11月23日の朝日新聞経済欄に、「病院もカイゼン」という記事が載っていました。
「トヨタ生産方式」は、各現場で仕事の無駄を省くカイゼンを積み重ね、効率の良い生産や経営を目指すものです。これが、医療現場に導入されているのだそうです。
記事に出てきた病院では、患者が入院してきて手術をするまで(病室に案内されてから、説明を受け、術前処置が終わるまで)の待ち時間を、平均163分から26分に短縮しました。すごいですね。また、救命救急センターの6つの処置室ごとに、ばらばらだった注射針やチューブなどの置き場所を、物品ごとの名前を書いた2つの箱に入れ整理しました。これで在庫が一目でわかるようになりました。
まだまだ、他の分野でも、カイゼンを導入できそうです。
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景気は気から、皆で縮こまると世界が小さくなる
11月24日の朝日新聞「ベア検討、4社のみ」から。全国の主要100社への調査結果です。
企業の利益が増えています。その利益を、どこに振り分けようとしているのか、の回答です。設備投資が53社、従業員への還元が52社です。今年1~3月の政府の「法人企業景気予測調査」では、内部留保が6割で、従業員への還元は回答の6番目だったそうです。企業の意識が、はっきりと変わってきています。
新聞の見出しでは、企業が消極的な態度かと思わせますが、記事の内容は逆です(見出しの付け方に、難がありますね)。
この変化は、「景気は気から」と「合成の誤謬」で、説明できます。これまでの日本では、新興国の追い上げ、海外への生産の移転、デフレの下で、企業はコストカットの1つとして、国内での職員と給与の削減を続けました。他方、景気が良くならないと見通して、設備投資に消極的でした。そして、利益が出ても、内部留保にとどめたのです。各企業としては、正しい選択です。しかし、多くの企業がこの方針を続けると、
給与削減→消費者が使うお金が減る→消費が冷える→売れないと見越して企業が設備投資を控える→景気が悪くなる→給与を削減する→(繰り返す)となります。
企業が儲からなくて、内部留保がないなら、企業は倒産し、もっと深刻な事態になります。ところが、企業の業績は上がっているのです。すると、先ほどの悪循環・負のスパイラルを、好循環・成長のスパイラルに変えれば、良いのです。
みんなで、「これから景気は良くなるぞ」と思い、給料を増やします。すると、消費が拡大し、設備投資を増やす判断ができます。それがまた、景気を良くします。儲かったお金を貯め込んでいては、会社も発展しないし、経済も大きくなりません。お金は、使ってこそ、生きるのです。
もちろん、この解説は、ごく単純化したものです。例えば、売れない商品に設備投資しても、その企業にとって良い結果にはなりません。
東京オリンピックの持つ意味、もたせる意味、3
あえて切り口を際出たせれば、次のようになります。
競技施設といったハードだけでなく、ソフト。一回きりのイベントでなく継続的なもの。スポーツ競技という肉体だけでなく、知的なもの。競技だけでなく、日本社会。
尾田栄章・元建設省河川局長は、オリンピックを機会に世界の英知を集め、世界の主要な関心事について、解決策を探る国際会議を始められないか。「英知の五輪」を提唱しておられます(読売新聞2013年10月10日、論点)。
スポーツ競技の大会であるオリンピックに、あまりたくさんのことを期待してもいけませんね。なお、オリンピックには、「文化プログラム」もあります。ロンドンの例。
前回の東京オリンピックは、戦後復興を成し遂げ、世界の一流国へ仲間入りした成人式でした。でも、東京オリンピックが、それら経済的社会的意義を成し遂げたのではありません。しかし、そのシンボルになったのです。日本人の多くがそう考え、世界の人がそう見たのです。
次回2020年の東京オリンピックを機会に、日本社会の目指すべき姿と、世界の中の日本を考えてみたいのです。
50年前の先輩やご先祖様に「半世紀経って、日本はこうなりましたよ」と報告する。そして50年後の後輩や子孫に「私たちは、こんな日本を残したんだよ」と言えるように。
東京オリンピックの持つ意味、もたせる意味、2
2020年の東京オリンピックで、誰に、何を見てもらうか。
外国から、たくさんの観光客やメディアが、訪れます。彼らに見てもらうところ、彼らに見せたいところ。そしてそれを機会に、私たち日本人が再認識する「日本の良いところと、伸ばすべきところ」です。
そうしてみると、前回が成人式でしたが、次回は半世紀経ってさらに発展し、成熟した日本社会でしょう。
高度経済成長が終わってから半世紀経っても、そしてオイルショックやリーマンショックを経ても、世界のトップグループを進む経済力。その豊かさと活力が、まずあります。
それだけでなく、清潔、きれい、安全、親切、落ち着きといった社会の姿。これは、なかなか他の国は、まねできません。日本食や日本の生活様式。クールジャパンで売り出している、アニメや若者文化。
世界一の高齢国であって、豊かさと安定を続ける姿。これら日本の良い点を、どのように見てもらいましょうか。
施設やモノでないだけに、見せ方は難しいですね。旅館やレストランでのおもてなしは、見せることができます。
すると他方で、これら正の面の影にある、負の面の克服が必要になります。
広がる家庭間の経済格差、3分の1を超える非正規雇用、引きこもりなど社会の絆から離れた若者など。
これら負の面を克服して、平等で豊かな成熟社会を目指すきっかけにしたいです。
東京オリンピックの持つ意味、もたせる意味
2020年の東京オリンピックについて、考えました。スポーツ競技としてではなく、この世界的イベントが持つ社会的な意味についてです。
近年のオリンピック開催の意義は、大きく2つに分けられると思います。
1つは、経済成長に成功し、先進国の仲間入りをする「成人式」です。1964年の東京(日本)、1988年のソウル(韓国)、2008年の北京(中国)です。
オリンピックは都市が開催する建前ですが、今上げた大会は国家が威信をかけて行いました。国民と諸外国に向けてです。国家が、オリンピックをそのような場として利用するのです。
1936年のベルリン、1980年のモスクワ、2016年のリオデジャネイロも、これに分類できるでしょう。
もう一つは、それ以外の大会です。第1のグループとの対比では、その国にとって2回目の開催であることや、首都でない場合が、典型的になります。もちろん、実際には、そんなきれいに分類されませんが。
なぜ、このような分類をするかと言えば、2回目の東京オリンピックをどのように位置づけるかを考える「補助線」としてです。
第1回目の東京オリンピックは、今述べたように、位置づけが簡単明瞭でした。では、第2回目はどう位置づけるか。
これが、東京以外の都市だったら、位置づけはより簡単でした。「日本には、東京以外にもオリンピックを開催できる都市があります。世界の皆さん、見てください」とです。第1回目から半世紀後の東京で、何を見せるか。何を見てもらうか。
「単なるスポーツの祭典だ」と割り切ってしまえば、それまでですが。せっかくの機会ですから、それなりの意味をもたせたいですよね。立派な競技施設や華やかな開会式を、自慢するのではないと思います。施設やイベントでなく、世界に見せ、後世に残すものです。