カテゴリーアーカイブ:社会の見方

歴史教育と歴史学3

2019年5月8日   岡本全勝

歴史教育と歴史学2」の続きです。

歴史を学ぶということには、これまでの先達たちの行動を(立派なことも失敗も)学ぶことができます。そして、ものの見方を学ぶことができます。これは、歴史を学ぶことの大きな意義です。
ところが、高校までの歴史教育と大学入試試験は、これを教えたり問うていないと思うのです。それが、この項を書いた理由です。

その点に関して、『現代歴史学の名著』(1989年、中公新書)『新・現代歴史学の名著』(2010年、中公新書)を思い出しました。
当初は「現代歴史学」という文言に、「矛盾しているのではないか?」と、疑問を持ちました。
しかし読んでみると、歴史という一つの事実が、新しいものの見方によって、違って見えることがわかります。それらの見方は、出来事の羅列や政治史ではないのです。

テレビとスマホ、低俗?の程度

2019年5月6日   岡本全勝

街角で、歩きスマホをしている人が多いです。通行の邪魔になり、危険です。駅や道路で、しばしばそのような場面に遭遇します。
電車の中でスマホに熱中している人も。周囲に気配りができず、あまり上品な立ち居振る舞いではありません。公衆の面前で、大人がゲームに熱中し、漫画やドラマに没頭することは、みっともないです。

テレビが普及し始めた頃、社会評論家の大宅壮一さんが「一億総白痴化」と表現しました。ウィキペディアによると、「テレビというメディアは非常に低俗なものであり、テレビばかり見ていると人間の想像力や思考力を低下させてしまう」との意味だそうです。1957年のことだそうです。

同じことが、スマートフォンにも言えます。大宅さんだったら、いまの状況をどのように表現されるでしょうか。
昔から「面白いことに流れる人たち」は、たくさんいたのです。その対象が、観劇であったり、テレビ、スマホ、場合によってはパチンコなのでしょう。
違いは、スマホは手軽に持って歩くことができることです。
この項続く

平成時代から引き継ぐもの4

2019年5月3日   岡本全勝

平成時代から引き継ぐもの3」の続きです。

その他に、平成30年間の変化から、いくつか拾ってみましょう。朝日新聞「数字で平成の30年を振り返ると」など。
大学進学率が、25%から53%へ。もっとも、18歳人口が193万人から118万人に減って、大学生は207万人から291万人に増えたのです。
非正規労働者が、800万人から2100万人へ。高学歴が増えたのに、生活が不安定になりました。人生設計が、親の時代と大きく変わったのです。
農業の担い手は、324万人から145万人へ。しかも、65歳以上が7割で、40代以下は1割です。産業としては危機的状況です。それは、農村の風景をも変えていきます。
訪日外国人客が、283万人から3119万人へ。これは、京都に行くと実感できます。産業としては、期待できます。
交通事故死者は、11086人から3532人へ。シートベルトの義務づけ、飲酒運転の厳罰化などによります。
自殺者は、22436人から34427人を経て20840人へ。3万にを越えたときがありましたが、少し減っています。
数字では示すことができませんが、ボランティア活動が広がりました。阪神・淡路大震災で活躍し、ボランティア元年と呼ばれたのは、平成7年(1995年)です。東日本大震災でも、組織ボランティアであるNPOが大活躍しました。

こうしてみると、「失われた20年」と言われる割には、日本社会はその良さを維持し、改善している面もあります。それが、国民が、平成時代に良い感じを持っている理由でしょう。
問題は、経済です。ジャパン・アズ・ナンバーワンと有頂天になった経済界が、その後、長期にわたり停滞を止めることができなかった。罪深いと思います。
政治と行政への批判もあるでしょうが、平成は政治・行政改革の時代でもあったのです。「行政改革の現在位置~その進化と課題」。もちろん、まだ十分とは言えませんが。

さて、平成を振り返り、良い方向に変えることができたことと、悪い変化を止めることができなかったことを教訓に、変化・改革を続けなければなりません。

歴史教育と歴史学2

2019年5月3日   岡本全勝

歴史教育と歴史学」の続きです。

多くの学問は、大学での学問や研究者の最先端と、高校までの授業内容・大学入試問題がつながっています。しかし、歴史学は違うと、思います。
その第一の理由が、他の学問では、基礎知識を覚え、それを基に応用があるのに対して、学校の歴史教育には、覚えた事実を基に、何か思考するということがないのです。

それは、これまでの歴史学の内容と方法に問題があったのではないか、というのが私の考えです。
これまでの歴史学が、主に政治史であって、出来事の羅列であったからです。英雄たちや政治家がどのような政治体制をつくって、どこを支配したかを覚えさせられます。しかし、それでは、次につながりません。
民衆が出てくるのは、革命の時くらいです。経済が政治を規定するという、マルクス史学(経済学)も、大きな流れでは真理を含んでいますが、それ以上の展開はないです。

歴史学も、新しい事実(遺跡や古文書)を発見して、新しい知見をもたらしてくれます。しかしそれは、知識が増えただけで、「考える学問」とは違います。
英雄の歴史や戦争、王朝の興廃も、読み物として面白いですが、それは小説の世界です。
社会が、どのような原因でどのように変化したか。そのような「分析」なら、「考える学問」だと思います。
出来事の歴史ではなく、経済の発展、民衆の生活水準の発展、文化の変化など、「原因と結果」を説明するような歴史学なら、「知識の記憶と応用」があると思うのですが。
この項続く

平成時代から引き継ぐもの3

2019年5月2日   岡本全勝

平成時代から引き継ぐもの2」の続きです。
前回、引き継ぐ財産と教訓を、説明しました。もう一つの要素を、挙げておきましょう。「変化」です。財産も、固定したものでなく、変化の途中にあります。

例えば、人口とその構成です。2010年を頂点に、総人口は減りつつあります。そして、その内容は、高齢化が進んでいます。この傾向が変わらないと、ますますこの状況が進みます。
また、現在の経済成長率を前提とするなら、中国との経済規模はさらに広がります。先進諸国の中での、一人当たりGDPも低下します。

皆さんは、この30年間の変化として、何を思い浮かべますか。日常生活では、携帯電話とスマートフォンでしょうか。パソコンとインターネット、プリペイドカードもでしょう。
平成時代の変化には、意図したものと、そうでないものがあります。社会の変化は、なかなか政府や有識者の主張通りには、いかないものですが。

意図して変わったものを、いくつか挙げましょう。
クールビズ。かつては、真夏もネクタイを締めていました。
禁煙。これは、一気に進みましたね。食堂でも職場でも、灰皿がありました。駅や新幹線でも、吸っている人がたくさんいました。
男女共同参画社会。女性の社会進出は大きく進みました。まだ、不十分な面もありますが。
介護保険も、大きく社会を変えました。
働き方改革。これは現在進行形です。

30年前に、昭和から引き継いだ社会が、これだけ変化したのです。また、国民が変えたのです。
この変化のうち、良いものを引き継ぎ、良くないものの変化を止めなければなりません。「変える力」も、日本国民の財産です。この項続く