カテゴリーアーカイブ:社会の見方

社会学

2016年8月21日   岡本全勝

ジグムンド・バウマン、ティム・メイ著「社会学の考え方」(邦訳2016年、ちくま学芸文庫)を読みました。山本泰先生の最終講義に出て、社会学は社会をどのように見て、どのように説明しているのか、改めて勉強したくなったのです。ピーター・バーガー著「退屈させずに世界を説明する方法」(邦訳、新版2015年、新曜社)や、同「社会学への招待」(邦訳、新版2007年、新思索社)も読みました。寝床で読み続けている本も他に数冊あります。
大学時代には、マックス・ヴェーバーの没価値性(いまは価値自由と言うようです)や、カール・マンハイムの存在被拘束性を聞いて、なるほどと思いつつ、「そんなもんかいな」としか思いませんでした。
社会学の各論は、その後それぞれに触れたのですが、社会学の考え方・全体像を再確認したかったのです。寝ながら読むには、ふさわしくないのですが(反省)。
読んでみて、驚くような「新事実」はなかったです。私のふだんのものの見方が間違っていないと、自信がつきました。また、専門家は「このように考え方や、課題と分析を整理するのだ」とわかりました。門外漢が知りたいのは、その分野の地図です。まあ、教科書風に概説し詰め込むと、抽象的にならざるを得ないのでしょうが。
本を読んで、知らないことを得ることも、楽しみであり重要ですが、知っていることの再確認、あるいは専門家による整理を確認するのも、重要です。

テロ報道がテロリストを助長する?

2016年8月20日   岡本全勝

8月20日の朝日新聞が、「テロ容疑者 どう報道するか」として、次のようなことを伝えています。
・・・テロ事件が相次いでいるフランスで、容疑者の写真や名前の報道をやめるメディアが相次いでいる。プロパガンダの映像や宣伝文句を取り上げる際に十分な注意をはらうことに加えての対応だ。一方で、写真などの掲載の重要性を改めて表明したメディアもある・・・
・・・報道がテロ集団のメッセージを広め、結果的に彼らを利しているのではないか、との議論も起きた。
ルモンド紙は身分証の写真などに限って掲載することにした。笑顔を浮かべたような写真を広く報じることは「聖戦に命をかけた」などと英雄視に利用される可能性があるためだ。ラジオのヨーロッパ1は「名前も報じない」と決めた・・・
考えさせられる事例ですね。社会に大きな影響を与えた事件は、事実を詳しく伝えるべきですが、それが犯罪者を利することになっては問題です。正解はなく、みんなで試行錯誤しながら「結論」を見いだすのでしょう。

補助犬

2016年8月18日   岡本全勝

補助犬って、ご存じですか。厚生労働省、社会・援護局、障害保健福祉部、自立支援振興室の品川 文男補佐から、「政府広報番組に出演したから、岡本のホームページで広く世間に紹介しろ」との指示が来ました。品川君は、復興庁で被災者支援を担当し、これまでにない分野、これまで付き合いのない人たちと、新しい取り組みを試みてくれました。ありがとうございました。
フットワーク良く、現場に出かけるのです。もちろん、現場に行くと、新たな課題を拾ってきます。でも、それが行政の新たなフロンティアなのです。霞が関に閉じこもっているだけでは、新たな課題はわかりません。
番組は「身体障害者補助犬」についです。インターネットビデオで、約20分だそうです。開始直後35秒の頃に、当の本人である品川補佐が出演します。紺の上着を着て、まじめな顔で説明しています。

広がる所得格差

2016年8月16日   岡本全勝

日経新聞経済教室8月9日は、岩井克人教授の「問われる資本主義 株主主権論の誤りを正せ」でした。先生の主張は原文を読んでいただくとして、そこに載っている2つの図がわかりやすく、勉強になります。
図の1つは、上位1%の所得階層の所得が国全体の所得に占める割合を、アメリカ、イギリス、フランス、日本、スウェーデンについて、100年間にわたってグラフにしたものです。これは、有名になったピケティ教授の「21世紀の資本」が使ったデータを基にしたそうです。
第1次大戦直後は、どの国も極端な格差社会で、上位1%の人が全体の20%もの所得を手にしていました。その後、世界恐慌、第2次大戦を経て、格差が急速に縮小し、所得割合は5~10%くらいになります。ところが、1980年代以降再び格差が広がります。スウェーデン、日本、フランスはさほどではないのですが、アメリカとイギリスはすごいです。
図の2つめは、アメリカの上位1%の所得割合の内訳を、資本所得、企業家所得、賃金所得に分解したものです。資本所得は余り増えず、最も大きく増えているのは賃金所得なのです。経営者の報酬は、平均的労働者の報酬に対し、1960年代は25倍でしたが、近年ではなんと350倍になっています150億円という経営者もいるそうです。想像を絶しますね。
先生は、ここから「株主主権論の間違い」を解説しておられます。そこは本文をお読みください。

元気な町工場

2016年8月12日   岡本全勝

朝日新聞夕刊が、「真夏の町工場をたどって」という連載をしています。ご覧になっている方も多いでしょう。町工場が独自の技術で、存在感を示している例です。
8月8日は、クレーン屋さん、従業員10人の「日興工機」の話です。電車の点検が行われる車両基地で使われているクレーン。それを作り、保守している会社です。何が起きても、すぐ対応しなくてはならない。だから、会社丸ごと夏休みをとることなど許されないと考えていた社長と専務の親子が、1週間の全社員一斉の夏休みをとることにしました。
・・・親子は「全社夏休み」を決心した。それには、仕事を減らす必要がある。2人は大口の取引先に出向いて、事情を話した。取引中止も覚悟した。先方はいった。「上司に『日興工機を離すな』と厳命されています。ご事情にあわせます」・・・
良い企画ですね。このような事例を取り上げ、中小企業と日本を元気にしてください。官庁の記者クラブで取材していては、日本の経済はわかりません。