カテゴリーアーカイブ:社会の見方

方言、平成の変化

2019年4月15日   岡本全勝

4月9日の読売新聞解説欄に、「方言 楽しみ、敬語 平等化…日本語 平成時代の変化」が載っていました。井上史雄・東京外大名誉教授へのインタビューです。詳しくは原文をお読みいただくとして。

「方言はどう変わったか」という問に。
・・・社会的地位が上昇した。方言を楽しみ、大切にしようという意識が高まった。明治期以降、国語の統一を目指す動きの中、方言は「撲滅」すべき対象だった。戦後も、方言コンプレックスは続いたが、方言を記録する研究や方言を記した土産物などが目立つ「記述」の時代だった。そして平成は「娯楽」の時代と言える。「おいでませ山口へ」のような標語が定着、テレビドラマからの「じぇじぇじぇ」といった流行語、街角の広告も目立った。地方文化の再評価も背景にある・・・
記事には、その変化が表になっています。わかりやすいです。

他方で、地方でも共通語を話す人が増えています。
私が特に感じるのは、テレビでのインタビューです。鹿児島や沖縄で多くの人が、共通語で答えます。私が若い頃に行った鹿児島や沖縄では、皆さんが単語は共通語であっても、はっきりと共通語とは違うイントネーションとアクセントで話していました。

この点について先生は、次のように話しておられます。
・・・全体としては平成の間、方言は衰退した。方言に誇りを持っていた関西でも、若い人は共通語を使うようになった。共通語の使用者数は、終戦後は1割程度、昭和後期で5割程度、平成期は9割程度とみられる。国民の大半が共通語を使うようになる大転換があったのだ。テレビなどメディアの影響が大きい・・・

私は、物心がついて以来、関西標準語を話しています。
NHKのアナウンサーが「変なアクセント」を使う度に、テレビに向かって指導しています。良く出てくるのは、天気予報の「雨」です。関西の「雨」とNHKアナウンサーの「雨」は、別の言葉です。
最近5歳になった孫が、時に「きれいな関西弁」を使ってくれます。「じいちゃん、××やで~」。文字ではうまく表示できないのが残念です。
母親やおばあちゃんであるキョーコさんとは、共通語を使っているようですから、子供の言葉の能力は素晴らしいものがあります。小学校に行ったら、忘れるでしょうね。
4月12日の読売新聞夕刊に載ったインタビューも、関西弁で話していると指摘を受けましたが、私はどの部分がそうなのかよくわかりません。たぶん「・・・安心なんや」とか「・・いかんな」の部分でしょうか。

AIは人に取って代わるか

2019年4月11日   岡本全勝

4月7日の朝日新聞経済面「未来からの挑戦 接客ロボ「大量解雇」の誤算」から。

・・・名物の「コンシェルジュ」は、わずか半年でクビになった。
長崎県佐世保市のテーマパーク、ハウステンボスの隣にある「変なホテル」。フロントでは恐竜や女性のロボットが出迎えてくれる。2015年にオープンし、「ロボットが初めて従業員として働いたホテル」とギネス世界記録に認定された。そのロボットホテルで、「リストラ」の嵐が吹いている・・・

・・・17年のピーク時にホテル全体で27種、243体いたロボットたちは現在、16種128体と半分近くに減った。いずれはロボットの種類を1ケタにまで減らす。
「人手に頼らないホテルをめざしたのに、ロボットの面倒をみるために人手がかかってしまった」。大江岳世志・総支配人(35)は振り返る。当初の約30人から8人に減らした従業員が数時間かけて充電したり、インターネットにつないだりと、ロボットを働かせるために追われた・・・
・・・「ロボットは万能ではない。ただ仕事を一部任せれば人の負担は少し減る。どこまで任せるのか。丸3年やってみて、その切り分けが大切だと気がついた」と大江さんは話す・・・
この項続く

便益と隠れた費用

2019年4月11日   岡本全勝

4月6日の朝日新聞オピニオン欄、安田陽さんの「再生エネの出力抑制、長い目で見ると得」から。本論ではないか所を紹介します。

・・・そもそも、なぜ再エネを入れるのでしょうか。それを考えるうえで、どうしても使いたい言葉が二つあります。「便益」と「隠れた費用」です。便益は費用と対になる言葉で、国民全体、地球市民全体が享受できるメリットのことです。特定企業の利益とは違います。隠れた費用は、化石燃料による大気汚染や地球温暖化、原発の事故対策コストなど、これまで十分考慮されてこなかった費用です。

これまで安いとされてきた石炭火力発電や原発に世界的にブレーキがかかっているのは、隠れた費用が本当は大きいという認識が広がったからです。隠れた費用の少ない再エネが、多い既存電源に取って代われば、社会的便益が大きい。だから各国は導入を促す政策をとっているのですが、日本ではそうした数字に基づく議論が乏しく、好き嫌いによるいがみ合いになってしまいがちです・・・

平成は悪い時代だったか。

2019年4月9日   岡本全勝

NHKの世論調査です。4月8日掲載。
「平成」という時代に、日本の社会は、よい方向に向かったと思うか聞いたところ、「よい方向に向かった」が19%、「悪い方向に向かった」が18%、「どちらともいえない」が60%でした。

平成という時代がどのような時代であったかは、もう少し時間が経つ必要があるのでしょう。
識者やマスコミが平成時代を振り返る企画をたくさんやっていますが、「停滞の時代」「混乱の時代」出会ったという評価が多いようです。
それは、昭和(特に後期)の経済成長に比べての認識だと思います。たしかに、ジャパン・アズ・ナンバーワンといわれた時代に比べると、経済成長が低下し、中国に抜かれるなど、停滞の時代に入ったことは間違いありません。
他方で、治安が良く、安全安心できる社会は、健在です。そして、大震災の際の助け合いや、ボランティア・NPOの貢献など新しい共助も大きくなっています。格差が広がっていますが、諸外国に比べるとまだましなようです。すると、まだまだ日本は捨てたものではありません。
世論調査の「良いと悪いが拮抗している」結果は、国民の多くが、「悪かった」という判断をしていないことだと思います。

もっとも、平成が良い時代であったかどうかは、今後の日本の状態によります。
すなわち、とてもひどい状態になったら、「あのころは、まだましだったなあ」と思われるでしょう。もっとも、「平成の時代に、改革に遅れたからこんな状態になったんだ」と批判されることもあり得ます。
良い状態になって、その基礎を平成時代が準備したなら、「平成の苦労が良かった」と評価されるでしょう。

優位に立つ地理的条件?

2019年4月8日   岡本全勝

世界史の新常識』(2019年、文春新書)が面白かったです。18人の碩学が、それぞれのテーマごとに解説した文章を集めたものです。
・古代ギリシアはペルシア帝国に操られていた
・ローマ帝国を滅ぼした「難民」と「格差」
・明を揺るがした日本の火縄銃
・産業革命がイギリス料理をまずくした
など、「へえ」と思うような内容、肩の凝らない話が並んでいます。

ところで、P131に、戦国時代に日本でなぜ鉄砲が急速に普及したかが、解説されています。
その理由の1つに、
火山国である日本では、火薬の原料になる硫黄が豊富に産出したことと、
同じく原料になる硝石は、日本では産出しないが、交易を通じて安定的に輸入できたことが、挙げられています。

???
面白いですね。豊富な原料とない原料。それがともに、普及を支えるのです。
「資源が豊かなこと」が産業発達の要素と思いますが、そうでもありません。戦後日本は、石油、鉄鉱石をはじめ資源が乏しい中で、工業発展に成功しました。そのような自然条件でなく、人間の意欲と努力が産業を興すことが、よくわかります。