カテゴリー別アーカイブ: 経済

経済

消費税引き上げ

18日の東京新聞が、企業に対する景気アンケートを載せていました。そこに、消費税引き上げについての回答があります。歳出の無駄を省いた上で引き上げるが41%、景気回復後に考えるが23%です。引き上げるべきではないは、6%です。引き上げ時期は、2010年度が30%、2011年度が25%です。かなり理解が進みました。
自民党総裁選での議論でも、時期は別にして、その必要性は認識されたと思います。

税より重い保険料

13日の朝日新聞が「税より重い社会負担」を解説しています。サラリーマン世帯の9割以上で、年金・医療保険料が、所得税・住民税・消費税負担より大きいのです。増税は国民の反発を受けやすく、保険料だと抵抗が少ないからです。
これらは、別々に考えられてきたのですが、国民にとっては「同じ負担」です。1997年に、消費税と保険料の増額が別々に決められ、全体像を考えていなかったこともありました。
さて、そこでも触れられていますが、年金は現役世代から高齢者への所得再分配ですが、高齢者ははるかに多く資産を持っているので、年齢軸での負担も図にするとわかりやすいでしょう。

特別会計余剰金

東大出版会PR誌『UP』9月号に、醍醐聡教授が、「増税なき増収財源としての特別会計余剰金」を書いておられます。これまで「埋蔵金」が議論されてきましたが、それは特別会計の積立金です。教授が書いておられるのは、毎年の余剰金=予算計上したけれど使われなかったお金です。
2006年度の特別会計余剰金は51兆円、そのうち翌年度への繰越が42兆円、積立金が7兆円、一般会計繰り入れが2兆円です。翌年への繰越のうち、歳出見合いでの繰越もありますが、それは5兆円、そのうち確定しているのは2兆円です。すると、それを除く繰越金と積立金が、「利用可能」な金額になります。
詳しくは、原文をお読みください。

公共事業のあり方

30日の朝日新聞「公貧社会」は、「山砂載せ、さまようダンプ街道」でした。そこに、公共事業の解説があります。
・・社会資本整備の公共事業は、経済の発展段階で重点や中身が異なる。成長の離陸期では、産業活動の中心となる都市部へ人口が流入する中で、大都市圏が中心となる。高度成長期は、発展する都市圏と地方との所得や生活水準の差を縮めるため、地方に重点配分して産業の発展を促す役割。それ以降は、地域間のバランスを維持し、生活の質を高める投資という段階だ。
奥野信宏・中京大教授は「80年代半ばまでは、国民所得を最大にし、地域格差を最小にするという点で、投資の分野や地域はほぼ合理的だった。その後は、円高や製造業の空洞化対策、貿易不均衡是正の内需拡大やバブル崩壊後の景気対策で、基本理念を失った」と話す。
・・特に地方では、道路や工業団地を整えても工場は来なくなり、農業などにたずさわる人も減ったのに、金をばらまくことが目的の所得再分配政策の色合いが濃くなった・・
国と地方の公共事業費が、1980年代後半から大幅に伸び、90年代半ばから減り始め、2000年以降に急減している様子が、図に示されています。現在の総額はピーク時の半分、85年頃と同額です。

景気回復の終わり

29日の日経新聞が、今回の景気回復を解説していました。
2002年2月から約6年間続いた景気回復がとぎれ、後退局面に入ったことが確実になったのです。景気の山(拡大のピーク)と谷(下げ止まりの底)の判定は、内閣府が行いますが、しばらく時間がかかります。谷から山への期間が、回復局面です。
仮に2007年12月が山だったとすると、拡大期間は71か月になり、戦後最長だった「いざなぎ景気」(1965年11月から70年7月)の57か月を上まります。戦後の平均期間は33か月なので、その倍になります。
もっとも、今回の景気回復は、力強くありません。平均実質成長率では2.1%。いざなぎ景気の11.5%や、バブル景気の5.4%に比べ、はるかに低いです。
戦後最長だけれど、実感のない景気回復でした。エコノミストも、どう命名するか悩んでいるようです。
成長寄与度を見ると、輸出が61%に対し、個人消費は38%です。グローバル化で成長したけれど、内需は盛り上がらず、ということです。名目成長率も上がらず、給与が上がらなかったので、個人には実感できませんでした。
しかし、もう、かつてのような大きな成長は、見込めないでしょう。そして、世界経済との関係が、大きくなります。すなわち、世界経済の変動に影響されることと、新興国の経済成長をどう日本が取り込むかです。前者は受動的影響、後者は能動的影響です。