カテゴリーアーカイブ:社会の見方

コロナ対策に見るリスクコミュニケーション

2022年4月4日   岡本全勝

3月26日の朝日新聞夕刊、福田充・日本大学危機管理学部教授へのインタビュー「危機に強い社会になるには」から。

こうした研究を始めた契機は1995年。東大大学院で、メディア研究をしていたころにさかのぼる。
「修士論文を出した直後に、故郷で阪神大震災がおき、調査に入りました。初動対応がもっとうまくいけば助かった命があったのではないか。被災地で怒りをおぼえました。3月には地下鉄サリン事件があり、テロ対策の研究の貧弱さを知り、人の命を救う研究をしようと。それまでのテーマを捨てました」
日本では当時、「危機管理」の研究はタブー視されていた。「テロや犯罪対策は国民を監視するもの、有事を想定するとは戦争ができる国にするためか」と批判された。東大を離れるまでひっそりと研究を続けた。その後、新型インフルエンザが流行し、感染症がテーマに加わった。

新型コロナ発生から3年目。日本の対策は、戦略不在で場当たり的だったとみている。
「飲食店への時短要請や外出自粛など、短期的でミクロな『戦術』しか示せていません。必要なのは長期的な『戦略』なのに、政府は対策の道筋やゴールを示していません」
2012年には、緊急事態宣言もだせる新型インフルエンザ等対策特別措置法ができた。準備がなかったわけではない。
「しかし地方自治体や企業、病院などに知識や議論が共有されていなかった。日本のコロナ対策が比較的うまくいったとされるのは、国民の絶大な協力があったからだ」

その一方でこの2年間、社会全体のために個人の私権制限がどこまで許されるか、犠牲はどこまで許容すべきか。こうした議論はほとんど進まなかった。
「同調圧力というか、空気に支配される国民性のおかげで、マスクを着けるとか外出自粛といった基本対策は進みました。でも個人が考え、意見を出し合い『ここまですべきだ』と決めるリスコミはできていません。これでは民主主義の国といえません。皆で議論し、納得したところで線引きするのが答えで、結論になるのです」

国民の顔色をうかがい、議論の提案を政府が避けてきたとも解釈できる。
「リスクを考えることを避ける国民性のため、合意形成が簡単にできないと政府にはわかっている。支持率が下がるならやめておこうとなる。でもここを打破しなければならない。危機管理できる社会になれば、近代化の階段を上れる。リスコミの民主主義化が必要なのです」

曖昧な表現

2022年4月3日   岡本全勝

先日読んでいた文章に「現在絶滅していない動物も・・・」という表現がありました。???
まだ絶滅してはいなくて、今も存在するのか。すでに絶滅して、現在は存在しないのか。どちらだろうかと考えました。この文章は「現在絶滅していない動物もいずれ絶滅する」と続くので、前者だと分かります。

原稿を書いていて、「政府の出番が少なくてもよい社会が生まれます」という文章を書きました。これでは、「出番が少なくてもよい」のか、「良い社会」なのか、曖昧ですね。

しばしば悩むのが、「私はあの人のように急がない」です。私は急がないとして、あの人は急ぐのか、あの人も急がないのか。
「毎日新聞を読む」は、毎日欠かさず新聞を読むのか、(朝日新聞でなく)毎日新聞を読んでいるのでしょうか。
「会議机の書類を片付けなくてよいでしょうか」と聞いて、「いいよ」と答えられたら、片付けるのでしょうか、放っておいてよいでしょうか。

話している本人は、このあいまいさに気がつかないものです。私の原稿も、右筆や校閲が指摘して手を入れてくれて、自分の文章のあいまいさに気がつくことがあります。

『一生モノの物理学』

2022年3月30日   岡本全勝

鎌田浩毅、 米田 誠著『一生モノの物理学 文系でもわかるビジネスに効く教養』 (2022年、祥伝社)が、分かりやすく勉強になります。光、電子、磁力などを、身近な医療や機械、気象などから説明してくれます。××の法則を覚えるより、分かりやすい説明です。

出版社の宣伝文が的を射ているので、転載します。
「大学受験で文系を選択した人にとって理解が難しい世界――「物理」。
しかし、家電が動くのも、飛行機が飛ぶのも病気を発見できるのも、部屋の明かりがともるのもすべて根底には物理学が存在しています。
それだけ社会の根底理論となっている「物理」を知らないことはビジネスパーソンにとって大きな損失ではないでしょうか?..
そこで、「京大名誉教授」×「関西大手予備校・研伸館講師」という教えるプロがタッグを組み、"「物理が苦手」な人のための物理の本"を制作しました。
日常の中にある技術に活用されている物理の世界をわかりやすくお伝えします!」

胃がんは絶滅危惧種

2022年3月30日   岡本全勝

3月23日日経新聞夕刊「がん社会を診る」は、中川恵一・東京大学特任教授の「ピロリ菌感染は激減、胃がんは「絶滅危惧種」に」でした。読むと、「へえ」です。

・・・長引くコロナ禍でストレスがたまっている方も多いはずです。かつて、このストレスが胃潰瘍の原因と言われた時代がありました。しかし、ストレスだけでは胃潰瘍はまず発症しません。
27年前の阪神大震災の直後、胃潰瘍の患者が増えました。避難生活のストレスが原因と考えられましたが、患者の8割以上がヘリコバクター・ピロリ菌の感染者でした。逆に、ピロリ菌に感染していない人にはほとんど胃潰瘍は発生していませんでした・・・
・・・胃がん患者のほとんどがピロリ菌に感染していますが、ピロリ菌の感染者のうち胃がんになる人は1%以下。ピロリ菌に感染しても胃がんになるわけではありません・・・

ただし、ピロリ菌に感染している人が塩分過多になると、胃粘膜の炎症が進み、胃がんを発症しやすくなるのだそうです。
アメリカでは、胃がんは白血病や膵臓ガンより珍しい「稀少がん」になっているとのこと。時代は変わるものですね。
ちなみに私も、40代にピロリ菌の除去を受けました。一安心かな。

ニュースがない?

2022年3月29日   岡本全勝

皆さん、最近のテレビのニュース番組を見て、「ニュースがないなあ」と感じませんか。
私は最近、NHKの朝昼夜、定時のニュースを見なくなりました。見ても冒頭の「今日の項目」を見たら、ほかの番組に変えてしまいます。インターネットでNHKニュースを確認しておけば、19時のニュースを見なくても大きなニュースは分かります。そして、ウクライナとコロナのニュースばかりです。これらが重要であることは間違いありませんが、ほかのニュースはどうなったのでしょうか。

新聞も同じなのですが、解説欄などは勉強になるのでちぎって、後でゆっくりと読んでいます。このホームページで紹介するのも、ニュースではなく解説記事が主です。

コロナで取材が難しいことは分かりますが、これら2つ以外のニュースはないのでしょうか。
記者にとって、足で拾う能力とか、テーマを決めて取材するといった能力が落ちるのではありませんか。 心配です。