カテゴリーアーカイブ:社会の見方

グローバル化による格差の拡大と縮小

2019年4月27日   岡本全勝

4月24日の日経新聞経済教室、B・ミラノビッチ、ニューヨーク市立大学客員教授の「グローバル化の功罪(上)  激変期 恩恵の偏りは不可避」が、勉強になりました。
詳しくは、原文を読んでいただくとして。

第1次グローバル化(19世紀半ばから第1次世界大戦)と、今回のグローバル化を比較しています。第1次グローバル化は国際的格差拡大であり、今回のグローバル化は格差縮小の時期です。
第1次グローバル化は、西欧の産業革命に支えられ、西欧が豊かにそして強くなりました。イギリスと中国の国民1人当たりGDPは、19世紀初めには3対1だったのが、1914年には8対1に広がりました。図がついていて、中国、インド、インドネシアの数字が出ています。差が広がる一方だったものが、1980年代を底に、格差縮小に転じます。

長い目で見ると、産業革命以前は中国やインドは西欧と同じくらい豊か、いえより豊かだったのです。
西欧との格差がこのあとどこまで縮まるか。多くの地域では、追いつくことになると思います。

記事では、グローバル化の功罪が、広く論じられています。

10連休対策

2019年4月25日   岡本全勝

今年は4月27日から5月6日まで、10連休です。
多くの勤め人にとっては、朗報なのでしょうが。連休の際にいつも書きますが、暦通りに休める人って、意外と少ないのです。病院、警察、消防を始め、商店や交通関係も。サービス業は、かき入れ時のところもあります。行楽地は、特にそうでしょう。NHKのニュースを見ていたら、暦通りに休める人は、約半分だそうです。

すると、休みを楽しむ人たちの影に、そこで働いている人、そしてお父さんお母さんもたくさんいます。テレビニュースが「行楽地では連休を楽しむ家族連れが・・・」と報道する度に、「僕んちは、旅行に行かないの」と子供に詰め寄られている、お父さんもいるのでしょうね。このようなニュースも、意外と罪作りです。

休みが続くと、困ることもあるようです。保育園やゴミ集めなどは、特別な対応を取るところも多いようです。日給制の人からは、ぼやきも聞かれます。
私は、10連休です。仕事をしてくださる人たちに感謝します。
皆さんも、春の休日をお楽しみください。

『イタリア史10講』

2019年4月24日   岡本全勝

北村暁夫著『イタリア史10講』(2019年、岩波新書)を紹介します。
本書の「あとがき」にも書かれているように、イタリアの歴史といえば、私たちは、すぐに古代ローマやルネッサンスを思い浮かべます。しかし、それはイタリアを舞台にした歴史であって、イタリアという国家は、たかだか150年ほどの歴史です。「イタリア国民をつくる」。
この素材をどのように「料理する」のか。そのような関心を持って、読みました。

様々な歴史上の出来事や変化を、どのような視角で切り取るか。そこに、歴史家の力量が示されます。「歴史の見方の変化」「文化史とは何か」。
その点では、「歴史10講」シリーズでは、近藤和彦著『イギリス史10講』(2013年)が出色です。このホームページでも、何回か取り上げました「覇権国家イギリスを作った仕組み」。
昨今のイギリス政治の混迷も、この国の分裂と統合の歴史、政治の機能を見ると、そんなに意外なことではありません。

そして、私たちが意外と知らないのが、現代史です。イタリア現代史では、伊藤武著『イタリア現代史』(2016年、中公新書)があります。

「金融政策の効果は金融資産価格の上昇だけだった」

2019年4月24日   岡本全勝

4月19日の日経新聞オピニオン欄、ファイナンシャルタイムズのラナ・フォルーハーさん「金融政策の限界直視せよ」から。

・・・トランプ氏は、FRBを自分の言うことをすぐ聞く取り巻きで埋め尽くすことしか考えていないが、重要な真実に光を当ててもいる。金融政策はこの10年、実体経済よりも市場にばかりプラスに働く面が大きかったという真実だ。
以下の数字を見てほしい。米国の時間当たりの実質賃金は10年の年初以降6%しか上昇していないが、実質的な不動産価格は20%以上、株式市場の時価総額(インフレ調整済み)は倍増した。家計所得は雇用が拡大したおかげで賃金より大きく伸び、10~17年に10%増えたが、資産価格の上昇には及ばない。一方、米国の格差拡大は07~16年、過去最高を記録した。

企業債務の国内総生産(GDP)比率が過去最高水準に達していることを含め、こうした事態はFRBが様々な努力を重ねる中で、意図せずして招いた結果だ。FRBは資産価格を押し上げることはできたが、経済成長を阻む主な問題を解決することはできなかった。これらはカネの不足から生じるものではなく、金融政策では解決できない深い課題を背負った問題だからだ。労働人口の高齢化や米国内の人の移動の減少、大企業による寡占化の進展などにより、求められているスキルと求職者のスキルにミスマッチが生じている。また技術革新が次々に起きることに労働市場が対応し切れていないといった問題に根ざしている。

これらの問題は、低金利や量的緩和だけでは解決できない。官僚ではなく、選挙で選ばれた行政の責任者たちが決める財政政策が必要ということだ。だが、今のような二極化した議会を抱えていては、政府がそうした政策を実現することはできない。
この難問には米国だけでなく、欧州も直面している。欧州では、欧州中央銀行(ECB)による量的緩和が経済のてこ入れにどれほど効果を上げたのか、そしてユーロ圏全体で緊縮財政を緩めた場合に得られるメリットを巡って、激しい議論が戦わされている・・・

コンビニの進化と役割

2019年4月23日   岡本全勝

コンビニの24時間営業の見直しが問題になっています。マスコミもたくさん取り上げています。4月16日の日経新聞オピニオン欄、中村直文・編集委員の「コンビニ、脱24時間の幸運 しくじり生かすとき」が、勉強になりました。

・・・「経営学の父」ともいわれたピーター・ドラッカー氏は1980年代から90年代にかけて何度かイトーヨーカ堂本社を訪れ、当時の伊藤雅俊社長らと交流を深めた。90年の「"新しい現実"の到来」と題した講演ではこんな言葉を贈った。「ヨーカ堂グループに敬服する点は、小売業の主流から落ちこぼれるはずだった個人的な商店に、商売の主流に乗る方法を提示したことです。これは偉大な社会革命といってよいでしょう」・・・

・・・規制強化を逆手にとって誕生したコンビニだが、90年代からは規制緩和が追い風になる。代表的なのが酒類やコメ販売だ。大型店やチェーンストアで売りやすくなると、多くの酒販店や米穀店がコンビニオーナーに転身。コンビニは担い手と買い手を引き寄せた。90年代末には栄養ドリンクが加わり、02年銀行法改正でセブン銀行がスタート。まさにドラッカー氏が「コンビニが商店を生まれ変わらせた」と見た世界の到来だ。
もちろん経済・社会のニーズも後押しした。今ではおなじみの電気やガス代の支払い、そして80年代に一気に広がる24時間営業だ。ニッポン株式会社は絶好調で、栄養ドリンク「リゲイン」のCM通り「24時間、戦えますか」状態。ここでコンビニは弁当、総菜など主力商品を柱とした24時間供給体制を完成させた・・・

そうだったんですね。この仕組みがなければ、個人商店は廃業し、町から商店がなくなったかもしれません。スーパーマーケットは残ったでしょうが、大型化し、遠くになったでしょう。
いまや、コンビニがない暮らしは想像できません。

このホームページでも、コンビニが被災地での重要なインフラであること「コンビニは災害支援インフラ」や、復興なった被災地でコンビニばかりが目立つこと「個人商店の消滅、コンビニの氾濫」を取り上げました。