歴史教育と歴史学2

歴史教育と歴史学」の続きです。

多くの学問は、大学での学問や研究者の最先端と、高校までの授業内容・大学入試問題がつながっています。しかし、歴史学は違うと、思います。
その第一の理由が、他の学問では、基礎知識を覚え、それを基に応用があるのに対して、学校の歴史教育には、覚えた事実を基に、何か思考するということがないのです。

それは、これまでの歴史学の内容と方法に問題があったのではないか、というのが私の考えです。
これまでの歴史学が、主に政治史であって、出来事の羅列であったからです。英雄たちや政治家がどのような政治体制をつくって、どこを支配したかを覚えさせられます。しかし、それでは、次につながりません。
民衆が出てくるのは、革命の時くらいです。経済が政治を規定するという、マルクス史学(経済学)も、大きな流れでは真理を含んでいますが、それ以上の展開はないです。

歴史学も、新しい事実(遺跡や古文書)を発見して、新しい知見をもたらしてくれます。しかしそれは、知識が増えただけで、「考える学問」とは違います。
英雄の歴史や戦争、王朝の興廃も、読み物として面白いですが、それは小説の世界です。
社会が、どのような原因でどのように変化したか。そのような「分析」なら、「考える学問」だと思います。
出来事の歴史ではなく、経済の発展、民衆の生活水準の発展、文化の変化など、「原因と結果」を説明するような歴史学なら、「知識の記憶と応用」があると思うのですが。
この項続く