カテゴリー別アーカイブ: ものの見方

天気予報に見る一国主義

今年も、日本列島を台風が襲い、大きな被害と社会生活の混乱をもたらしました。天気予報が発達し、台風がどこにいるか、このあとどのような方向に進むかの予報もきめ細かくなされます。現地からは、映像が伝えられます。

それを見て、思うことがあります。今年の台風6号は、沖縄付近で停滞し、九州を北上しました。皆さんも、記憶に新しいことと思います。
ところで、この6号はその後、韓半島を北上したのです。しかし、日本の天気予報もニュース番組も、台風が日本列島から離れると、取り上げることはなくなります。
台風が南の海で発生したことは、天気予報が知らせてくれ、その後の予報進路も伝えてくれます。そのいくつかは、日本に来ることはありませんが、台湾などを襲うことがあります。それらも、日本では詳しく伝えられません。

海外旅行に行ったときも、東南アジアやヨーロッパでは、天気予報はその国だけでなく、周辺の国も含めた天気図であり、予報になっています。地理的に、気象的にそうせざるをえないのでしょうが。
日本人が、日本のテレビや新聞を見ている限り、近隣諸国に思いをいたすことはなく、自国のことだけを考える癖がつくようです。

BRICS、恨みが共通軸

8月30日の日経新聞に、ジャナン・ガネシュさんの「BRICS、「恨み」が共通軸 権威に憧れや承認欲求も」というファイナンシャルタイムズの記事が転載されていました。

・・・ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ(BRICS)によるサミット(首脳会議)が8月下旬、南アフリカで開催された(編集注、サウジアラビアやイランなど6カ国が新たにBRICSに参加することが決まった)。これらの非西側諸国をまとめている理念、あるいは戦略的な利益はあるのだろうか・・・

・・・BRICS、またはグローバルサウス(南半球を中心とする途上国)はどのような枠組みを標榜しているのだろうか。もし自由貿易に積極的でない場合、世界最大の輸出大国である中国は参加国としてこの問題にどのような立場を取るのか。
いずれの問いも適切な答えは見つからないはずだ。なぜなら、多様なBRICSの国を結びつけている共通点があるとすれば、それは「恨み」だからだ。西側の優位に対する怒り、過去の屈辱に対する鬱憤だ。そして、政治と人生を突き動かす力として、恨みはあまりにも過小評価されている。
膨大なエネルギーを生み出すとされる核融合に取り組んでいる物理学者には失礼かもしれないが、活用可能となった場合に宇宙で最も強力なエネルギー源があるとすれば、それは人間の恨みだと筆者は考える。

哲学者のニーチェは恨み(ルサンチマン)が世界を動かしていると論じた(ニーチェは第1次世界大戦の敗北で募った恨みがナチスドイツの台頭へとつながり、同胞のドイツ人を暴挙に駆り立てたことは見届けられなかった)。
ソ連時代から縮小した帝国となりルサンチマンを抱えていることを知らずして、現代ロシアは理解できない。
地政学から個人へ視点を移すと、恨みはさらに多くのことを引き起こしてきた。例えば、多くのポピュリスト(大衆迎合主義者)の指導者が、相対的にアウトサイダーといえる存在であることに注目すべきだ。
こうした指導者は大抵の基準に照らせば恵まれてきたが、「仲間」だとみられたい層からは疎んじられてきたと感じてきた・・・

・・・恨みは憎しみと同じではない。憎む人は、憎しみの対象と一切関わりを持ちたくない(国際テロ組織アルカイダの西側に対する態度を思い浮かべるといい)。
対照的に、恨む人は恨んでいる対象に半ば興味を持っている。ファラージ氏は明確に、罵詈(ばり)雑言を浴びせるエスタブリッシュメント(支配層)から承認されたいと思っている。
同様に、BRICS諸国のエリート層はロシア人に限らず、英ロンドン、南仏コートダジュールの高級保養地、フランスとイタリアの高級品、米国の大学をよく利用する。
ロシアのウクライナ侵攻に関する世界的な世論調査から判断すると、世界の大部分は西側のことを傲慢で偽善的だと考えている。一方で、西側は世界の大部分の人が移住したいと思っている場所でもある・・・

電車内の押しくらまんじゅう

みんながするから、みんながしないから2」の続きになります。実は、この話を書こうと思って前回の記事を書いたのですが、本論を忘れていました。

朝の地下鉄丸ノ内線、7時過ぎなので、座ることはできませんが満員ではありません。私は、すいている中程まで進みます。車内放送も、そのように指示しています。
ところが、次々乗ってくる人たちが、扉の近くに固まります。そして、スマートフォンの操作に熱中します。その状態は、押しくらまんじゅうです。冷房が効いているとはいえ、この暑い夏に体を寄せ合っています。中に入れば空いているのに。
しかも、多くの人がマスクをしています。「あんた、コロナ怖いのかい。なのに、押しくらまんじゅうしているのは、矛盾してるわ」と言いたくなります。
不思議な人たちです。この人たちは職場でも、周囲が見えず、気配りができない人なのでしょうか。職場だったら、評価は下がりますよね。

私が四ツ谷駅で降りようと「降ります。通してください」と声をかけると、面倒くさそうな目で見て、体をよじるだけの人がいます。お兄さん、それでは通れないのですよ。通路を開けてください。
この話、何度も同じことを書いています。「継続は力なり」という言葉もあります。

みんながするから、みんながしないから2

みんながするから、みんながしないから」の続きです。

高校時代に、サッカーを少しかじりました。そこで「百姓一揆」という言葉を覚えました。下手なチームだと、ボールが飛ぶと、敵味方の選手が(ゴールキーパーを除いて)そこに集まるのです。みんなが集まる状態を指して、百姓一揆と呼ぶのです。押しくらまんじゅう状態になります。えさを投げると集まってくる、池の鯉と同じです。

戦術としては、空いている場所に展開し、そこでボールをもらう方がよいのです。みんなが同じことをしていては、いけません。ボールを持った選手からボールをもらうために、(パスが出るところに)近寄る選手も必要ですが、それは数人に任せておいて、誰もいない場所に走って、次のパスをもらうのです。

ボールを持った選手は、意識と視野が足もとに集中し、全体の状況を把握できません。「後ろの声は天の声」という金言もありました。後方の選手が全体を見渡し、ボールを持った選手に指示を出すのです。

みんながするから、みんながしないから

「みんなが持っているから」というのは、こどもが、欲しいものをねだるときの決めぜりふです。よくよく聞くと、友達2~3人が持っているだけだったり。
服装や化粧品の宣伝で「あなたの個性を際立たせましょう。今年の流行は・・・です」という、矛盾したものもありました。企業が宣伝する流行に合わせれば、個性は埋没します。最近、電車の中で若い女性を見ていると、皆さん同じような化粧をしていて、区別がつきません。

周囲に会わせておけば無難で、自分で考える必要もありません。みんなと違ったことをすると、冷たい目で見られたりいじめに遭うこともあります。しかし、かつて「赤信号、みんなで渡れば怖くない」というお笑いのネタもありました。自分の頭で考えず、みんなに従っていると、痛い目に遭うこともあります。

商売も同じでしょう。「みんながやっているから、私も始める。」そこそこうまくいくかもしれませんが、ある段階で、パイの奪い合いになります。みんながやっていないことに挑戦すると、うまくいかないこともありますが、大成功することもあります。
科学者も、みんなと同じことをしていては、大きな発見はないでしょう。