カテゴリーアーカイブ:社会の見方

タクシー運転手不足

2022年11月28日   岡本全勝

11月18日の日経新聞が「タクシー運転手、都内は32年ぶり最少 収入低迷響く」を伝えていました。
・・・新型コロナウイルスの影響でタクシードライバーの減少が深刻化している。全国では2021年度末にコロナ禍前の19年度に比べて2割近く減り、減少が続いている。東京都内では32年ぶりに過去最少を更新した。政府が水際対策を緩和し、インバウンド(訪日外国人)の旅行需要の回復が期待される。ドライバー不足が続けばこうした旅行需要などの回復に影を落としかねない・・・

11月20日の朝日新聞は「タクシー運転手、ソウル哀歌」を伝えていました。
・・・空車のタクシーがなかなか来ない。最近、韓国のソウルでよく聞く嘆き節だ。新型コロナ禍の規制がなくなり、街に出る人が増えたが、「市民の足」の担い手は苦境にあるようだ・・・
・・・「タクシー大乱」 韓国メディアには、こんな言葉がおどるようになった。
韓国のタクシーは運賃が割安だ。今のソウルでの初乗り2キロは3800ウォン(約380円)。これでもずいぶん上がったが、韓国国土交通省によると、20分ほど乗った時の料金は、経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均の「38%程度」の水準だという。
そんな中をコロナ禍が襲った。その後は、世界的な原材料価格の高騰などで物価高も加速している。「今は、なんとか夫婦で食べていけるぐらいの稼ぎがやっとだよ」。この道で40年のソウル近郊に住むタクシー運転手の男性(73)は言う。現在の月収は、150万〜200万ウォン(約15万〜20万円)程度。息子2人は独立し、教育費などがかからなくなったため生活はできているが、「重労働だし、若い世代はやりたがらないだろうね。昔は基本料金でジャージャー麺を食べ、コーヒーも1杯飲めた。物価が上がった今じゃ、そうもいかない」
ソウル市などによると、タクシー運転手の平均月収は220万〜250万ウォン(約22万〜25万円)程度。ソウル首都圏で家族の暮らしを支えるには十分とは言いがたい。そして、男性が「自分はもう年だから考えなかったけどよく聞くね」と言うのが、運転手たちの「離脱」だ・・・

かつて北欧に行ったときに、タクシー運転手がアジア系の人が多いことに驚きました。移民が就きやすい職業だと言うことでした。低賃金なので、移民の職業になるのでしょう。

介護福祉士養成、需要増なのに減少

2022年11月25日   岡本全勝

11月17日の朝日新聞に「ケアワーカーがいなくなる?:1」「介護福祉士育む場、相次ぐ閉鎖」が載っていました。

・・・今年の3月、介護福祉科を唯一の学科としていた浦和大学短期大学部(さいたま市)が閉学した。運営法人の久田有・理事長は「学生数の減少に歯止めがかからず、苦渋の決断だった」と振り返る。学生が減っても教員を減らすわけにはいかず、人件費が経営を圧迫していたという。
久田理事長は、学生減少の背景に、少子化で若者が減っていることに加え、「仕事に見合った給与水準になっておらず、社会的評価が低い」こともあると考えている。
介護保険制度では、事業所に支払われるサービスの対価も、必要な職員配置なども公的に定められ、事業所が給与を引き上げる余地は乏しいのが現実だ。厚生労働省の21年調査によると、医療・福祉施設などで働く介護職員の所定内給与は平均で月23万6千円ほど。訪問介護でも約25万8千円で、全産業平均(約30万7千円)を大幅に下回る。

公益社団法人・日本介護福祉士養成施設協会(東京都)によると、会員の専門学校や大学、短大などを対象とする調査では、今年度の入学者は310校あわせて6802人(前年度比381人減)で、調査を始めた14年度(377校、計1万392人)以降最少に。会員の学校数310は前年度より10少なくなった。
協会に記録が残る1988年度以降、入学定員の総数が最多だったのは2006年度(約2万7千人)。調査を始めた14年度から減少が続いた入学者数は、17年に「介護」の在留資格が創設されたことなどで一時は増加に転じたものの、新型コロナウイルスで留学生の数も落ち込んでいる。
介護福祉士の国家試験を受ける人も、ピークの14年(約15万4千人)と比べて近年は5~6割にとどまる。同協会事務局長の山田洋輔さんは「介護福祉士の養成は、介護の質を高めるためにも不可欠。経営維持のための財政的な支援を、国には考えてほしい。このままでは介護の人材不足はさらに深刻になりかねない」と訴える・・・

・・・2000年4月に介護保険制度が始まってから、介護職員は増え続けてきた。しかし、現場を支えてきたベテランが高齢化する一方で、有効求人倍率はホームヘルパーで約15倍(20年度)などと高止まりしており、将来の介護職を育てるはずの養成校にも学生が集まらない。
厚労省によると、40年度に必要な介護サービスをまかなうためには、約280万人の介護職員が必要になる。19年度(約211万人)と比べて約69万人足りない計算だ。
高齢者人口が最多となる40年ごろに向けて増え続ける高齢者に対し、すでに現役世代(20~64歳)の減少は加速している。それでも介護職員を増やさなければ、誰のケアも受けられない人が大量に生まれる事態すら起きかねない・・・

手形交換所終了

2022年11月22日   岡本全勝

11月3日の朝日新聞が「消えゆく、紙の手形 交換所、143年の歴史に幕 取引電子化進み、利用減少」を伝えていました。

・・・企業が代金の後払いに使う「約束手形」などを取り扱う全国179カ所の交換所が2日、業務を終了した。金融機関が受け取った手形を持ち寄り、交換する場を担ってきた。古くは明治時代に設立され、日本の近代から現在までの経済成長を「裏方」として支えてきた。金融取引の電子化が進んだことで、その役目を終えた。
日本最古となる1879(明治12)年に開所した大阪の交換所では2日、最後の交換が行われた・・・

私は2011年の東日本大震災発災直後、政府がつくった被災者支援本部の事務方責任者に任命された際に、「何をするのか」「何ができるのか」を考えました。被害が大きく現地の情報も把握できていません。そこで幹部と議論して、「暗闇の灯台」「手形交換所」になることを目指しました。
「暗闇の灯台」は、どこにどのような情報があるのか、誰が何を求めているのかという情報を集めることです。「まずは、ここに持ってきてください」と明かりをともすのです。
「手形交換所」は、その寄せられた要望と支援できる人や組織をつなぎ合わせることです。この表現はわかりやすく、好評だったのですが。

鎌田浩毅著『知っておきたい地球科学』

2022年11月21日   岡本全勝

鎌田浩毅著『知っておきたい地球科学 ビッグバンから大地変動まで』(2022年11月、岩波新書)を紹介します。出版社の紹介文には、次のように書いてあります。
・・・宇宙や生命はどうやって生まれたのか。地球のエネルギー資源はどう作られているのか。気候変動や災害の原因は何か。ミクロからマクロまで、地球に関わるあらゆる事象を丸ごと科学する学問=地球科学は、未来を生きるための大切な知恵を教えてくれる。大人の学び直しにも最適な知的刺激に満ちた一冊・・・

私が半世紀前に高校で学んだ自然科学の物理、化学、生物、地学の4つのうち、当時は生物学と地学が「古くさく、つまらないもの」でした。ころが、その後の研究の発展で、生物と地学ががぜん面白いものになりました。
「はじめに」にも書いてありますが、数学は17世紀までに発達した微積分など、化学は19世紀までに発見された内容、物理学は20世紀初頭に展開された原子核物理学までが教えられます。
それに対し、生物学はその後、遺伝子や生物多様性の研究が進み、地学はプレートテクトニクスや地球温暖化という現在進行形の研究が教えられています。また日本列島は東日本大震災以来、活動期に入り、国民の関心も高まりました。

目次を見ていただくと、壮大な話と身近な話が載っています。鎌田先生のわかりやすい語り口で、最新の研究が書かれています。岩波新書にふさわしい内容で、これは売れるでしょう。

高松塚古墳壁画発見 50 周年記念フォーラム

2022年11月20日   岡本全勝

今日は、東京大手町で開かれた「高松塚古墳壁画発見 50 周年記念 第26回 明日香村まるごと博物館フォーラム」に行ってきました。大勢の人が参加していました。村長をはじめ村職員が飛鳥時代の服装だったのも、よかったです。
1972年に壁画が発見されて50年を記念して、さまざまな催し物があります。「3月のシンポジウム

話を聞き、写真を見て、あらためてこの発見の意義を考えました。登壇者が発言したように、それまでは一部の人しか知らなかった考古学が、広く国民に知られ興味を持ってもらえるようになった大きなきっかけでした。新聞の1面に発掘結果が載ったのも初めてで、カラー印刷で紹介されたのも初めのことでした。
私は「明日香村の出身です」と自己紹介すると通じるという恩恵を受けています。

村では、近年も新しい発見が続いています。牽牛子塚古墳も整備され、見学できるようになりました。つくられた当初は、こんな形だったのですね。牽牛子塚古墳は、近くにある岩屋山古墳、真弓鑵子塚古墳とともに、私のお気に入りの古墳で、何度も自転車で行きました。岩屋山古墳と牽牛子塚古墳は加工された石室がよく見えて、鑵子塚古墳は巨大な石室に入ることができました。壁と天井に積み上げられた石が崩れてきそうで、怖かったです。いまは立ち入り禁止のようです。