日経新聞5月5日「日本の個性、世界にどう売り込む」、工業デザイナーの奥山清行さんの発言から。
「産業空洞化など日本の製造業が急速に元気を失っている状況をどう見ますか」という問に対して。
・・機能競争が飽和し、コモディティ(汎用品)化してしまうと、日本企業にとっては厳しい。労働コストの安さだけの勝負では、中国などの新興国に勝てるわけがない。消費者が生活に必要だというニーズではなく、どうしても欲しいというウォンツ(欲求)が購買動機になる商品を作り続けるべきだ。空腹の消費者ではなく、満腹の消費者がまだ食べたいと思うものをどう生み出すかが勝負になる・・
「ものづくりで世界に勝つには何が必要でしょうか」という問に対しては。
・・想像力とビジョンだ。ものづくりが難しくなっているのは、消費者に欲しいものを聞いても答えが出てこないため。レストランでシェフから「何を作りましょうか」と聞かれても、客は魅力を感じない。自分が知らない世界を見たいと思っているからだ・・
カテゴリーアーカイブ:社会の見方
海外からの移民、ドイツの例
朝日新聞5月11日の国際面に、「ドイツへの移住、危機国から急増」が載っていました。ドイツ政府が発表した2012年の統計によると、海外からドイツへの移住者数は108万人、前年比12万人増。このうち、スペインからは45%増の3万人、ギリシャからは43%増の3万4千人、ポルトガルからは43%増の1万2千人、イタリアからは40%増の4万2千人です。
ドイツでは、かつてトルコ人を労働力として迎え、共産圏の崩壊で東欧からの労働者が入ってきました。しかし、経済危機で南欧からの移住が増えています。
日本は、島国という障壁、厳しい入国管理、国民の意識で、移住を制限しています。「雇用と賃金の開国」(5月9日の記事)に続き、いずれ「人の開国」が来るのでしょう。その際には、いろんな困難が予想されます。日本社会は、地域から、また国民の意識から、大きく変化するでしょう。「日本への移民」「日本の外国人」
雇用と賃金の開国
朝日新聞4月29日連載「限界にっぽん、超国家企業と雇用」は「フラット化する賃金」でした。
中国大連にあるIT企業が、日本の大手システム開発会社からソフト作りを請け負っていることが、紹介されています。そして、大連のシステムエンジニアの賃金が日本国内の半額であること、それが日本のシステムエンジニアの賃金を引き下げたり失業に追い込んでいることが指摘されています。
国際化は、カネやモノが国境を越えるだけでなく、雇用も国境を越えます。すなわち、労働者が移動しなくても、仕事を海外に発注することで、雇用が海外に流れ出します。産業の空洞化の一面です。すると賃金が「国際化」して、より安い国に引きずられます。「賃金の開国」です。
福岡県内では日産自動車の工場に、日本と韓国の両方のナンバーを付けた大型トレーラーが、韓国から部品を運んできます。「九州日産」は日産本体から分離され、給料は別体系になっています。すると今後の給与水準は、横浜の日産本社とではなく、アジアの水準に引きずられます。
記事には、2001年と2011年の正社員の年齢別賃金がグラフで出ています。10年間で給与が下がっていること、55歳以上で急激に下がることが示されています。この給与が上がらないことが、これまでのデフレの主犯であり結果です。
ネクタイの消費量半減
5月2日の毎日新聞に、「消える?ネクタイ」という記事が載っていました。
業界の調べでは、ネクタイの生産・輸入量は、1991年の5,600万本に対し、2011年は2,900万本です。半減です。うち国内生産は570万本で、1988年の4,700万本から8分の1に減っています。
私にとって、驚きの事実は次の通り。
・20年間で、消費量が半減したこと。成人男性の数は、そんなに減っていません。
・減った理由として、クールビズが挙げられています。でも、それだけでしょうか。もう一つの大きな理由は、贈答品が減ったことではないでしょうか。ネクタイは、自分で買うより、奥さんや恋人からもらうもの、取引先や飲み屋のママからもらうものが多かったのだと思います。
・輸入先は、イタリアとフランスだと思っていたのですが。2011年では、中国が2,140万本、イタリアが165万本、フランスが108万本、韓国が137万本です。
・輸入に比べ、輸出はどうなっているのでしょうか。
起業生む社会、政府の役割
また、古い話で、恐縮です。4月17日の朝日新聞オピニオン欄「起業は日本を救うのか」、猪子寿之・ウルトラテクノロジスト集団「チームラボ」代表の発言から。
・・政府が成長分野を決めて起業させていくなんて、絶対できない。未来の方向が大まかにわかったとしても、ビジネスとして成り立つかどうか誰にもわからないからね・・
これだけ経済のグローバル化が進むと、一国の小手先のテクニックのような金融政策が、効果を永続できるはずがない。閉塞した社会構造を変えるイノベーションこそが、経済を成長させる唯一の処方箋でしょう。しかしイノベーションは政府の音頭で生まれるものではないし、業界の中枢とは少し離れたところから創業した人たちが起こしている。
それでは政府に何ができるか。立派な成長戦略を描くより、何事にも挑戦できる寛容な社会をつくることです・・