準確保や研究の向上は期待できません。学生は授業料を払い、国は多額の税金を投入しているのです。
もちろん、評価制度がなくても、頑張る先生は頑張るでしょう。個人評価が、教員のすべてを評価できるとも考えませんが、ダメな教員を排除することはできると思います。

高齢者医療費の負担の仕組み方

2008年8月23日   岡本全勝
西濃運輸(株)の健康保険組合が解散したことが、大きく取り上げられています。22日の読売新聞石崎浩記者、日経新聞大林尚編集委員の解説がわかりやすいので、それを基に説明します。
健康保険組合は、各企業がつくり、従業員と家族の医療費を支えます。このほかに、中小企業の従業員と家族を対象とした社会保険庁が運営する「政府管掌保険」、公務員を対象とした「共済」、そのほかの人(自営業や勤めていない人)の「国民健康保険」(市町村が運営)があります。
ここで問題は、高齢者です。高齢者は医療費がかさみます。しかし、ほとんどの高齢者は働いていませんから、国民健康保険になります。企業の健康保険組合や公務員共済は現役世代ですから、必ず国民健康保険が苦しくなります。そこで、高齢者の医療費を、健康保険組合などから支援する制度があります。
それを、2008年度から、さらに変えたです。その一つが、春に問題になった「後期高齢者(75歳以上)医療制度」です。もう一つが、前期高齢者(65~75歳)なのです。健康保険組合などからの支援額(拠出金)を増やしたため、各組合は加入者からの保険料を引き上げたのです。
これまで政管健保より低い保険料だと、健康保険組合は、企業と従業員の負担は少なくてすむので、メリットがありました。しかし、拠出金が増えて政管健保より高くなると、企業が独自に健康保険を運営するメリットはなくなります。政管健保に乗り換えるのです。
「・・健保制度は、民間が自主性に基づいて運営するのが原則。従業員のために独自の病気予防事業をしたり、腕が立つ医師の多い病院と個別に受診契約を結んだりするなど、企業経営に近い感覚が求められる。その自主性を活かす条件は、従業員と経営者が折半する保険料負担と、その見返りとしての医療給付との関係が対になっていることだ。
にもかかわらず、高齢者医療費として召し上げられる拠出金負担には、健保組合の経営努力がおよびにくい問題がある・・」(大林編集委員)。
仕組み、問題点、改革方向について、詳しくは記事をお読みください。